日本の治安は再生できるか (ちくま新書 416)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480061164

感想・レビュー・書評

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  • [ 内容 ]
    この数年、体感治安は年毎に悪化している。
    たとえば平成13年の犯罪状況に関するデータによれば、検挙率が低下する一方で、凶悪犯罪は増加し続けている。
    戦後、重大犯罪はほぼ一貫して減少傾向にあったが、平成に入ってその傾向は止まり、逆に上昇に転じた。
    いまや日本は、これまで経験したことのない事態に直面しつつある。
    日本の治安は、なぜ急速に悪化したのだろうか。
    少年非行や外国人犯罪、身近な犯罪としての窃盗罪など戦後の犯罪事情を多面的にたどり、変質する日本社会の深層をさぐる。

    [ 目次 ]
    第1章 危機的な治安状況
    第2章 国家の存立を脅かす外国人犯罪
    第3章 治安悪化の根源としての少年問題
    第4章 驚異的な治安大国だった日本
    第5章 社会の変化と「犯罪」の考え方の変化
    第6章 新しい秩序を求めて

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 読み始めてから気がついたが、発行年度がちょっと古い。現在読むべき本は他にあるかも。

    少年事件が増え続けていることを指摘。
    少年事件・外国人事件を中心に対策すべきと主張。
    しかし、対応策は国がやるといずれも金がかかる(警察・司法・入国管理・少年院)。民間もできるところから自助努力すべきと主張(監視カメラ等)。

    法律畑の人から見ると、全体的に伝統重視・規律重視に見えるかも。

    それと、データの出所が明示されていない。新書だからなのか知らないが。

  • 近時のわが国における治安悪化の主因を少年犯罪と外国人犯罪の増加によるものとしてとらえ、少年法と入国管理の強化や厳罰によって治安を取り戻そうという主張を展開しています。著者は刑事法学者として有名で、豊富なデータによって淡々と検証を進めていますので、日本の治安を取り戻す方策について考える際の手引書としては最適だと思います。

  •  警察による犯罪者検挙率が減り、少年犯罪や外国人犯罪が増加し、治安が悪化している。治安回復には人々が「規範意識」を持つことが必要だというのが趣旨。結論から言えば、嘘八百を撒き散らすトンデモ本。

     ところが、検挙率の減少は、警察がより重大な事件に時間を割くようになったため(浜井浩一・芹沢一也『犯罪不安社会』光文社新書 参照)だし、少年犯罪の増加というのも大嘘で、終戦から『ALWAYS 三丁目の夕日』なんていう懐古主義的な作品で扱われた昭和20~30年代がピークでした(『犯罪不安社会』、及びパオロ・マッツァリーノ『反社会学講座』ちくま文庫 参照)。この頃に比べれば、ここ数年の少年による殺人も強盗も強姦は半数以下。

     「規範意識」を持たせるために「愛」や「心」を教える、とはどういうことだろうか。「殺したいほど憎い奴がいる」と言って包丁を振り回す人間に向かって、「人の命を大事にしろ」とか道徳論を述べること?そんなことで人殺しを思い留まるようであれば、殺人なんてとうの昔から存在しない。

     統計上では犯罪数が減っているにもかかわらず、人々が治安が悪化していると思い込んでいるのはなぜだろうか。

     私は、お上としては、大人の事情のため(たとえばお金とか権力とか)いろいろな法律や規制を定めるには、治安が悪化していると人々が思い込んだほうが都合がいいだろうし、マスコミとしては、恐怖を煽れば人々の注目を集められて視聴率や読者を増やせるからだと思う。

     いわゆる「怖いもの見たさ」というやつで、お化け屋敷やジェットコースターが大抵の遊園地の人気アトラクションであるのと同じような理屈。

     オウム真理教によるサリン事件や酒鬼薔薇事件が起こったあたりからだと思うが、その頃からメディアで「安全神話の崩壊」という言葉が普及した。大体、「安全神話」なんていう妄想を信じ込んでいた連中に問題があるのでは、と思います。何の裏付けのない絵空事に胡坐をかき続け、それを疑問に思わなかったのだから。

     そういう意味では、「治安が悪くなった」というのは誤認だとはいえ、以前よりは人々の治安に対する考え方はマシになったのでは?あんまり「昔のほうが治安がよかった」なんて言われるとウンザリするけど。 

  • 日本の犯罪件数の激増と内容の深刻化を提示したデータをもとに、犯罪件数増加の主要因と考えられる「外国人犯罪」「少年犯罪」について考察しているが、その対応策として挙げられているほとんどは「入国管理の厳正化」「少年への厳罰化」という、いわば締め付けを強くすることで犯罪件数を抑止しようとするものである。
    http://d.hatena.ne.jp/hachiro86/20061212#p1

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著者プロフィール

東京都立大学名誉教授

「2022年 『刑事訴訟法講義 第7版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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