問うとはどういうことか~人間的に生きるための思考のレッスン

著者 :
  • 大和書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479394105

感想・レビュー・書評

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  • 確かに、物事を深く考えるには問いを立てることが一番の近道だと感じるし、答えを出すよりことも問いを考えることが重要だという話もある。
    日常で問いを立てないことはないので、本書を読んで一から学ぶ必要があると感じた。

    この本では、「問うための方法」などが、具体例により理解出来る。
    哲学的で億劫になりがちだが、例に対して共感が多く読み続けやすい。
    例えば、「問うことが攻撃的だと感じる」とか、「問うのが歓迎されない」など、問うことを躊躇ってしまうことってあるあるですよね。それが当たり前であるみたいな。
    そのような勝手な思い込みで、大事な問いのチャンスを逃してしまっているなら、無くすべき考え方ですね。
    何のために問うのか、しっかりと目的を定めて行動に移すことが大切になってきますね。

  • 【イベント&オンライン配信(Zoom)】『問うとはどういうことか 人間的に生きるための思考のレッスン』(大和書房)刊行記念 梶谷真司×永井玲衣トークイベント「問う力はなぜ必要なのか」 | イベント | 代官山T-SITE | 蔦屋書店を中核とした生活提案型商業施設
    https://store.tsite.jp/daikanyama/event/humanities/35240-1431410806.html

    変化の激しい時代を生き抜く必須スキル『問うとはどういうことか 人間的に生きるための思考のレッスン』発売(8/11)。|株式会社 大和書房のプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000533.000033602.html

    梶谷 真司 | 東京大学
    https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/people/people002140.html

    問うとはどういうことか - 株式会社 大和書房 生活実用書を中心に発行。
    https://www.daiwashobo.co.jp/book/b10032182.html

  • 目的をもって問う
    「問うことは目的と結びついている時、より意義あるものとなり、その力を発揮する」
    「人はなぜ生きるのか?」
    私は今まで問いかけることしかしてなかった。
    「なんのための問いなのか?」
    この視点は初めて得た。

    「つらくても新しいことを知るのは、現実とより深く複雑な関わりをもつことであり、それは平面的で単純な関わりよりも、絶対的に豊かである。」

    「先進国の人間は、開発途上国で自分たちが消費しているものがどのように作られているのか、誰がどんなふうに働いているのか、想像もしないだろう。子育てをしているパートナーがどんな一日を送っているか、どんなことに喜び、どんなことで苦しんでいるのか、分かっているつもりで分かっていないだろう。」

    通説〜広く知られていれば正しいか?

    なぜ誹謗中傷が起きるのか?
    「人を否定し攻撃をすることで、自分は正しく優れた人間だと思い込むことができる」

    理解したいと思う気持ちから出てくる疑問は大切にしたほうがいい。

    「『普通は……』と言いたくなったら、逆に常識や"普通"のほうを疑ってみるといい。」

    受益者利益

    意味を問う
    「○○は何を意味するか?」
    「○○の意味は何か?」
    「○○とはどういう意味か?」
    「○○とはどういうことか?」
    「どういうふうに○○なのか?」
    「どういう意味で○○なのか?」

    理由を問う
    原因「なぜ失敗したのか?」
    目的「なんのために勉強をするのか?」
    動機「なぜその本を買ったのか?」
    根拠「なぜそれをいいと思うのか?」

    「状況を問う」
    「5W1Hで私がとくに重要だと思うのは、「誰」を問うものである。」

    「関係」を問う
    「○○と△△はどのように関係しているか?」(関係)
    「○○と△△はどちらが〜か?」(比較)
    「○○と△△はどのように違うのか?」「○○と△△の相違点は何か?」(相違)
    「○○と△△はどういう点で似ている/共通しているのか?」「○○と△△の類似点/共通点は何か?」(類似・共通)
    「どこまでが○○で、どこからが△△なのか?」(区別)
    「○○であると、△△ということになるのか?」(因果/条件・結果)

    具体的に考える
    「「尊重」「持続可能」「有識者」「抜本的」「効果的」「未来志向」など、いずれも具体的に何を指しているのか分からない。」

    反例を問う
    「そうでない場合はないか?」
    「他の可能性はないか?」

    「人間は幸福を求めると言うが、そうでない場合はないか?」
    「努力は報われると言うが、それが当てはまらないケースはないか?」
    「英語を学ぶには英語圏に行くのが一般的だが、別の可能性はないか?」
    「今年の夏休みは海に行こうと思うが、他にいい過ごし方はないか?」

    あなたはどう思うのか?
    「意見をもつとは、物事に対する自分の関わり方を決めるということである。それは責任のある思考をするということである。」

    「あの人感じ悪くない?」→「だから何なのか?」
    「こういうことは断じて許してはいけない!」→「それでどうするのか?」
    「一人一人の意識を変えていかないといけない」→「それでどうするのか?」

    「世の中には同じような境遇の人がどこにどれくらいいるのか?」
    「実際に仲間ができてもできなくても、自分を他にいる同様の存在の一人だと思えば、得られるもの、与えられるものもできて、より大きなものに支えられ、自分も誰かを支えられるようになるのだろう。」

    「あんなことするなんて非常識だ」
    大した理由はないかもしれない。けれども問題は、なぜそれに腹を立てたかである。

    方法を問う
    「仲良くしましょう」「相手を尊重しましょう」「違いを受け入れましょう」「対等に扱いましょう」「親切にしましょう」「主体的に学びましょう」とよく言われるが、どうすればそのようなことができるのだろうか。それ以前に、そもそもそれはどうすること、どのような状態になることを意識しているのだろうか。

    比較する
    犬を金魚や猫と比較「ペットとしての比較」
    キツネ、タヌキ、オオカミと比較「イヌ科動物としての比較」
    子どもや恋人と比較「家族としての比較」

    大きい問いから小さい問いへ
    「幸せとは何か?」→「幸せとは満たされていることだ」というような漠然とした答えしか出てこない。→幸せについての小さな問いとは、たとえば、「一日のうちで幸せだと感じるのはいつか?」である。
    「今まで幸せだと思ったのはどんな時か?」

    問うべきではないこと
    「問いには、それを支え導く目的があり、そのためによい問い方、効果的な問い方がある。目的が手段を正答かするので、目的がいったん正しいものとされれば、その後で問うこと自体を批判するのは難しい。」








  • 良書。人間がより自由にいきるためにも、しっかり問うことは重要。AIの社会実装がさらにすすめばなおのこと。息子に読ませたい。

    問題と課題、対処と解決をちゃんと分けて考えるという指摘はとてもよかった。ビジネスの世界でも、家庭でも?、ごちゃ混ぜに議論しているケースはよくあると感じた。自戒したい。

  • 昨年の自分の漢字1文字、『問』の本。

    不登校は本当にダメなのか。結婚しないと不幸か。旅行とは何か。人としてマトモとはどういうことか。真面目との違いは何か。正しい行いとは何か。問題と課題はどう違うのか。仕事とは何か。

    今までサラッと流してきた(或いはとある立場からからだけで物事を見てきた)テーマに対して、自分なりの意見を持つということを意識した1年。

    この本はその大切さ、意味、目的、手段を綺麗にまとめてくれた。
    丁寧に生きる、とはこういうことでもあるのかなと思いました。

  • 「問う」ということを因数分解し、シーン、目的、用途など、状況に応じて使い分けられる「問い」について紐解く。客観的に「問う」ということを捉え、言語化されたものを見ると、なるほどなと思わされる。もちろん日常の中でこれらを意識して会話、対話しているわけではないが、自然と実践している。一方で、ちゃんとそれが使えないとコミュニケーションで齟齬が生じたりする。正しい問いを立てる、と言ったりもするが、本書を理解するとその視座・視点が持て、なにを問わないといけないのか、そこにアプローチしやすくなるのかもしれない。図書館の本でなければもう少し読み込んで、書かれている内容を体系的に整理したかった。

  • 問う、といくことに焦点をあて、問うことの大切さや問いの種類、問う力を鍛えるための実践的なレッスンまでを網羅。
    問うことを絶対的に正とするわけではなく、時には害になることもあるとして、問いをやめるべきタイミングについても書かれており、非常にためになる。

  • アンケート、面接、問診など、質問をしたり、受けたりする機会はたくさんあります
    それは目的があって、そのためどうすれば、うまく質問できるか、そんな本はたくさんあります。この本はタイトルの通り、それ以前の「問う」とはどういうことか、を考えさせられます。

  • 問いを考える。
    哲学者としての問いの表出。
    問いは苦しみやめんどくささも含むので問うのはむずかしい。
    感情が入ると通説や思い込みが含まれる、問いですらなくなることがある。
    どれも書いていることは当たり前に聞こえるかもしれない。
    しかし、ここまで徹底的に言語化されて説明されてる書はなかなかない。
    問いの力が弱いのではないか?と自らの気づき得てサブとなる問いの手法と使い方を見直したが良かった。
    サクッと読める文章であり読み直しやすいのでオススメ。

  • 「問いを立てる」ということに自分のアンテナが立っていたので読んでみた。

    変化が激しくメディアが大きな力を持つ現代において、情報に踊らされず自分の頭で考える重要性について考えさせてくれる本。

    著者自身あとがきで哲学書であると言っているくらいなので、読んですぐに役に立つ本ではないと感じた。

    しかし問いを立てるということについて【重要性、目的、問いの種類、問いの立て方、問う力のつけ方、現実への活かし方】と多くの面から書かれており、問うことにアンテナの立っている人には何かしら役に立つ本と思う。

    深掘りする本というより薄く広く掘る本であったこと、あまり読みやすい本ではないと感じたので星3つです。

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著者プロフィール

龍谷大学、関西大学、摂南大学非常勤講師。
1966年名古屋市生まれ。
1997年京都大学大学院人間・環境学科博士後期課程修了。
主な著訳書
『新現象学運動』(共編)、『雰囲気と集合心性』(共著)ほか

「2002年 『シュミッツ現象学の根本問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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