- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480064288
感想・レビュー・書評
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国際金融の争い→主に西大西洋上において起こる。
最初はイギリス(大英帝国)。未だに為替取引市場ではロンドン市場が首位である。
金融=政治は密接に結びついている。
→メディチ家とイタリア諸国。
→アメリカの外交政策
経済力と金融力は必ずしも一致しない
pp.110
「財務省とFRBとの間で1951年に成立したのが「アコード」と呼ばれる協定である。これによって、FRBは国債の買い支えではなく独自の金融政策による政策運営を獲得することになり、さらに公開市場操作は短期債のみに限定されることになった。財務省は国債管理政策を担当することとなり、ここに財務省とFRBの「棲み分け」が規定されることにもなったのである。」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
金融や経済について書かれた本は多くありますが、金融の歴史について書かれた本に出合えたのは数少ない体験でした。国家と金融の歴史は密接にかかわってきていると思いますが、その内容について読むことができたのは貴重でした。
ドルが基軸通貨になってから久しく経過します、米国の貿易・財政赤字が恒常化しているために、近い将来に基軸通貨の役割を終えてしまうだろうという考えが出ている中で、この本を読んでよかったと思いました。特に、基軸通貨の座を米国に譲った英国が、いまだに多くの資金を集めて、米国・カリブ・英国でお金のやりとりがされているという事実(p71)には驚きました。
以下は気になったポイントです。
・基軸通貨を持つ米国にとって、金融力は軍事力に劣らぬ、あるいは核兵器よりも威力を発揮しえる力である(p17)
・日露戦争時に日本は、ロンドン・ニューヨーク・パリ等の市場において、総額8200万ポンド(戦費の40%)の資金調達を行った(p19)
・ローマ教会は、為替手形による取引は為替リスクをとった商いであり、高利貸しではないとの判断を下した、これにより銀行と協会との距離感が緊密にさせた(p47)
・海運王国のオランダに挑戦した英国が次の覇者になったのは、英蘭戦争で勝利したことも一因であるが、交易構造の変化(香料からコーヒー、綿織物)もある(p51)
・スタンダード石油は、オハイオ州に設立したトラスト(企業グループ)が違法であると指摘を受けると、それが合法になっているニュージャージー州に拠点を移した(p64)
・資金の流れで断然大きいのは、英国から米国への流れ(1970億ドル)であり、続いて米国からカリブ(1140)である(p71)
・20世紀に金融覇権を奪取する米国も、19世紀半ばまでは、メキシコ銀貨・英国ソブリン金貨・ブラジル金貨等の多くの通貨が流通していた、ドルが法定通貨になったのは、1861年である(p78)
・世界銀行(IBRD)、国際通貨基金(IMF)を始めとして多くの機関において米国は圧倒的な議決権を保有しており、金融市場が「ドル離れ」を起こしても、制度的に離れられない仕組みになっている(p114)
・外貨準備とは、対内債務の増加(政府短期証券は2006年末で100兆円)と引き換えに対外債権を増やしているに過ぎない(p132)
・1929年の米国での株価が急落するまでは、米国がドイツに資金を投じて、その資金で英仏に支払いを行い、英仏はその資金で米国への負債の返済をしていた、急落により米国資本の逆流が起きて、その循環が停止した(p145)
・デラウェア州は、州内で事業を行わない限り、州の所得税が課せられない、支払うのはフランチャイズ・タックスと呼ばれる定額税金のみ、上場企業の4割は本拠地をデラウェア州においている(p189)
・清国から得た当時の一般会計歳出4年分に相当する3800万ポンドという巨額賠償を得て、横浜正金銀行のロンドン支店がその扱いを委託される、その資産を継承したのが東京銀行である(p204)
・2007年に発覚した欧米銀行による証券化商品運用スキーム(サブプライムローン関連)は、BIS規制の抜け穴を利用したものであり、実質的には、BIS規制は骨抜きになっていた(p221) -
金融の歴史と国家の関わりが説明されている。若干難しく感じる内容でしたが、金融の歴史を知るには良いと思いました。
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東京銀行出身で現在も金融界で活躍してるらしい、倉都康行氏の本。経済の歴史と、国際的な観点、日本の金融の弱点など、新書のわりにはモリモリ盛りだくさんな内容になってます。とくに、日本経済と金融、政治のつながりから繰り出される批判はなんかうなずけました。