問いの立て方 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480073709

作品紹介・あらすじ

テーマ、課題、目標と大小問わず「問い」には様々な形がある。では、どの問いにも通用するその考え方とはなにか? その見つけ方・磨き方とあわせて解説する。

感想・レビュー・書評

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  • 近頃、話題の「学際」って何?むきだしの興味関心から生まれる「真摯な学術対話」が読み解くカギに! | ザッツ・京大
    https://www.thats.pr.kyoto-u.ac.jp/2021/11/24/11789/

    京の人今日の人:「学際」研究の学術誌を創刊 宮野公樹さん 「学問」問い直したい /京都 | 毎日新聞(有料記事)
    https://mainichi.jp/articles/20210815/ddl/k26/070/156000c

    書籍出版「学問の在り方 ー真理探究、学会、評価をめぐる省察」 | UPDATE | 京都大学 学際融合教育研究推進センター
    http://www.cpier.kyoto-u.ac.jp/update/gakumonnoarikata/

    筑摩書房 問いの立て方 / 宮野 公樹 著
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480073709/

  • 思った以上で、ジワジワと良さが分かる本だった。

    いい問いとは、本質的な問いである。
    でも、本質的に問うていく、つまり枝葉ではなく幹の部分を辿っていくと、そもそもの在り方に突き当たってくる。

    自分の考えも同じで、そんなものはあるのか?と辿っていくと、結局は、なくなってしまうような不安さえ抱く。
    でもその中で、自分が感じる違和感と自覚を大切にすること。
    そこに、問うことへの感覚が秘められているということかな、とざっくり考えた(笑)

    課題解決に対する批判的な視点も良かった。
    そもそも、なぜそれが課題とされているのか。
    そう問うた時に、これまではどうだったか?という視点が生まれてくる。

    20年間は、それはむしろ課題解決の方法だったかもしれない。

    そうなると、単純に枝葉を解決していっても、同じことになってしまう。
    果たして課題解決は全てが善か。
    そう考えていくと、そこに人生を賭けるレベル、を求められる意味が分かるような気がする。

    ちょうど、今の自分が考えていたことが、自分の考えを培うために、歴史的視座はどう関わってくるのかということだった。

    自身のアイデンティティとして、また今日に至るものやひとの在処として、時間を遡った見方をしていくことの欠かせなさを学んだように思う。

  • よい問いを持つためにはどうしたらいいか。
    本書の課題はこれに尽きる。

    「よい問い」とは、本質に迫る問い。
    本質に迫る問いとは、根源までさかのぼって考えつくした問いということのようだ。
    言い換えると、その問いはなぜ存在するのか、なぜ自分はそれを問うのかを徹底的に考えるということ。
    ちなみに、本書では対象と自己は、区別はあるものの、両者は分かちがたく結びついているものと扱われている。

    筆者も言っているように、ハウトゥを伝える本ではない。
    が、多少の手掛かりは与えられている。
    n「問い」は、全体/個別、可視/不可視という二つの軸に、時間軸を導入した三次元的な図式でプロットできるという。
    p128~129の図9だ。
    問いを磨くためにぶつける問い(問いをぶつけるという意味では戸田山和久さんの『論文を書く教室』のビリヤード法を想起させる)を導く。

    過去(歴史性)の軸
    ・なぜその問いが気になったのか
    ・その問いを持ったきっかけは
    ・なぜ(社会に)そのような問いがあるのか
    ・その問いの時代性、歴史性は何か

    現在(社会性)の軸
    ・その問いは自分にとって本物か
    ・それは本当の問いか
    ・類似の問いはないか
    ・全人類も持ちうる問いか

    未来(創造性)の軸
    ・どうありたいか
    ・どうなりたいか
    ・何をしていることになるか
    ・この世に責任が持てるか

    そもそも著者は「問い」は作れるものではなく、そのようにあるもの、そこに巻き込まれてしまうものともいう。
    そして、それの解き方については本書の管轄外となる。

    私がこの本に興味を持ったのは、自分が中高生の頃から、いわゆる問題意識がなかったことにある。
    本書でも、問題の所在に気づくために、「違和感」に敏感になることを説かれている。
    で、違和感を持つにはある程度知識も必要かと思い、それなりに知識を得てきた。
    ある分野では、ある程度成功したかもしれない。
    が、いまだに問題意識は希薄で、「問い」を立てることは苦手なままだ。

    本書の考えに沿えば、自分がそのようなあり方をしていること自体を問うていくことはできるのかもしれないが…。

  • 他の人も書いているけど、哲学的に問いを考えてみた系の内容でした。内容は充実しているものの、問いの「立て方」なのかはよく分からず。ただ、作者もノウハウが知りたいなら他の本を当たれとしつこく警告しているので、良心的です。
    時間がある時におすすめ。

  • 違和感を覚える。

    という意味では、この本はこの本のいうところの問いを、自分に与えてくれたということなので、よかったのだと思う。

    自分の問いを立てる本なので、そんなの関係ないといわれるのかもしれないけれども、他者の考えを理解しようとする自分ではなく、他者の考えはどのように捉えたらいいのか。自己の考えの成長、変化はどのように考えたらいいのか。脳死の人や考えていることを表現できない人はどのように捉えていいのか。
    この本の土台からでは、私には考えが及ばないことが多くある。

    常識という言葉が時に使われていたけれども、どうしてそれを常識といえるのか、そこは深く問うことはないのか。あなたの常識は、自己の中では常識なのだとは思うけれども、他者の考えの中では常識ではないこともあり得る。

    少し、他者との対話の中で問いというものを考えてあれば違和感が減ったのかもしれない。でも、これは、自己内で世界が完結してしまう立場を常識とされてしまっては、届かない声なのかもしれない。

  • 哲学の本でした

  • ハウツー本ではなく「問いとは何か」を哲学的に考察した本。

    哲学ってなんでこんな面倒くさいことを考えるんだろうと思いつつもその思考プロセスは嫌いじゃない。

    内容をしっかりと理解出来たとはいえないけど面白かったです。

  • 本書の主張は「考えよ」に尽きるだろう.
    ぜひ気軽に手に取り,真剣に考えてみて欲しい.
    さしあたりは著者の考えを理解し,問いと示される枠組みを比較検討すれば,問いは磨かれるだろう.しかし,この枠組みが素朴な実在論,認識論に立っている(p.59, 111)ことは忘れてはならない.「存在」を問うたハイデガーはやはり偉大だ.

  • 筆者の方も予め述べていらっしゃいますが、問いの立て方をハウツーで読みたい方にはあまりおすすめできません。問いの性質や本質が知りたい方は読むべきです。

    途中難しいなと感じることもありましたが、丁寧な考察で興味深く読むことができました。

    以下、読書メモです。

    ・「いい問い」とは、本質的な問いのこと。

    ・他者との会話は、異文化との対話であり、自らを認識する手段となる。

    ・「考える」とは生きること、生きていること。生きることを考えること、考えるを考えることが「考える」こと

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著者プロフィール

京都大学教授

「2021年 『問いの立て方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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