こんなに使える経済学: 肥満から出世まで (ちくま新書 701)

制作 : 大竹 文雄 
  • 筑摩書房
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感想 : 52
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480064004

感想・レビュー・書評

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  • 経済学とはお金の話・・・などと思うなかれ。

    何がインセンティブになるのか、を考え、人の行動に影響を与える仕組みづくりを考えることができる学問・・・というふうに理解しました。

  • 経済学的な思考とは個人と大衆的な、もしくはミクロとマクロ的な違いをどこまで想定できるかということなんだな。そのうえで、7勝7敗の力士の勝率や、不況時の公共事業の意味、解雇制限が社会全体に及ぼす影響、美人の給与は上がるのか、早生まれのスポーツ選手や大学生、利己的な日本人に相続争いが起きる理由とその経済学的な利点、などなど説明してくれている。おもしろかった。

  • 様々な社会問題を経済学の視点から説明.学年ごと(3月生まれと4月生まれの差)の競争が公平か?教師の質はなぜ低下したのか?などは非常に面白かった.軽く読めます.

  • 騒音おばさんとコースの定理(大竹先生)面白い

  • 日本人は真面目なので貯蓄好き。
    これまで国民性から説明されてきたことが、経済学的に見ると、制度に誘導された行動だと分かる。
    これが面白かった。

    実は貯蓄の話は、本書を読む前から知っていたのdが・・・。
    それと重なるような話がもうひとつ。
    ゲーム理論通りに説明できない「いじわる行動」が、アメリカ人より、中国人より多いのだとか。
    公共財への支出は自分はなるべく払わずに、できればただ乗りしたいという行動を取る人が多いらしい。
    これは、日本人は公共心が強い、というイメージと大きく矛盾する。
    さらに、誰がいくら払っているか分かる制度にすると、日本人の納付額が上がるという。
    これは何か、さもありなんと思えた。

    学問を切り口にすることで、違うものが見えてくるんだな、ということが分かる。
    その意味で楽しかった本。

  •  人が太っているかやせているかは、どこで決まるのか。「食習慣」とか「遺伝的な要因」とか、いろんなことが言われているが……「せっかちさ」に関係がある、というのが経済学を利用すればわかるのだという。ほかにも、「教師の質が低下したのは男女平等がすすんだから」「日本人が『貯蓄好き』だったのは、たんに平均年齢が若かったから」といった、ちょっとばかし角度の変わった論考が盛りだくさん。
     経済学を学んでも、株でもうけられるというわけにはいかず、景気を予測するのも難しく。じゃあなんの役に立つの? と言いたいところだが、やっぱりいろいろ役に立つんです、経済学的なものの見方がわかれば今までとは違った視点でものが考えられますよ、というのが本書。考え方としては、編者の著作である『経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには』(大竹文雄/中公新書)の続編といっていい。
     経済学的な視点がわかりやすく出ているのが「美男美女への賃金優遇は不合理か」だと思う。「容姿情報を本人に無断でランク付けした」として派遣会社が追及されたことがあった。しかし、アメリカの研究によると、実際に容姿によって6%弱の賃金格差が生じていて、その差は大学卒の学位による効果よりも大きかったという。それを見て見ぬふりをすれば、実際には「容姿の分だけ高い給料をもらえたはずの人」がいなくなり、そのプレミアムは経営者のものとなる。どのみちどこかにゆがみは生じるというわけだ。〈そもそも、容姿を知力や体力など他の資質と区別する理由はない。生まれつき賢い人とそうでない人の差を事前に解消する政策はないのに、容姿による差だけを解消しようとするのは冷静な議論とはいえない。帰省という事前介入は思い通りの結果を生まないので、容姿による格差もその他の格差と同様、累進所得税による事後的な再配分で解決を図ればよい〉というのは、「経済学的なものの見方」の典型であると思う。
     もとが雑誌連載なので、1テーマ5ページくらいでまとめてあるし、図版類も豊富でたいへん読みやすい。ものの考え方は右と左だけにあるのではないとわかったあと、実際的で魅力的な解決方法を考えるやり方を知りたい「大人」向けに好適。

  • 序の部分に経済学の一般のイメージはお金の儲け方・景気の将来予測と思うだろうが、本来はインセンティブ(意欲刺激)をうまく設計して社会全体が豊かになるような仕組みを考える学問ということが書いてあり、目から鱗だった。
    経済学的視点からの世の中のあれこれは、なるほどとおもしろかった
    「騒音おばさん」への経済学的アプローチとか解雇規制が厳しいほど就業率は低いなどなるほど~と思わされることが多々あった。
    人は幸福になろうとインセンティブを持って行動している

  • 一般的な経済学への誤解を解き、経済学が本質的には「社会の仕組みを説明し、どうしたら人々が幸せになれるかを考えること」であることを事例を出して説明している本。個人的には騒音おばさんの例で出てきた話が目からウロコであった。問題はオビ「見事に解決」は出来てないよと。解決→説明なら正しい。

  • [ 内容 ]
    経済学は一体なんの役に立つのか?
    経済学的な考え方を身につければ、肥満やタバコ中毒、出世や談合、耐震偽装といった問題を、これまでとはまったく異なる視点で見ることができるようになる。
    本書は身近な話やだれもが知るような話題を取り上げ、それを経済学の視点で分かりやすく論じており、読み進めるうちに経済学のエッセンスが理解できるようになる入門書である。

    [ 目次 ]
    序 「経済学は役立たず」は本当か
    第1章 なぜあなたは太り、あの人はやせるのか
    第2章 教師の質はなぜ低下したのか
    第3章 セット販売商品はお買い得か
    第4章 銀行はなぜ担保を取るのか
    第5章 お金の節約が効率を悪化させる
    第6章 解雇規制は労働者を守ったのか

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