平家物語: 語りのテクスト (ちくま新書 173)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 38
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480057730

作品紹介・あらすじ

「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」に始まる詠嘆口調の名調子と雄渾無双のスタイルで、今も人々の心を魅了する『平家物語』。それは浄土教信仰による終末論と無常観を背景に、源氏と平家の興亡を通して人の栄華のはかなさを描いたものとされている。しかしこの物語には、武家政権を王朝の秩序に組み入れるという、王権の側の隠された意図があった。「語り」から「文字」へのテクスト生成の現場を検証し、日本史と国文学の境界を超えた斬新な入門書。

感想・レビュー・書評

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  • 同じ筆者の『平家物語の読み方』のほうが、新しくよくまとまっている印象。

    紅白の概念が平家物語に由来するとは、実は最近知ったのだけど、そう思うと今日の日本社会にも充分根付いている。
    物語はフィクションだけれど、その影響が今の私たちに繋がっていると考えると面白い。

    「その対抗形式じたいが、日本社会という全体の枠組みを保証している。日本的な内乱の形式が、日本的な「祝祭」のスタイルをつくりだしたのである。」

    「物語世界は文字テクストとして在るのではない。それは語られるそのつど、語り手の声をとおして一回的に呼びおこされる。」

    平家物語を語ることの意味とは、何か。
    その背景を知ることの魅力は大きい。

  • 平家物語を語り物として捉える観点は兵藤裕己さんがこの書でやったことであり、一般読書にんにも面白く読めるように作られています。

    特に、平家物語の存在意義と鎮魂の役割の話は面白い。平家を学ぶ上では欠かせない一冊ですし、日本文学をやるなら一度は読んでおきたい作品です。考え方が強くなります。

  • [ 内容 ]
    「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」に始まる詠嘆口調の名調子と雄渾無双のスタイルで、今も人々の心を魅了する『平家物語』。
    それは浄土教信仰による終末論と無常観を背景に、源氏と平家の興亡を通して人の栄華のはかなさを描いたものとされている。
    しかしこの物語には、武家政権を王朝の秩序に組み入れるという、王権の側の隠された意図があった。
    「語り」から「文字」へのテクスト生成の現場を検証し、日本史と国文学の境界を超えた斬新な入門書。

    [ 目次 ]
    第1部 歴史の構想(祇園精舎 清盛と重盛 頼朝の挙兵 源平交替史)
    第2部 反転する世界(終末の不安 怨霊・天魔・物の怪 テクストの流動)
    第3部 「平家」語りの生成(語りのネットワーク 鎮まらざるもの 悪人の往生 潅頂巻の成立)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 『平家物語』がなにがしかの〈歴史〉を語るテクストであるととらえたとき、そのような〈歴史〉を〈語る〉=〈騙る〉ことの持つ意味とは何か。〈歴史〉をカタることの政治性、というのは、じつは現代的でアクチュアルな問題だと思うし、そういう意味でも非常に興味深く読めました。同様の内容は<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894761564/toraushi-22/" target="_blank">『物語・オーラリティ・共同体』</a>に収録されているいくつかの文章と、内容的には重複しています。が、やっぱり面白い。(20070227)

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著者プロフィール

学習院大学文学部教授。研究分野○日本文学・芸能 著書等○『太平記〈よみ〉の可能性』(講談社学術文庫、二〇〇五年)、『琵琶法師』(岩波新書、二〇〇九年)、『平家物語の読み方』(ちくま学芸文庫、二〇一一年)など。

「2014年 『『太平記』をとらえる 第一巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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