闇の日本美術 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 220
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480071682

作品紹介・あらすじ

こ、怖い…。思わず目を背けたくなる死、鬼、地獄、怪異、病、など闇が描かれた中世日本絵画の数々。その背景にある思想を数十点の図版とともに解説する。

感想・レビュー・書評

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  • 日本の古代・中世絵画に描かれた“闇”という主題。
    仏教思想・死生観等を通して、読み解いてゆく。
    闇に覆われた時代。夜の闇は深く、輝く灯りは庶民にはほど遠い。
    闇に潜む・・・地獄、鬼と怪異、病、死、断罪等が描かれた絵巻や
    草紙等は、どのような背景で生まれたのか。
    何故、詳細に描かれたのか。
    それは、前世・現世・未来・来世の姿に、行いと信仰が大事と、
    視覚で表現されています。
    高い身分の人々・・・天皇、将軍等と仏教との関わりも。
    戦乱の世を生きた後白河法皇が如何にして数種の絵巻を
    作成させたのか、なぜ煌びやかな平家納経は生まれたのか、
    歴代の足利将軍と融通念仏の関係は・・・等々、
    絵巻等の成立過程は興味深いものでした。
    でも、仏教の基礎知識は読むのに必要かも。ちと難解でした。
    ・・・特に、往生要集!

  • ちくまWebのサイトで広告を見かけた

  • 美術、説話を通じて恐れと向かい合う人間の弱さと強さを感じた。
    引用されている絵画の多くが白黒で小さく、作者の意図する詳細部分がわかりにくいかったのが残念。
    新書版の弱点ではあるが。

  • 721-Y
    閲覧新書

  • 絵巻や図よ画より闇を読み解く。
    平安前後を通じて怖いものの捉え方がユニークであったりおどろおどろしかったりが伝わる。

  • 古代中世の美術作品から当時の“闇”の背景を見つめる。
    悲しい・辛い・苦しい出来事を見つめ飲み込むために生み出された考え方が積もり積もって、仏教世界は編まれたのだなとしみじみ。祈りの前には闇があった。
    日曜美術館で書籍を知り、「病」と「鬼」の章が読みたくて購入したけど、すべての章がおもしろかった。
    エピローグが特に好き。平家納経に込められた祈りの、情の部分が自分の中でクリアになった気がする。

  • 地獄草子や餓鬼草子や、粉川寺縁起絵巻、九相図などを通して、老いや病、死や断罪を日本美術がいかに描いてきたかを論じる一冊。詞書等は原文を(活字で)提示した後、現代語訳をつけ、簡潔でわかりやすい文章だった。

    惜しむらくは新書版という制約上、掲載されている絵画資料が小さいこと。別途図版等と照らし合わせながら読むと一層楽しいのだろうと思った。

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00260627

  • もともと日本美術の専門知識はないけれど美術館で絵を見るのが好きで、書名にある「闇」という不穏な言葉が気になって手に取った本。
    図書館で借りて読み始めてみたけど、これは手元に置いておきたいと思って購入。

    絵巻や掛幅画を題材に古代・中世の日本の絵画から当時の人々が考えた、死生観、仏教思想などが紐解かれて面白かった。
    以前、六道輪廻や十王信仰の絵画を見た際に、絵の解説内容が興味深かったこともあり、本書も面白く読めた。
    《平家納経》の製作・奉納の目的は一門の繁栄祈願であるが、その背景に清盛自身の来し方への滅罪の意識があったのではないだろうか、という考察に非常に納得した。

    日本美術の背景にある当時の人々の思想に興味のある人に入門書としてお勧めしたい一冊。

  • プロローグ (東大寺二月堂本尊光背)
    第1章 地獄 (地獄草紙、六道絵、矢田地蔵縁起絵巻)
    第2章 鬼と怪異 (餓鬼草紙、長谷雄草紙、北野天神縁起絵巻、土蜘蛛草紙、天狗草紙、融通念仏縁起草紙)
    第3章 病 (病草紙、粉河寺縁起絵巻)
    第4章 死 (後三年合戦絵巻/平治物語絵巻、九相図、九相詩絵巻)
    第5章 断罪 (閻魔王、十王図)
    第6章 悲しき女 (病草紙、伴大納言絵巻、道成寺縁起、華厳宗祖師絵伝、小野小町像)
    エピローグ (平家納経)
    あとがき

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著者プロフィール

1970年、宮崎県生まれ。共立女子大学教授。専門は日本中世絵画史。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(文学)。大分県立芸術文化短期大学専任講師、金城学院大学准教授、共立女子大学准教授を経て、2013年より現職。著書に『九相図をよむ 朽ちてゆく死体の美術史』(KADOKAWA、平成27年芸術選奨文部科学大臣新人賞・第14回角川財団学芸賞を受賞)、共編著に『国宝 六道絵』(中央公論美術出版)、『九相図資料集成 死体の美術と文学』(岩田書院)、『病草紙』(中央公論美術出版)などがある。

「2018年 『闇の日本美術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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