立ち直るための心理療法 (ちくま新書 348)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480059482

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  • 好感を持って読んだ。「心理療法ってなにするの?」「精神科にかかるほどじゃないけど…」ともやもやしてる方におすすめ。

    基本姿勢は、
    「『どうして病気になったのか』ではなく、『どうすれば病気が治るのか』という問題を考える時、通常の医療では常識とされる『発病の原因は何か』という因果論的な発想は立ち直るためには必ずしも力にはなりません。」(p.52)
    「治療というのは『発病するのに至った道を逆に引き返す』というようなものではありません。発病の道のりと治療の道のりは決してパラレルではなく、『発病の論理』とは異なる『治療の論理』が必要とされます。」(p.56)


    著者が自身の苦悩を「なんとかする」ためにあらゆる手段を体験した、その経験から書かれている後半は特に役にたつと思う。
    (フロイトについて説明しないでいきなり局所論の説明に入るのはびっくりするかもしれないけど^^;)

    もちろん、ご自身も書かれているように、体験したものを中心に書くことになるので、その範囲の外にあるものについては触れられていない。でもその範囲の広さはなかなかのもの。

    日本で「芸術療法」と呼ばれるものと、欧米で「アートセラピー」と呼ばれるものがいかに違うか、なんてことがきちんと書かれているのは大変嬉しく読んだ。

    一方で、「音楽療法」について、「音楽を聴くもの」と「自ら演奏するもの」に分けて、「聴くもの」について軽く触れているのみ。先の例に倣っていえば、欧米での音楽療法は「聴くもの」メインとは到底思えないので、その辺は体験主義の限界か^^;

    個人的には、アントノフスキーの研究について知れたのはとても良かった!

  • [ 内容 ]
    うつ病、心身症、神経症などの「心の病気」から立ち直るにはどんな方法があるのか。
    「トラウマ」のせいにしても問題は解決しない。
    どのようなストレスを受けても、人間にはそれに抵抗する力があり、その力を伸ばすこともできる、という点に注目するほうが解決への近道。
    現場を知り尽くした著者が、心理療法のさまざまな実践例、精神科医やカウンセラーの上手な使い方を紹介する。

    [ 目次 ]
    第1章 心の病気にはどんな種類のものがあるか
    第2章 トラウマ理論をぶっとばせ
    第3章 精神科医・カウンセラーの上手な使い方
    第4章 心理療法はどんなことをやるのか
    第5章 心の病気の治り方

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 受け入れる。いい加減(余裕を持って)で対応する。時間。相手を励ます。暖かさ。

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著者プロフィール

1958年東京生まれ。京都大学文学部心理学科卒業。精神病院の相談室長などを経て、現在、西武文理大学講師、桜美林大学アカデミー講師。臨床心理士。テレビ・新聞などでのコメントの機会も多い。著書『依存性パーソナリティ障害入門』(日本評論社、2004年)、『平気で他人の心を踏みにじる人々-反社会性人格障害とは何か』(春秋社、2006年)、『困った上司、はた迷惑な部下』(PHP新書、2007年)、『パーソナリティ障害』(講談社選書メチエ、2008年)など多数。

「2008年 『無差別殺人と妄想性パーソナリティ障害』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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