- Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480015440
作品紹介・あらすじ
今、「自己」は大きな岐路に立たされている。「自己」が最も輝いていた近代(モダン)は終焉し、危険を孕みつつ必要とされた青年期もその役割を終えた。「自己」はこの先、どこへ向かうのだろうか。心や意識の起源に遡り、言語や神話の意味を読み解きながら、メランコリー、スキゾフレニアなど臨床での知見を踏まえ、深い思考を紡いで到達したポストモダンの精神病理学。
感想・レビュー・書評
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7月新着
東京大学医学図書館の所蔵情報
http://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2003061715詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自分にはたどりつけない起源としての"あるもの"=リアル、この形をキーワードにさまざまな論点を分析し、現代思想を概観。
記号が与えられることによって経験不可能になるさまざまな経験、まなざしによる「見える」からの「見る」の成立、呼びかけによる言葉の成立、法の設立のために殺された父とピュシスとしての母、全ての流出源となる神や王の殺害によるニヒリズム、などなど。
事後的にもたらされる自律 人になるかならないか、の後に、自分の選択したこととして位置づけられるようになる 典型的には肛門期とトイレのルール それが青年期にも また、それによって事後的に起源が生まれる
記憶=歴史 それ以前の、神話
ふと意識が戻る、そういったことの反復の中で起源がつくりだされる
ノモス=最も始原的な法には触れることができず、触れるとそれは狂気になる
起源では経験的な次元にあるものが我々を脅かす=トラウマ
起源的暴力にも勝るような暴力としての神的暴力
今まではリアルなものに触発され、象徴によって自らを主体化していた いまや主体化が成立せず、象徴を自分勝手に使い倒しながらリアルなものに怯える
後半のメランコリー、スキゾフレニア、さまよえる自己の章が圧倒的。さすがに本職だけある。また読み返して理解を固めたいものだが、反論できるほど、批判的に読めるほどの力はまだ備わってないような。捲土重来を期す。
テーマの一貫性も素敵。いい本だった。