銀の世界史 (ちくま新書 1206)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480069122

感想・レビュー・書評

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  • #2024年に読んだ本 28冊目
    #4月に読んだ本 4冊目

    世界資本主義のはじまりの歴史
    奴隷制度の歴史でもあり
    そこまででとりあえずこの本は終わり

    その後、奴隷制度がなくなったことによって
    世界の金の動きがどう変わったのか…
    ということが気になります
    現代の金融世界はうまいこと
    回ってるのだろうか…?

  • グローバル化に銀がはたした役割を概観できる。面白く読めたが、できれば特に著者が他の論者とちがって強調したい部分を見せてくれるとよかった。アヘン戦争などアジアについての記述が勉強になった。

  • 209-I
    閲覧新書

  • 死ぬほど面白かった

  • 著者:祝田 秀全(イワタ シュウゼン) 予備校講師。
    文体:やや独特。特に句読点と文のつなぎ方。

    【版元】
    シリーズ:ちくま新書
    定価:本体820円+税
    Cコード:0220
    整理番号:1206
    刊行日: 2016/09/05
    判型:新書判
    ページ数:256
    ISBN:978-4-480-06912-2
    JANコード:9784480069122 

    一六世紀、南米ポトシ銀山で採掘された銀は、大量にヨーロッパに流入、世界中をかけめぐった。このとき地球をひとつの単位とする近代世界=グローバリゼーションという革命的状況が出現した。世界史は「銀の流れ」でつかむことができる。英国の綿工業・産業革命・覇権、黒人奴隷、プランテーション、スペインの凋落、オランダ独立、近代資本主義の誕生、コーヒーや茶の流行、明治の近代化、アヘン戦争、日清戦争…。銀で弾けた世界史のダイナミズムを、中心と周辺の関係から描き出す!
    http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480069122/

    【目次】
    目次 [003-008]
    はじめに [009-013]
    年表 [014-015]

    第一章 東西ヨーロッパの「棲み分け」 017
    一六世紀西ヨーロッパでなにが起こっていたのか/騎士道がリードした大航海時代/ヴァスコ・ダ・ガマは商人ではない、騎士である/商業革命が近代世界をつくりだしたのではない/コロンブスの後に「一日一トン」の銀が出た/すべてはセビリャの西インド商館が握っていた/人口増加と銀の大量流入と価格革命/価格革命は近代資本主義のきっかけとなった/なぜネーデルランドがヨーロッパ交易の中心になったのか/西欧の工業化はロンドン‐アントウェルペン枢軸で強まった/イギリスの毛織物はオーストリアやトルコにも届いた/価格革命が西欧と東欧の分業体制を生みだした/銀で潤ったはずのスペイン国庫は火の車

    第二章 銀と国際政治が「世界のオランダ」をつくった 045
    価格革命がオランダ商業帝国の足腰を鍛えた/オランダは価格革命のタイムラグを読んでいた/銀はスペインから敵国オランダに向かった/「西欧の首都」アントウェルペンの崩壊/銀はロンドン‐アントウェルペン枢軸でうず高くなる/フェリペ二世が欲しがった銀とイギリスとネーデルランド/「海の乞食団」が銀船を襲ってオランダは独立する/ヨーロッパ国際政治はオランダ独立戦争で動く/アムステルダムを中心とするヨーロッパ郷党システム/なぜ「銀の帝国」スペインは頂占から転がり落ちたのか/天井知らずのアシエントスがスペインの首を絞めた/オランダの銀は「戦争」に、思想は「平和」に向かった/「銀の帝国」オランダが完成するとき

    第三章 一七世紀のグローバル化と開かれた日本 069
    起ち上げられた世界のオランダ東インド会社/ポルトガル、フィレンツェ、オランダがインドで踊った/オランダがインドに輸出したのはなんと胡椒だった!/グローバル化は太平洋を渡ってメキシコからもやって来る/島国のニッポン銀もザックザク/エラスムスが徳川家康のもとへやって来た!?/明国に対抗した徳川プロテスタント同盟の結成/幻想に終わったスペイン船の浦賀貿易/徳川家康の自由貿易論とオランダのビジネス魂/日本銀がもたらす一七世紀グローバリゼーション/なぜオランダは東インドでイギリスに抜かれたのか/オランダの衰退はヨーロッパで起こった/ヨーロッパの海運秩序をつくったイギリス航海法/ジャガイモを資本主義発展の源泉にしたドイツ/世界中が踊るジャガイモ・スピリッツ/近代世界を描きだすマグマの噴出――黒人奴隷

    第四章 イギリスを頂点に押し上げた大西洋交易圏 101
    私をなんとかしたいならコーヒーをくれるだけでいいのよ/大西洋三角貿易は「貿易」ではない/イギリス・オランダ戦争と奴隷貿易――王立アフリカ会社の設立/西インドのジャマイカがイギリスを潤した――アシエント貿易/砂糖革命のステージとなった西インド諸島――サトウキビからラム酒まで/奴隷制と農場領主制が資本主義をささえた/なぜ産業革命は毛織物ではなく綿織物から始まったのか/なぜ産業革命はイギリスから始まったのか/イギリスはどのようにしてインドに入り込んだのかイギリス商館がインドで要塞化するとき/イギリスはベンガルに白羽の矢を立てたインドの銀をイギリスはどのようにゲットしたのかインドを襲ったデフレの大不況/歴史を変えたケイとクロンプトンの革命/馬が人を食い殺すとき/馬の節約が運河と鉄道を生んだ/きっかけは炭坑の排水と石炭だった/マルクスも驚いた史上初のワット革命/「世界の工場」を育てた一八世紀の大西洋交易圈/なぜ英仏植民地戦争はイギリスが勝ったのか/イングランド銀行は対フランス戦争の拠りどころ

    第五章 大英帝国の平和がアジアにやって来る 149
    マンチェスター商業会議所がもの申す/実現しなかった一七世紀の三角貿易計画/なぜイギリス東インド会社は清国に向かったのか/東インド会社を支えたのは私設会社の商人だった/ピットはロンドン国際貿易センターを構想した/なぜアヘン貿易は行なわれたのか/アヘン売込みターゲットは清国でなければならない/清国はアヘン貿易に賛成だった/自由貿易はアヘン貿易から始まった/そのときイギリスは自由貿易主義へ転換した/貿易とは「叩頭の礼」と「憐み」の精神である/自由貿易の戦士ネイピアは清国と戦争した/アへン戦争とはインド市場にカツを入れる戦争である/アヘンと綿製品はイギリス繁栄の車の両輪であった/七つの海がイギリスを世界一にした/日本は上海から「パクス・ブリタニカ」に組み込まれた

    第六章 近代日本の銀はどこから来たのか 183
    明治国家に銀はたらふくもたらされたのか/徳川使節団が上海で見たものとは/徳川ニッポンに共鳴した李鴻章/国際社会は主権国家どうしの対等から成り立っている/文明と野蛮の世界図式のなかで日本はなにを考えたのか/明治国家が清国と対立を深める理由/世界史のなかの江華島事件/ロシアの南進と江華島事件/日清戦争はギャラリーが熱い/三国干渉を決めたウィッテ外交/日清戦争の賠償金は銀で支払われなかった/賠償受け取りが描き出した東アジア情勢/列強による清国勢力分割/賠償の受取が金本位制をよび起した/金本位制が殖産興業と金融改革をよび起した/軍事拡張と金本位制と殖産興業は三位一体

    第七章 本書のエキス――中心・周辺と世界史のダイナミズム 221
    グローバリゼーションがイギリスから始まるとき/資本主義は一国では成立しないのだ/中心と周辺が結ばれて資本主義は動く/奴隷・インド・アヘンをつなぐ帝国ライン/電信線が世界市場をつなげる/世界史のダイナミズムは資本主義の分業システムにある

    あとがき コロンブスから近代日本まで貫く「銀」(七・一七星雲を仰ぎ見た五〇年目の夏 祝田 秀全) [239-243]
    参考文献 [245-247]

  • 新大陸で発見された銀が西欧に運ばれどのように経済、国家に影響を与えたか。銀をめぐる歴史が分かりやすく書かれていました。
    銀は経済の血液となり、その不足を補うために航路や植民地が拓かれ、アジアも巻き込みますがその中には幕末から明治にかけての日本も含まれます。
    西欧中心の世界史の中から見た日清戦争前後の北東アジアはとても興味深く読めました。

  • はじめに 銀が開いた世界史
    第一章 東西ヨーロッパの「棲み分け」
    十六世紀西ヨーロッパでなにが起こっていたのか
    騎士道がリードした大航海時代
    ヴァスコ・ダ・ガマは商人ではない、騎士である
    商業革命が近代世界をつくりだしたのではない
    コロンブスの後に「一日一トン」の銀が出た
    すべてはセビリャの西インド商館が握っていた
    人口増加と銀の大量流入と価格革命
    価格革命は近代資本主義のきっかけとなった
    なぜネーデルラントがヨーロッパ交易の中心になったのか
    西欧の工業化はロンドンーアントウェルペン枢軸で強まった
    イギリスの毛織物はオーストリアやトルコにも届いた
    価格革命が西欧と東欧の分業制を生みだした
    銀で潤ったはずのスペイン国庫は火の車
    第二章 銀と国際政治が「世界のオランダ」をつくった
    価格革命がオランダ商業帝国の足腰を鍛えた
    オランダは価格革命のタイムラグを読んでいた
    銀はスペインから敵国オランダに向かった
    「西欧の首都」アントウェルペンの崩壊
    銀はロンドンーアントウェルペン枢軸でうず高くなる
    フェリペ二世が欲しがった銀とイギリスとネーデルラント
    「海の乞食団」が銀船を襲ってオランダは独立する
    ヨーロッパ国際政治はオランダ独立戦争で動く
    アムステルダムを中心とするヨーロッパ郷党システム
    なぜ「銀の帝国」スペインは頂点から転がり落ちたのか
    天井知らずのアシエントスがスペインの首を絞めた
    オランダの銀は「戦争」に、思想は「平和」に向かった
    「銀の帝国」オランダが完成するとき
    第三章 十七世紀のグローバル化と開かれた日本
    起ち上げられた世界のオランダ東インド会社
    ポルトガル、フィレンツェ、オランダがインドで踊った
    オランダがインドに輸出したのはなんと胡椒だった!
    グローバル化は太平洋を渡ってメキシコからもやって来る
    島国のニッポン銀もザックザク
    エラスムスが徳川家康のもとへやって来た!?
    明国に対抗した徳川プロテスタント同盟の結成
    幻想に終わったスペイン船の浦賀貿易
    徳川家康の自由貿易論とオランダのビジネス魂
    日本銀がもたらす十七世紀グローバリゼーション
    なぜオランダは東インドでイギリスに抜かれたのか
    オランダの衰退はヨーロッパで起こった
    ヨーロッパの海運秩序をつくったイギリス航海法
    ジャガイモを資本主義発展の源泉にしたドイツ
    世界中が踊るジャガイモ・スピリッツ
    近代世界を描きだすマグマの噴出ーー黒人奴隷
    第四章 イギリスを頂点に押し上げた大西洋交易圏
    私をなんとかしたいならコーヒーをくれるだけでいいのよ
    大西洋三角貿易は「貿易」ではない
    イギリス・オランダ戦争と奴隷貿易ーー王立アフリカ会社の設立
    西インドのジャマイカがイギリスを潤したーーアシエント貿易
    砂糖革命のステージとなった西インド諸島ーーサトウキビからラム酒まで
    奴隷制と農場領主制が資本主義をささえた
    なぜ産業革命は毛織物ではなく綿織物から始まったのか
    なぜ産業革命はイギリスから始まったのか
    イギリスはどのようにしてインドに入り込んだのか
    イギリス商館がインドで要塞化するとき
    イギリスはベンガルに白羽の矢を立てた
    インドの銀をイギリスはどのようにゲットしたのか
    インドを襲ったデフレの大不況
    歴史を変えたケイとクロプトンの革命
    馬が人を食い殺すとき
    馬の節約が運河と鉄道を生んだ
    きっかけは炭坑の排水と石炭だった
    マルクスも驚いた史上初のワット革命
    「世界の工場」を育てた十八世紀の大西洋交易圏
    なぜ英仏植民地戦争はイギリスが勝ったのか
    イングランド銀行は対フランス戦争の拠りところ
    第五章 大英帝国の平和がアジアにやって来る
    マンチェスター商業会議所がもの申す
    実現しなかった十七世紀の三角貿易計画
    なぜイギリス東インド会社は清国に向かったのか
    東インド会社を支えたのは私設会社の商人だった
    ピットはロンドン国際貿易センターを構想した
    なぜアヘン貿易は行なわれたのか
    アヘン売込みのターゲットは清国でなければならない
    清国はアヘン貿易に賛成だった
    自由貿易はアヘン貿易から始まった
    そのときイギリスは自由貿易主義へ転換した
    貿易とは「叩頭の礼」と「憐み」の精神である
    自由貿易の戦士ネイピアは清国と戦争した
    アヘン戦争とはインド市場にカツを入れる戦争である
    アヘンと綿織物はイギリス繁栄の車の両輪であった
    七つの海がイギリスを世界一にした
    日本は上海から「パクス・ブリタニカ」に組み込まれた
    第六章 近代日本の銀はどこから来たのか
    明治国家に銀はたらふくもたらされたのか
    徳川使節団が上海で見たものとは
    徳川ニッポンに共鳴した李鴻章
    国際社会は主権国家どうしの対等から成り立っている
    文明と野蛮の世界図式のなかで日本はなにを考えたのか
    明治国家が清国と対立を深める理由
    世界史のなかの江華島事件
    ロシアの南進と江華島事件
    日清戦争はギャラリーが熱い
    三国干渉を決めたウィッテ外交
    日清戦争の賠償金は銀で支払われなかった
    賠償受け取りが描き出した東アジア情勢
    列強による清国勢力分割
    賠償の受取が金本位制をよび起こした
    金本位制が殖産興業と金融改革をよび起こした
    軍事拡張と金本位制と殖産興業は三位一体
    第七章 本書のエキスーー中心・周辺と世界史のダイナミズム
    グローバリゼーションがイギリスから始まるとき
    資本主義は一国では成立しないのだ
    中心と周辺が結ばれて資本主義は動く
    奴隷・インド・アヘンをつなぐ帝国ライン
    電信線が世界市場をつなげる
    世界史のダイナミズムは資本主義の分業システムにある
    あとがき コロンブスから近代日本まで貫く「銀」

  • 銀の流れを軸にとった世界史で、貨幣とモノと人の流れが、人類興隆後の地球の血流である以上、特に近世以降の歴史を俯瞰するには、視点として筋の良さを感じた。惜しいのは、文中にくだけた物言いと独特の言い回しが混在し、却って読み辛かったこと。個人の好みだろうが、折角良い情報を提供しているのだから、文章に格調を持たせても良かったと思う。

  • 世界を駆け巡った銀を中心に世界史の展開を読むことができます。スペイン・ポルトガル・オランダ・イギリスと覇権が変わっていく状況。そして、戦費や砂糖、綿の輸入に対する銀の輸出。この銀を何とか回収しようとする戦略。どれをとっても現代に通ずるコンテキストが豊富です。

  • 209.5||Iw

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著者プロフィール

◉──東京都出身。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所研究員を経て、聖心女子大学文学部歴史社会学科兼任講師となる。おもな著書に『東大生が身につけている教養としての世界史』(河出書房新社)、『歴史が面白くなる東大のディープな世界史』(KADOKAWA /中経出版)、『エリア別だから流れがつながる 世界史』(監修、朝日新聞出版)など多数ある。

「2023年 『箱庭西洋史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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