芭蕉 最後の一句: 生命の流れに還る (筑摩選書 25)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480015273

作品紹介・あらすじ

旅に病んで夢は枯野をかけめぐる-松尾芭蕉、最後の句として知られる死の四日前深夜の「病中吟」である。日々旅にして旅を栖とした俳聖の、最期のイメージに相応しい。けれども実はその翌朝、弟子二人を枕頭に呼び「清滝や波に散り込む青松葉」を遺している。「改作」というのだが、これこそが辞世の句である。「不易流行」「軽み」そして最後の一句へと、境涯深まる芭蕉最晩年の五年半に焦点を当て、その実像に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 松尾芭蕉の最後の句は、
    「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」
    ではなくて、
    「清滝や波に散り込む青松葉」
    であるという。6月に詠んだ「清滝や波に塵なき夏の月」の改作が最後だなんてイメージが壊されたが、俳句は「読み込み」が前提の芸術なのだから、論旨に付き合おうではないか。この句は嵯峨の奥の清滝川を詠んだものだが、青松葉がどこまでも流れていくさまは松尾芭蕉そのものと重ね合わせることで深い感慨を覚える。

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著者プロフィール

放送大学教授。1953年兵庫県生まれ。放送大学教授。83年東京大学大学院博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。専門は日本思想、実存思想、身体文化。国際武道大学教授を経て現職。著書に『宮本武蔵―日本人の道』(ぺりかん社)、『定本 五輪書』(新人物往来社)、『宮本武蔵― 「兵法の道」を生きる』(岩波新書)、『芭蕉 最後の一句』(筑摩選書)、『道を極める―日本人の心の歴史』、『文学・芸術・武道からみる日本文化』、『哲学・思想を今考える-歴史の中で』(以上、放送大学教育振興会)、『日本の伝統文化6 武道』(山川出版社)、訳書にE・ヘリゲル『新訳 弓と禅』(角川ソフィア文庫)などがある。

「2021年 『NHK「100分de名著」ブックス 宮本武蔵 五輪書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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