ひとりの夜にあなたと話したい10のこと

著者 : カシワイ

• 大和書房 (2020年9月19日発売)

作品紹介・あらすじ

心がざわざわして眠れない夜に、嬉しいことがあった夜に、
こんなことをあなたに話してみたいのです。
名前も知らないあなたの明日がきっとよい日でありますように──

静かで美しく、どこか懐かしいイラスト作品やマンガで知られるカシワイさん。
その独特な雰囲気から多くのファンをもつ著者が、「孤独」をテーマに描き下ろしたのが、この本、『ひとりの夜にあなたと話したい10のこと』。
清潔で穏やかな、心細くてやさしい絵を楽しみながらページをめくると、たとえば、こんな言葉たちと出合えます。

■うれしいことがあった夜は　よく磨いて、宝物箱の中に仕舞っておく
いつでも取り出して眺められるように
そんな光のかけらを　持っているのを心に留めて
日々をどうにか生き延びていくために

■さみしい夜は　遠くのことを考える
たとえば、海のどん底に眠るクジラの骨
たとえば、天の川銀河の一粒の星
この気持ちもこの命も　遠くこの星に落ちてきて
神様がまばたきしている間の出来事に過ぎない
それでもこのさみしさは確かにここにあって
それが切なくてうれしくなる

■眠れない夜は　眠っている生き物のことを考える
曲がり角の家の犬　車の陰で丸まる猫
牧場の羊たち　春を待ち焦がれる熊
海中に立つ柱のようなクジラの群れ
その呼吸に合わせて　息を　してみる

人気イラストレーターが描く、ささやかなエールのようにかけがえのないいくつかの物語を、一日の終わりにそっと繙いてみてください。

感想・レビュー・書評

[関西福祉科学大学図書館・関西女子短期大学図書館さんの感想 · 2024年3月28日]

【選書No】005

[azu-azumyさんの感想 · 2023年9月3日]

カシワイさんと言えば人気イラストレーターであり
優しい線の漫画も描いている方。
イラストを見れば「あ～」と思う方も多いはず。

夜のベッドで枕を抱えた女性が不安げに見上げた先には
青空が広がる窓が…
ひとりの夜だけど、あなたと話すと
心には爽やかな景色が広がるのかも…
そんな予感を漂わせた装丁が何とも言えずいいのよね…

優しい線で描かれたイラストとそこに添えられた文章は
そう…
大人の絵本。

この”細い線”が強すぎないから
ひとりの夜に
するすると心に入り込んできて
言葉がゆるやかに響いてくる感じ。
カラーのページで使われているのが
モノクロとブルーだけなのがまた心地いいい。
この本を読みながらそのまま眠りにいざなってくれそうな…
きっと良い日になるであろう明日に連れて行ってくれそうな予感がして…

カシワイさんのイラストや漫画は知っていたけれど
書籍として手にしたのは初めて。
良い時間を手に入れたわ、私。



大阪在住の北谷琉喜さん（18歳）が
平和を祈って書いた初オリジナル曲「青空」の
ジャケットとMVを描いたのがカシワイさん。
とても素敵な楽曲とイラスト。
歌詞がまたいいのですよ…

『青空』↓
https://www.youtube.com/watch?v=t_ywWQlGRaA


真っ青な　あの空から　落ちた古いガラクタは
君が拾った　あの喜びを　守ってくれますか？

孤独になって　ただ立ち止まり　落ちた透明なあの涙を
大事な人に　隠さないで　一人にならないで

青空が　遠いのは　つらく悲しい時　上を向けるよう
星空が　綺麗なのは　あなたを守る人がいるから

持っている物　全てをおろし　そっと空を見て感じてた
君が掴んだ　この人生をどうか無駄にしないで

青空が　遠いのは　つらく悲しい時　上を向けるよう
星空が　綺麗なのは　あなたを守る人がいるから


頑張りすぎないで
自分なりにゆっくりやればいいよ…
前ばかり見ていないで
たまには立ち止まって
青空や夜空を見上げながら…
美しいと感じる気持ちを持ちながら
『ひとりの夜にあなたと話したい10のこと』と
『青空』に癒された時間…

[りぃさんの感想 · 2023年8月13日]

詩のような、手紙のような言葉とイラストたち。
『同じ空を見ているかもしれない　名前も知らないあなたの明日が　きっとよい日でありますように』いい言葉だなーと思った。
「海の皿」が不思議だけど、心に残った。
夜、眠る前のひとときに読みたい本。

[らいこさんの感想 · 2023年5月27日]

柔らかくて細い線、頼りないように見えてしっかりそこにある。カシワイさんの描く線が好き。
青が印象的なご本だった。セルリアンブルーに近いのかな。見開きに真っ青な空、ぽつんと飛行船。綺麗だった。
海の底の鯨の骨と銀河のページが一番好き。

[アイボリーさんの感想 · 2023年5月24日]

ひとりになりたい…ひとりぼっちの、心にすき間ができたときに読みたい一冊。 優しく静かに語りかけるようで、もう一人いるような感じで読了。 「かなしい夜は」の章が個人的に、心に染みた。 かなしい夜はあてもない散歩にでかけてみる…都心とか危ないよね（笑）

[barbieさんの感想 · 2022年11月14日]

イラストが可愛らしくて手に取りました。
それぞれのお話に共感したり癒されたり、読み終わった時に不思議な気持ちになりました。
お気に入りは、青いスカーフと海の皿と旅をしたオルゴール。
イラストがあるから文章の良さがより伝わりました。
定期的に読みたい。

[ayaponさんの感想 · 2022年10月11日]

イラストレーターのカシワイさんによる詩のようなエッセイのような本。YAの本棚に置きたい。

[湖永さんの感想 · 2022年1月30日]

眠れない夜に。
疲れを癒やしてくれる一冊。
詩と柔らかな絵が、とても心地良い。

青いスカーフの中の一文。
本を読むことは未知なる世界と出会うこと

[雪さんの感想 · 2021年11月24日]

眠れぬ夏の夜にまた読みたい。
癒やされた。

[ymmtdiskさんの感想 · 2021年10月20日]

漫画、詩集、エッセイ、を、混ぜ合わせたような趣の本。なんかすごくよかった（語彙力皆無）。
実生活で本当にあったことから想像を巡らせているように受け取れるエピソードもあったり、空想や幻想に思えるようなお話も「地続きだ」なんて考えたりする。

著者プロフィール

漫画家、イラストレーター。主な仕事に、『107号室通信』、『光と窓』（共にリイド社）、『眠れない夜にあなたと話したい10のこと』（大和書房）、『ナニュークたちの星座』（イラスト担当、アリス館）等。

「2020年 『いまきみがきみであることを』 で使われていた紹介文から引用しています。」