対話をデザインする (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
3.43
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本棚登録 : 195
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480072290

作品紹介・あらすじ

対話の基本は「あなた自身にしか話せないこと」を見つけることです。そこから始めて話題設定、他者との関わり、納得と合意の形成まで、対話の根本を考えます。

感想・レビュー・書評

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  • デザインというよりは、対話の意味についてていねいに掘り下げていった本。
    平田オリザの会話と対話の話(『わかりあえないことから』)が記憶に残っているのだけれど、この本も非常に分かりやすく書かれていて、良かった。

    要としては自己省察の方法なのだろうけど、単に話をして考えをアウトプットすることだけでなく、他者の視点を容れることで省察が進んでいく。

    この意識ってつい薄れがちだけど、改めて自分の生活を見直してみた時に、この人にはここまでの話が出来る、って大きいなと感じた。
    自分のために、そんな人との出会いを増やしていける所までいけば「意識が高い」のかもしれないが、なかなか、それが苦手です……(笑)

    ただ、筆者の日本人像や日本人らしさに囚われてはいけない論だけは、あまり好きにはなれなかった。
    確かに、個々人を見ると、いわゆる日本人像に当てはまらない人なんて沢山いる。
    文化は変容するもので、人だって変化する。

    けれど、自己省察を進める以上、切り離せない環境要因でもあると思う。
    だから、何かが出来るとか、出来ないと決め付ける必要はないけれど、そもそも対話の風土がなければこそ、そういうことにも目を向けていけばいいだけなのだと思う。

  • 自分とは、私の中に初めから明確に存在するものではなく、相手とのやり取り、人とのインターアクションのプロセスの中で姿を現す。

    自分を語る
     =自分に向き合う

    この世で生きていくこと
     自分のやりたいことを「テーマ化」して他者とともに実現していくこと。

    情報あっての自分
     諸情報をどのように自分の目と耳で切り取り、
     自分の言葉で語ることができるか?

    ステレオタイプ的思考
     コミュケーションが阻害され、信頼を損なう。
     社会の中心は自分自身。自分以外は異文化。

    目が合ったら微笑む。
    相手の言うことを受け止める。高圧的=恐れ。

  • 809-H
    閲覧新書

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/724422

  • 3

  • ただいま読書中。
    第1章がとても良い。
    「おしゃべり」と「対話」の違い
    「モノローグ」から1人による「ダイアローグ」
    など。

    「術」ではなく、「対話」の「核心」について述べられている。

  • 「デザインする」という言葉にひかれて読み始めました。

    ===
    相手との対話は、他者としての異なる価値観を受け止めることと同時に、コミュニティとしての社会の複数性、複雑さをともに引き受けることにつながります。だからこそ、このような対話の活動によって、人は社会の中で、他者とともに生きることを学ぶのです。(pp.23-24)
    ===
    「自分」とは、「私」の中にはじめから明確に存在するものではなく、すでに述べたように、相手とのやりとり、つまり他者とのインターアクションのプロセスの中で次第に少しずつ姿を現すものです。(p.34)
    ===
    本当の自分とは、はじめから「私」の中にはっきり見えるかたちで存在するものではなく、自分と環境の間に浮遊するものとしていつのまにか把握されるのです。(p.34)
    ===

    しょっぱなから上記の文章が登場し、目からうろこ。
    「対話」がコミュニケーションというふわっとしたものではなく、明確に道具として扱われているのかなと思った。だからこそデザインという言葉がくるし、起点はいつでもデザインする「自分」なんじゃないかなと思った。

    ===
    では、何のための納得と合意かというと、それは、対話のプロセスを通して、お互いが自分を肯定するためであり、生活・仕事・人生を自分で作っていくという実感を自ら持つためでもあります。このように考えると、自己と他者が協力して納得・合意するのは、参加者全員でつくっていく共同体としての社会のあり方そのものということができます。その意味で、自己と他者の納得と合意は、この社会で生きてくための基盤であるといえます。自己の外部にある権威に従属するのではなく、対話によって得られた成果をもとに、あなたと相手がともに新し社会創造をめざすしかないのです。(p.158)
    ===

  • 東日本大震災後、地域に関わる取り組みをやっていて、よく目にする「行政と市民の対話が必要」といったフレーズ。しかし、対話と言いながら、お互いが自分の主張をぶつけあうだけで、最終的にはパワーバランスで勝っている方(この場合は、権力や決定権を持つ行政ということになる)の意見が「対話によって決定された」という結果だけが残る。それは、対話じゃないよなぁと思っていたので、本当の対話、理想的な対話とはなにかを知りたいと思い手にとった本。

  • 社内読書会用

  • 自分探し?
    どこ行っても見つからないよ
    そこにあるから
    と、言っていたことがありましたが

    この本を読んで
    どこへ行ってもいい、ここにいてもいい
    『対話』を続ける事で
    言葉を得て、言葉が醸成されて
    見えなかった自分が形になり
    知らずにはめ込まれた枠も見え
    そこから出て、自由になっていくんだなぁと感じました

    最近思うのですが
    対話って、実に楽しい表現活動
    それを通じて
    多くの人が自分を見つけられるといいなぁ

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著者プロフィール

早稲田大学大学院文学研究科課程修了(博士(教育学))。信州大学、金沢大学等を経て、早稲田大学大学院日本語教育研究科教授、2013年退職。現在、早稲田大学名誉教授、言語文化教育研究所八ヶ岳アカデメイア主宰。専門は、言語文化教育学、日本語教育。
[主な著書]
『日本語教育と日本事情――異文化を超えて』(明石書店、1999年)
『日本語教育は何をめざすか――言語文化活動の理論と実践』(明石書店、2002年)
『「ことばの市民」になる――言語文化教育学の思想と実践』(ココ出版、2012年)
『対話をデザインする――伝わるとはどういうことか』(ちくま新書、2019年)
『自分の〈ことば〉をつくる――あなたにしか語れないことを表現する技術』(ディスカヴァー21、2021年)
『「活動型」日本語クラスの実践――教える・教わる関係からの解放』(監修・共著、スリーエーネットワーク、2022年)

「2022年 『共生社会のためのことばの教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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