古本屋五十年 (ちくま文庫)

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  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480039699

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  • 古本屋さんとはこんな商売だったのか!
    何の商売も苦労はある、浮き沈みの、哀感もただよう読み物であり、
    本を称える詩のような本でもある。

    本の仕入はどのようにするのかだとか、
    古本と古書、古書籍(明治10年頃までの古い本)の違いだとか
    なかなかおもしろい。
    白っぽい本(新しい)、黒っぽい本(古い)の呼び名も愉快。

    昔、廃品で出してしまった本が何処へ行ったか知りたかったが、
    「建場廻り」といって古紙回収業に古本を仕入に行くところなどを読むと、
    私の処分した本も拾ってくれたかもしれないなんて、変な安心したり。

    私は二三年前まで、読む本は本屋さんで買うか友人知人に借りるか図書館。
    古本屋さん利用はたまたま。
    デパートの催場だとか駅構内とかでやっている時に買ったりしただけ。
    神保町も近いのに年に一回行くか、ぐらい。

    ところが、「なんとかオフ」(大型店)の出現、
    安い文庫本の大量に買い込むことが、ちかごろ半端でなくなった私。
    積読本が山だよ!と嘆きつつも潤った気分である。

    読みたくてさがし絶版ものを見つけた時(しかも105円で)は
    ちょっと嬉しさ隠しきれず。

    それがこの本の著者青木さんの商売「街の古本屋さん」を困らせている。

    素人の私でも大型店が本をモノとして(本の知識なしに)
    売っているのはどうかなーという気持ちもある。

    でも、青木さんは生き残りの秘策をこの本に託して書いている。
    のようだ。それは何か?
    この本の面白いところはそこ。

    青木さん、文学好きだったから始めた商売だとか、
    古本屋さんてみんなそうじゃなかったのかしらん。

  • 昭和28年に20歳で古本屋を開業した著者の記録。何気なく立ち寄る歴史ありげな古本屋さんにはこんな商売の苦労と視点があったんだと驚く。何十年も先輩で知識量の豊富な同業者と渡り合えるまでの話を聞くと、やっぱり特別なスキルがある人が古本屋を成立させているように思う。値付けや価値観の変化の解説は「プロはそこを見るのか」と面白い。

    元の本は1982年の自費出版、それに1992年に増補再編集して文庫化は2004年。今は2017年。さらに変わって、さらに遠くなりつつある。

  • 堀切青木書店の50年史。昔の葛飾の野が脳裏に広がる。

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著者プロフィール

1933年東京生まれ。53年、葛飾区堀切に古本屋を開業。商売のかたわら近代作家の原稿・書簡、無名人の自筆日記などの蒐集に励む。『肉筆で読む作家の手紙』(本の雑誌社)、『古本屋群雄伝』(ちくま文庫)、『東京下町古本屋三十年』(青木書店)など、著書多数。

「2018年 『文藝春秋作家原稿流出始末記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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