- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784479393955
作品紹介・あらすじ
いろんな国から来た、隣人たちの生活物語。
アイスランド、南アフリカ、スペイン、バルバドス、メキシコ、中国、イタリア、ミャンマー、セネガル、モルディブ、韓国、エストニア、フィリンピン、アルメニア、東ティモール、北マケドニア、アメリカ、中国・内モンゴル自治区、コンゴ民主共和国…
来日した理由はさまざま。暮らしぶりも十人十色。 一人ひとりのストーリーを通して見えてくる普段の生活、そして難民問題、地球温暖化、ジェノサイド、民主化運動、差別の歴史など。
●北マケドニア ペレ・ヨヴァノフさん
上野公園のチェリスト
●フィリピン 長谷川ロウェナさん
労働組合のリーダーとして仲間を守る
●モルディブ ラシード・モハメドさん
海面上昇で故郷はがらりと変わった
●日本生まれ、中国籍 黄成恵さん
横浜中華街育ち、元不良の料理人
●バルバドス スプリンガー・ドーン・エイミーさん
カリブ海から来た語学の達人
●アルメニア グラント・ポゴシャンさん
ジェノサイドを経験した国の大使
●韓国 崔命蘭さん
すぐ帰るつもりが75年、川崎のハルモニ
●アイスランド アルナ・イェンソンさん
人口が少ないから、いろんな仕事を掛け持ちする
●スペイン、イタリア ドメリコ・ヴィタリさん、アントニオ・ガルシアさん、泉類治さん
長崎のキリスト者たち
●中国・内モンゴル自治区 エンゲルさん
東京で起業したひと、ルーツは草原の遊牧民
●東ティモール マイア・レオネル・ダビッドさん
12歳で山岳ゲリラへ、いまは広島弁の父ちゃん
●セネガル パパ・ダウダ・ンゴムさん
サッカーボールを追い続けた青春
●ミャンマー キンサンサンアウンさん
1988年の民主化デモの後、17歳で日本へ
●エストニア ペーテル・パウル・ハッラステさん
両親はレジスタンスの闘士だった
●メキシコ 長谷川ニナさん
スペイン内戦で亡命した一家の子孫
●コンゴ民主共和国 ポンゴ・ミンガシャンガ・ジャックさん
入管法改悪デモで出会った、難民申請中のひと
●アメリカ ルーシー・クラフトさん
戦争花嫁の娘はジャーナリストになった
●南アフリカ ジョゼフ・ンコシさん
アパルトヘイト時代を生きたジェンベ奏者
感想・レビュー・書評
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最近、お気に入りの金井真紀さんの2冊目。
日本に住む世界の人達の生活にスポットをあて取材する金井さんのルポとイラスト。ストリートアーティストや料理店の店主だったり、時には日本に駐在する大使館に紹介してもらったり大使直々取材に応じてくれたりと、積極的に飛び回る。この人の行動力とコミュニケーションスキルの高さに目まいがしそうです。
生活の他に、差別、地球温暖化、民主化運動、国の抱える深刻な問題や歴史。国から命を狙われて数奇な運命で日本にきた人だとか、いまだ難民認定されないなんて最悪。
特に、東ティモール、ミャンマー、コンゴ民主共和国の方の話には感じ入るものがありました。
ほんわかムードの読み物だと思っていたのですが日本に住んでる世界の人から問題提起してくれて意識改革しなければと思う実に深くて濃ーい内容でした。
金井さんもこの取材をきっかけに「難民・移民フェス」とかアクション起こしているそうでこれからどんな方面で活躍していくのか目が離せなくなりました。
18組20人の話だけでは足りませんので続編も是非描いてほしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
しじみさんの本棚から図書館予約
「世界はフムフムで満ちている」の
ノリで寝転がって読み始めた
おっとどっこい!
起き上がり、真剣に眉根を寄せて読んだ
アホな私は知らない国もありググりながら……
18人の「日本に住んでる世界のひと」
なんと過酷な!
金井真紀さん
本にして伝えてくださってありがとうございました
出来れば続編もお願いいたします
カバーより
『海の向こうの出来事も、この島で起きている問題も、知らないことで満ちている』
≪ 様々な 色で世界は つながるの ≫ -
金井真紀さん3冊目。日本在住の外国人18組20人へのインタビューを纏めた本。あとがきに本ができるまで長い道のりだったことが書かれていたが、日本に今この時点で住んでいるということだけが共通する国も境遇も様々な人たちへの聞き取りは、事前準備も相当大変だったのではないだろうか。当然ながら裕福な人や、「日本が好き」という理由だけで日本に長く住んでいる外国人だけではない。途上国から命からがら逃げ日本へ流れ着いた人や、出稼ぎで来た人など、その多様な人たちの視点から語られる日本は新鮮だった。長崎の宣教師の方の話も印象に残っている。本書を読まなければ接することできなかったであろう人たちの祖国の話や人生のストーリーに触れ、読むだけで視野が広がった気がした。
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今週の本棚・話題の本:『日本に住んでる世界のひと』=花田菜々子 | 毎日新聞(有料記事)
https://mainichi.jp/articles/20230107/ddm/015/070/013000c
日本に住んでる世界のひと - 株式会社 大和書房 生活実用書を中心に発行。
https://www.daiwashobo.co.jp/book/b612701.html-
ベスト 『日本に住んでる世界のひと』 | 教文館ナルニア国
https://onl.sc/7QnGmTQベスト 『日本に住んでる世界のひと』 | 教文館ナルニア国
https://onl.sc/7QnGmTQ2023/10/11
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のほほんと生きていていいんだろうか。日本に住んでいる世界の18組20人の人が登場。亡命、難民、戦争、内戦、人種差別にジェノサイド、そんな海で向こうの出来事を実体験されている方が、いま私たちの身近で暮らしておられる・どんな方も歴史のうねりの中を生きてこられた。
移民とか難民、かつて私たち日本人が受けていた処遇を、立場が変わって与える立場になろうとしているのに、入管法改悪一つとっても排他的で日本の難民認定率は1%未満。経済的には広く世界へと願いながら、精神的には未だ鎖国状態の日本。
「異文化には、まじめに接しなければならない。中途半端な異国趣味は植民地主義の裏返し。異文化をおもちゃにして弄んではいけない。」・・
よその国へ行くことで、正しい愛国主義者になれる。 -
まず目次を見て、身近ではあまり聞かない国籍の人ばかりだなぁという印象。
北マケドニア、バルバドス、アルメニア、東ティモール、セネガル、エストニア、コンゴ民主共和国、などなど。在留人数の少ない国の人を中心にインタビューをし、本作を執筆されています。
日本にやって来た理由も出稼ぎ、宣教師、難民としてなどさまざま。読み終えた感想の一部として、著者の以下おわりのことばがしっくりきた。
『どの人生にも驚くべき局面があり、どの人生にもキュンとなる部分があり、にんげんのドラマはまったく果てしない』
20人の今と、ルーツをたどる話にほんの少し触れただけですが、とても深い大切な話を聞かせて頂いたことを感じた。
そのどれもに強く引き込まれました。
遠い国の風景にワクワクしたり、彼らの目線を通して意外な日本の姿に気づかされたり、彼らやその家族の生きる姿勢に背筋が伸びるような場面もあった。
そして、痛ましく悲しい歴史など無知であることも自覚しました。
彼らだからこその着眼点や感じ方があっておもしろかったし、初めて知ることもいっぱいでした。
読みやすく端的でわかりやすく、スキマ読みにもピッタリ!
金井さんのイラストも味があって好き♪
一人一人の人間ドラマが愛おしくなってきました。
もし続編がでたら読みたいです。
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壮絶な過去を経た人ほど、淡々とした口調で振り返るのだと、感じ入った一冊。
著者の巧みな質問力と絶妙な距離感(近すぎても、見えなくなることがあると思う)が、この本に出てくる主人公たちの過去語りを容易にしている。
ただ、容易になったからといって、一人一人の過去が安泰だったことを意味しない。むしろ逆で、人によっては金井氏のインタビューを受けていること自体が奇跡といえるような人生だった人もいる。
金井さんが泣きそうになったところでは、私も思わずほろりと来てしまった。 -
タイトルどおり「日本に住んでる世界のひと」の中から、「住んでる人が少ない」「住んでる理由のバリエーション」「なじみ深い」の順で実際に著者自身が取材し描いた18組20人の似顔絵やイラスト付きインタビュー集。
どのエピソードひとつとっても、驚きがありその人だけの経験や偶然の巡り合わせ、唯一無二の人生があることに心が動かされるし、もっともっと世界のことを知りたい、知らなければならないと思う。
「人生の持ち時間」のことを考えると、じっとしていられない気持ちにもなるけれど、日本に住んでるひとりのひととして、できることをしていこう。 -
インタビューする人のチョイスが素晴らしいと思った。
出身国がさまざまで、抱える事情も日本にきた理由もさまざま。
日本に住んでいる外国人、というと、半分くらいは日本好き(あるいはアニメ好き)で、のこり半分は日本人と結婚したから、なんだろうな、くらいに思っていたので(←この考えもいかがなものかとは自分で思うが)、そうじゃない人のケースは特に興味深かった。
激しく心揺さぶられたのは、在日のおばあさん、コンゴから避難してきて難民申請中の方、ミャンマー人の女性。それからイエズス会。
特に、コンゴの方のケースは、なんだか、日本という国に猛烈に腹が立って、悔し涙がにじんだ。日本に限らず、難民申請中のすべての人がそうだけれど、働きたいのに働けないって辛すぎる。
在日のおばあさんが日本にやってきた方法(密航)と状況は、つい最近読んだ朴沙羅さんの「家(チベ)の歴史を書く」の親戚の方の体験とまったく同じだったので驚愕した。そうか、あれは特殊な例ではなかったのか、と思った。なんてことだ。
彼女のストーリーの最後に登場する日本のヘイトスピーチについてはまったく「情けない」としか言いようがない。
標語の「さべつをやめて ぷるこぎを食べよう」はいいなぁ。すごく気に入った!
こういうのを読むと毎回思うのは、私も困っている人に迷わず手を差し伸べることができるだろうか?ということ。
路上で途方に暮れている留学生の女の子にケーキを食べさせてあげて目的地に連れていくくらいはすると思うけど、たとえばコンゴのケースのように、公務員をしながらひそかに命の危険にさらされている民主運動家にビザを手配するとか、たとえその権限やツテを持っていたとして、できるかなぁ、と疑問。 -
世界のひと、というタイトルと表紙のイラストからカジュアルな本と思って手に取ったが、意外と重い背景だった。紛争中の国から逃げてきた人、家族を守るためにゲリラになっていた人、過酷な母国の情勢に心を砕きながらも日本で必死に暮らしている人。平和を享受している日本人に大きなインパクトを与えてくれる。なんとなく理解していたつもりの日本の難民申請の大変さも痛感した。