本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480015907
感想・レビュー・書評
-
江戸時代における朱子学の受容が果たした役割について論じている本です。
丸山眞男は、自然と規範が一つになった朱子学が江戸幕府の体制教学となり、荻生徂徠によってそうした朱子学への批判がなされたことを、日本精神史における「近代」の萌芽として評価しました。このような見解に対して、江戸時代の当初から朱子学が体制教学として機能していたのではないという尾藤正英の批判があります。著者はこうした議論を踏まえつつ、伊藤仁斎や荻生徂徠らの「反朱子学」そのものが、心と宇宙を包括的体系によってとらえ、心にそなわる理を原理化する朱子学を下敷きにしてはじめて成立しえたことを明らかにしています。
また、日本近世におけるさまざまな学派の並立が、朱子学そのものを否定ないし相対化する学説の存在を容易にし、洋学の受容と「近代化」への道を開いていったのではないかという見通しが語られています。
もう少し入門的な内容を期待して本書を手にとったのですが、思っていた内容とはすこし異なっており、著者自身の日本近世思想史に対する見方が強く押し出されています。この分野における基礎知識を欠いている者としては本書の内容がどれほど妥当なのか判断することはできませんが、興味深く読みました。詳細をみるコメント0件をすべて表示
全2件中 1 - 2件を表示