「中国問題」の内幕 (ちくま新書 706)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480064097

感想・レビュー・書評

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  • 普段は新聞などで読む中国関係のニュースしか目にしないが、そこで見えてくるのは表面的な事象ばかり。背景の分析は非常に浅いものと感じていた。この本は情報分析の質が違う。数多く流される中国の様々なニュースの裏の背景をいろいろ知ることができ、中国の政治を知る優れた本である。

  • [ 内容 ]
    日中貿易はすでに日米貿易の規模を超えた。
    その一方で、中国の国防予算は毎年二ケタの上昇を続け、しばしば「反日」騒動が起きるなど、「政冷経熱」の日中関係は依然として予断を許さない微妙な段階にある。
    さらに近年の資料争奪戦や激しい環境破壊、台湾との高まる緊張関係は、世界秩序に大きな影響を及ぼしている。
    しかも、国内の格差の拡大は中国社会を極めて不安定なものにしている。
    「台湾問題」「共青団と上海閥」「人民解放軍」「格差問題」「中央宣伝部とメディア」「一党独裁下の資本主義」などのテーマを通じ、矛盾を抱えながら膨脹する巨大国家の行方を解剖する。

    [ 目次 ]
    プロローグ―「不思議の国」と付き合う法
    第1章 温家宝首相の来日を追う
    第2章 歴史に呪縛された日中関係
    第3章 試練に立つ共産党支配
    第4章 台頭する共青団の実力
    第5章 中国軍の思想と行動
    第6章 社会を破壊する格差
    第7章 党中央宣伝部とメディアの自由
    第8章 未完の「胡錦涛革命」

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    [ 参考となる書評 ]

  • こういう本は、時期ものなので、自分の思考のOSみたいなものにはなりにくいと思いますが、内容を中国の社会問題全般というより、共産党における内部闘争に焦点を当てたことにより、内容が濃くなっており面白く読めました。

    現在中国は、毛沢東・周恩来・鄧小平というカリスマがいなくなり、共産党の内部は「上海グループ」(新興富裕経済系)・「団派」(共産党青年系)・「太子党」(革命家子弟系)による利権を絡めた派閥抗争が激化しており、これに加えて「人民解放軍」の存在が事を複雑にしているみたいです。
    この事からわかるように、この本の中にも書かれていることですが、どうも現在の中国は、戦前の日本の状況に似ているようです。
    幕末・明治からの元勲が不在と成り、藩閥政党、藩閥解体後の政党の権力闘争、経済不況による社会不安を背景とした軍部の台頭、このような流れとかぶります。

    これらから思うに、今後の注目すべき面は、人民解放軍の動向及び、社会不安に対する中国人民の大きな思想動向にあると思います。
    日本においても、日比谷焼き討ち事件などに始まる国民の近視眼的ナショナリズムなどが、軍部の台頭を大きく後押しした事と思います。
    さらに、第一次大戦後の経済不況と軍部の皇道派などによる2・26事件などにみられるテロが結びつき、政権は軍閥とナショナリズムにより左右されていく感が強くなっていきます。
    中国も、現在の経済格差がさらに強まったり、経済不況が始まると人民の不満は高まり、国策によるナショナリズム教育によるものと結びつき、大きなうねりとなると、今後の派閥抗争を経てしっかりした政権基盤を持つ指導体制となったとしても、国の運営にとっても難しい問題となるでしょう。
    さらに、国軍ではなく党の軍隊であり、強力な影響力を持つ人民解放軍による「軍拡」指向と、地方方面軍が力を持つという独特の形態が、上記の人民の社会不安のうねりと結びつくと、国内統治のみならず、対外政策においても、党中央はコントロールが難しくなるかもしれません。

    日本人も、このような状況があることを勉強して、感情論でのうねりを作ることは慎重に
    ならないといけないかもしれません。
    日本でも、中国国内への「人的パイプ」や「要人発言」の扱いなどのソフトスキルの能力が高い人物の育成が求められているのかもしれません。
    これらに、極東ではロシアが加わってくるので、なかなか難しくはありますが・・・。

    で、投資はというと、まあこの先どうなるかはわからないので、大きな投資は控えめにして比率は今まで通りあまり高めずにいきたいと思います。

  • ・・・こんな本読んだっけ?いつ買ったかすらわかんない。

  • 中国の政治の難しさが分かる一冊。政治の血生臭さみたいなものがふんだんに書かれている。「なぜ、こうなっているのか?」という疑問がもしかすると解決するだろう。権力争いは歴史において全世界でおそらくこのようなことが展開されているのだろうが、現代社会においては一党体制の中国の特殊な政治体制だからこそという感じがする。この本は、近年の中国の政治の流れをつかみやすくさせる意味を持っていると思う。

  • 本書を読んでの覚書 その1
     大づかみに現代の中南海は、胡錦濤率いる共産主義青年団グループと江沢民率いる上海グループがあり、共青団グループは清廉だが経済に疎く、上海グループは腐敗しているが経済に強い。胡は上海グループ重鎮を収賄で逮捕したり、逆に厚遇したりとたくみに上海閥の影響力を排除しようとする。工作は進んではいるが順調ではない。「太子党」と称する有力幹部の子弟が共産党や国の有力な地位を占める。選挙という儀式を通過している日本でさえ世襲批判が強いのに、有力者の心ひとつで地位や逮捕不逮捕が決まってしまうのだから、中国一般市民の不満は強い.。胡錦濤と江沢民グループの共産党内の闘争下に現状はあるようだ。

  • 中国問題に詳しいジャーナリストは数多くいるが、著者の清水氏は信頼に足る一人である。
    さまざまに報道される「中国問題」を分かりやすく説明している。
    「東アジアの主役が、すでに日本ではなく中国になったのは、残念ながら現実だ」。都市と農村の2元社会、大同思想の復権、共青団・太子党・上海派、共産党内の特殊利益集団、空母への協力を表明した米軍、など「仮説」への興味は尽きない。

  • 現代中国の諸問題とその見通しを概観した一書。詳しくは<a href="http://d.hatena.ne.jp/rockfield/">こちら</a>に書いてあります。

  • 2008/3
    タイトルどおり、中国の現状について詳細に書かれている。もちろん日中関係を軸としているが、中国内部の権力争い、国際的な視点での政策の選択など、とても詳しく書かれていて、オススメできる一冊。

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