- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480061355
作品紹介・あらすじ
今、こころが危ないと指摘する声が増えている。こころの病は、成長しようとする自己が殻を破るときに現れる症状のことだ。だから病を治癒しようと外からこころにかかわるのでなく、相手との関係の中に入ってゆくことが大事なのだ。カウンセラーがクライエントを指導するのでなくこころの交流を通じてこそ癒しは得られる。毎月一五〇人以上のクライエントの相手をしている開業臨床心理士が、傷ついたこころを癒す理論と技法をドキュメンタリー形式で公開する。
感想・レビュー・書評
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カウンセリングの実践の場面において、ユング心理学の基本的な考えかたがどのように生かされるのかということに焦点をあてた入門書です。
著者は、フロイトの精神分析とユング心理学の基本的な考えかたを対比的に解説します。フロイトは、精神分析をあくまでも科学であると確信しており、生物学に根拠をもつ本能的なエネルギーが心に作用するという因果論的な発想にもとづいて、クライアントの「抑圧」を明らかにすることで、無意識の神的内容を意識化させるための理論を構築しました。これに対してユング心理学は、無意識を自我によってコントロールするという発想はしりぞけられ、意識と無意識という二つの領域から成る心の全体がおのずからしかるべき方向に変容していくという目的論的な志向をもつと著者は論じています。
そのうえで、カウンセリングという臨床の場において、クライアントとセラピストが向きあい相互交渉をおこなうなかで、意味のある共時的な付置が生じることに著者は注意を向けています。ここでは、因果的な関係ではなく共時的な関係が重要であり、それを通じてクライアントの心が全体としてバランスのとれた統合を実現することが、カウンセリングの目標です。
箱庭療法によって、クライアントの心が安定的な統合へ向かっていくプロセスが説明されていった症例が紹介されていますが、カウンセリングの実践について学びたい読者というよりも、はじめてユング心理学に触れる読者に向けて書かれた本だと感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
カウンセリングをしない、したことがない、そして私は今後することがない。
だから、何というか雲をつかむような話が多かったため、読後も何かぼんやりしている。
ただ、3章「こころとは」にはまさしく求めていたユングがあった。
潜在意識、気になって気になって仕方がない。 -
ユング派だけでなく、他の心理療法についても説明がありわかりやすい。
実際の逐語形式で、カウンセラーの思考や心理状態も描写しているので、カウンセラーとしての立場で場面場面とらえることができる。クライエントと逆転移して、自分も過去に遡ったり、夢を見たりで、一人のクライエントへのエネルギーの投入は相当大変なもの。カウンセラーが僧侶であることも興味深い。 -
20/6/11
ユング派>病名の診断について否定的
なぜではなく、何のために病気になったのか
4と言う数字は全体性のシンボル
イメージは主観を離れて独立した存在として現実性を持つもの
「こころ」を働かせることとは、想像力を豊かに働かせることに他なりません