父と子の思想: 日本の近代を読み解く (ちくま新書 790)

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  • 筑摩書房
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480064905

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  •  久々に、追いかけてみようという人に出会った。近代文学から現代まで、自らの個人史の上に依拠しながら堂々と論じている。
     日本にいるわけではないようなのが、残念だが、とにかく、柄谷行人が文学を論じなくなって、批評が消えてしまった荒野のような文芸や近代思想史の世界に新しい人を見つけたと、勝手に思い込ませてくれる。
    哲学の人らしいのだが、ぼくはいきなりファンになってしまった。

  • 受験生時代、河合塾で人気のあった「ビンメイ先生」の本です。先生ご本人のお父様との関係をとおした「父と子」というモチーフが、日本の近代のできごとと多層的に通じる問題とともに語られています。地方と都会、戦争・・・その時代に実際に生きた人のナマの声と、洞察がくわわり、厚い内容の新書になっています。
    十数年前、夫とドイツを旅行したとき、当時ベルリン在住だった先生が手作りのお料理でもてなしてくださり、町を案内して下さいました。

  • 父と子の思想―日本の近代を読み解く (ちくま新書)
    (和書)2012年08月20日 20:21
    小林 敏明 筑摩書房 2009年6月


    あまり期待せずに読んでみたけれど、かなり面白い内容でした。特に前半は秀逸だと思いました。

    キリスト教と社会主義との関係など非常に面白く読めました。

    しかし現代に関して、特に中上健次さんは僕も好きではあるけれど、近視眼的に書かれているように感じる。これは中上健次さんを吟味する時にどうしても避けられないものなのだろうと思う。ただもっと明確に語ることはできるし、それが躓きにならないことも可能だろうと思う。

    あまり僕みたいな者が言うべきことでは無いとも思う。

    『西田幾多郎の憂鬱』も借りてきたので次に読みたい。『フロイト講義〈死の欲動〉を読む』は図書館にリクエストしてあるので楽しみです。

  • たしかに、かつて「父の壁」というものがありました。重い重い宿命として。乗り越えるべきものの象徴として。私たちにとって「父」とは一体なんなのか、考えます。

  • [ 内容 ]
    父と子(特に息子)の間には、母とのそれにはない、独特な感情の交錯がある。
    しかし、そこにはまた、私的な関係におさまらないものも胚胎されているのではないか。
    本書は、近代日本における父子問題の典型を、夏目漱石、中野重治、中上健次の作品から浮きあがらせた前半部と、それらを思想的にとらえなおしたとき、何が見えてくるのかを論じた後半部からなる。
    父子関係がわれわれにとって持つ意味とは何か。
    読者は近代を貫く大きな問題系へと引き寄せられることだろう。

    [ 目次 ]
    なぜ父子を問題にするのか
    第1部 文学に見る父子(通じあえない父子;拮抗する父子;「父殺し」の試み)
    第2部 父子問題の射程とその行方(知識人をめぐって;家・田舎・辺境;回帰の構造;父子問題の現況について)

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著者プロフィール

ドイツ・ライプツィヒ大学教授を経て執筆活動に専念

「2020年 『闘う日本学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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