- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784479780847
作品紹介・あらすじ
どんなに大変なときでも、自分を信じよう!落ち込んだ気持ちの立て直し方、運を強くする方法、うまくいく人間関係のコツまでアドバイス。転機をかしこく乗りこえる本。
感想・レビュー・書評
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誰の人生の中にも、大きな問題にぶつかったとき、途方にくれてしまうような瞬間がある。そのような時、これまでの自分の考えにこだわり、自問自答を繰り返しているのではないだろうか。佐藤綾子さんは「パフォーマンス学」に基づいて、毎日の活力を生みだすヒントがあると紹介している。パフォーマンス学とは、状況に応じて、社会におけるいくつもの役割を演じる能力を身に付けることだという。つまり、自己呈示ができることを目的とした学問というのだ。この学問を究めれば、言葉や気持ちの交流がスムーズに行えるばかりではなく、本人のみならず、周囲の人をも快適で幸せな気分に巻き込むことができるという。
さらに、時折立ち止まり、悩み、苦しむことは「新しい自分」を探す作業であるとも佐藤さんはいう。自分を成長させるには、これらは必要不可欠なことだともいっている。本当に重要なのは新しい状況に立ち止まったあとの対応であり、いつまでも立ちすくむのではなく、「新たな自分」に向けて第一歩を踏み出さなくてはならないという。そのためには、ありのままの自分を把握し、適応できる柔軟性を持っていることが大前提である。たとえば「強くなろう」ではなく「弱い自分も受け入れよう」、「他人を理解しよう」ではなく「他人を理解するのは難しいと理解しよう」、「ありがとうを言おう」ではなく「ありがとうを心から言おう」というような発想の転換が必要だというのである。
また我々は、常日頃、煩雑で多忙な仕事のスケジュールや、マンネリ化した日常生活の中で、自分を見失いがちではないだろうかと問題定義をしている。問題点が見えたなら、まずは、それを認識し、言葉にして明確に指摘することで、日々の言葉や態度の重要性が見えてくるのではないかともいっている。何か答えが見えたときこそ、臆することなく第一歩を踏み出せるチャンスだという。そのように振る舞えるためには、毎日の自分を磨いていく努力が必要なのである。それがあなたの「新たな自分」のスタートになるはずであり、何度も訪れる転機を上手に乗り越えるコツだと本書では説いてくれる。
船井幸雄がこの本から学んだこと
この本は、とても重要なことを教えてくれている。それは、あまりにも身近なことであるために、むしろ見逃しがちなのである。言葉一つとってみても、声の調子や速さ、タイミング、また付属する表情や仕草によって、人への伝わり方が異なるものだ。
こういった細かいパフォーマンス一つ一つが連なって、日常生活が成り立ち、人生を形成しているということを、本書により改めて気付かされた。毎日を丁寧に、自分に正直になって送ることで、後悔しない人生が過ごせる。実にシンプルなこの課題を、常に意識して行動したいものである。これこそ、「ほんもの」の生き方ではないだろうか。
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キーワード
「放てば満つる」−何かを捨てれば新しい何かが満ちてくるという東洋哲学の原理を実践し、新しい自分を始めよう。
佐藤綾子(さとう・あやこ)
長野県出身。信州大学教育学部卒業。育児をしつつ、上智大学大学院英文科を経て、ニューヨーク大学大学院に留学、卒業。現在、実践女子大学教授であり、パフォーマンス学・心理学の第一人者。本著は彼女の108冊目の著書。
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