歴史のこわさと面白さ (ちくまプリマーブックス 64)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480041647

作品紹介・あらすじ

日本はいつから皇国日本へとむかったのか。いつだったら戦争をふせぐことができたのだろう。個々人の思いをこえ、時代の大きなうねりや激流に翻弄された昭和の歴史。歴史の意外な展開を検証しつつ、世界が激動するいま、私たちに選択できることは何かを考える。

感想・レビュー・書評

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  •  いつこの本を買ったか、よく覚えていない。おそらく高校時代だったと思うが、それだけ昔に買った本である。
     20世紀の日本、いや日本近現代史を考える基礎として、最適な入門書であると思う。
     「歴史のこわさと面白さ」、著者は「意図と結果の乖離」と言いかえてもいる。気がついたら、全然違うところにいる。そんなことはないだろうか。「こんなはずじゃなかったのに」、そういうことが歴史を動かしたりする。だから歴史は面白い。そんな気にさせてくれる本だ。
     構成のとおり、民衆史、オーラル・ヒストリー、地域史等々、幅広く目配りがされている。そして、著者の経験を踏まえた叙述が彩りを添えている。特にヘレン・ミアーズの論文から、護良親王伝説と餅なし正月へと迫るくだりは、推理小説のようにスリリングで大変興味深かった。
     また、著者は最後に「歴史は同じことをくりかえさない。それをくりかえすのは人間だ。」というヴォルテールの言葉を引用している。よくも悪くも、歴史を動かすのは人間だということか。別に人間中心主義ということではないが、やはり歴史の面白さはいろいろな人との出会いにあると思う。そうでないと、そんなに面白いもんじゃないような気が、個人的にはするのだが。
     著者の中村氏は一橋大学名誉教授。「最後の講座派」を自認する日本近現代史家で、『近代日本地主制史研究』・『労働者と農民』・『現代史を学ぶ―戦後改革と現代日本』など数々の著書がある。
     ちなみに、中村氏が学会発表で「他者批判は自分も傷つく」という発言をしていたのが、私にとっては忘れられない。

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