子どもに学ぶ言葉の認知科学 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480074935

作品紹介・あらすじ

ヘンテコな答えや言葉遣いには、ちゃんと意味がある。子どもの、あるいは人間一般の心の働き、認知のしくみ、言葉の法則や性質について、楽しく学べる一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 子どものテストの珍答案を経て、言語の認知科学へ……面白い。
    「のび太とのび犬問題」!

    @以下、コピペ

    小学生になった息子の珍解答は続く。さらに巷の記事・絵本さらにTシャツのロゴ・町の看板まで、題材はあらゆるところに広がっていくことに。「これ食べたら死む?」「のび太vs.のび犬」「ニンジンは、ヤギ・ヒツジも食べてくれるよ♪」ヘンテコな答えや言葉遣いの背後にある、子どもの、あるいは人間一般の心の働き、認知のしくみ、言葉の法則や性質について、楽しく学べる一冊。

    目次
    第1章 習わないのにわかっていることば―言語習得とその先
    第2章 逆さま文字、何が逆さま?―文字の認知
    第3章 英語にあって日本語にないもの?―目的語と関係節、そして主語?
    第4章 日本語って難しいの?―文理解と曖昧性
    第5章 小さい「っ」の正体―特殊モーラと音声知覚
    第6章 なぜ会話が通じるのか―語用論
    第7章 頭の中の辞書をひく―メンタル・レキシコン



    目次

    まえがき

    第一章 習わないのにわかっていることば──言語習得とその先
    「死む」は言い間違いではない
    大人の模倣ではない証拠
    過剰一般化
    いつごろまで「死む」って言うのか
    ちゃんとやすらないと手を切ります
    大人よりも複雑な構文?
    言語を観察する力 ツッコミ能力?
    構造的多義性
    小学校英語教育の現場に平野レミ先生を!

    第二章 逆さま文字、何が逆さま?──文字の認知
    鏡の中は逆さまなのか
    鏡文字の謎
    文字の分解と組み立て
    のび太とのび犬問題
    パーツ認定とその構成
    文字同士の配列──ターャジスとケブンッリジだがいく

    第三章 英語にあって日本語にないもの?──目的語と関係節、そして主語?
    修飾戦線異状あり?
    目的語ってないの?
    日本語のほうが自由だ?
    子どもがわかるように
    人食いニンジンの恐怖
    あなたはウナギなんですか
    関係節って英語で出てくるやつですよね?
    これ本当に関係節なの?

    第四章 日本語って難しいの?──文理解と曖昧性
    ガーデンパスでどんでん返し
    英語に直してみる
    大事なことをなぜあとに?
    自由とひきかえに……
    全部読んでも結局曖昧なとき
    こじらせた曖昧性
    略しても、好きな人
    主語関係節vs.目的語関係節はホットな話題
    曖昧性が明らかにしてくれること

    第五章 小さい「っ」の正体──特殊モーラと音声知覚
    小さい文字はちょとむずかしい
    小さい「っ」の正体は?
    イタリア語にも小さい「っ」ってあるんですか
    イタリア語話者と日本語話者は似て非なるものを聞いている?
    失ったのではない。手放したのだ
    聞いてる時点でカタカナ英語?
    ここも特殊だ日本語は
    小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」(ねじる音・拗音)
    しりとりでわかること──音節を使う子どもたち

    第六章 なぜ会話が通じるのか──語用論
    「語用論」ってなんだ
    文字通りじゃないよ、のサイン
    言葉通りの意味と語用論的な意味
    2は3に含まれる?
    象のなかには哺乳類であるものもいる……マルかバツか?
    言葉の上級者コースへようこそ

    第七章 頭の中の辞書をひく──メンタル・レキシコン
    メンタル・レキシコンの検索
    意味のネットワーク
    意味つながりが検索を速める
    意味情報で混乱
    音つながり「ご近所さん」の競争
    音つながりのメリット──言いたい語を検索する場合
    概念に対応した語を捜すときと、入力から語を割り出すとき
    正真正銘言い間違いについて
    言い間違いの単位
    アクセントの情報は?
    統語や意味

    あとがき
    文献案内

    @@@@@

  • 子どもの言語習得過程を実際に観察して、言葉を使いこなせるようになるステップを考察しているが、学者と実際の学校での指導方法の考え方が微妙に食い違っているのが面白かった.英語を含めた考察も楽しめた.学生時代、国語の学習は嫌いだったが、本を読むことは好きだったことを振り返ると、国語自体の指導方法の見直しが必要な感じがした.

  • 言語学教授の筆者が、小学生になった息子の珍回答から日本語の認知について解明していく。「ちいさい言語学者の冒険」では3〜6歳だった息子さんも、今や中学生。その息子さんの小学校の(主に)国語の珍回答を題材にしている。もちろん、息子さんの了解のもと。でも、あとがきによると、了解を取ったのは母親ではなく担当の編集者だぅたようだ。そのほうが本人も納得できるのかも。
    珍回答ぶりに教育ママとしてイラツク気持ちを押し殺して、その間違いを科学的に解明していく母親に拍手!

  • 子育てママ研究者が分析する言葉の発達
    主に音について

    語彙、音韻、意味、統語等の観点から、子どもの言い間違い・小学校のテストの間違いを学術的に分析する構成。個人的には日本語学に疎いため、第4章の日本語の関係節、第6章語用論は勉強になった。私も日々子どもとの関わりの中で、生徒の間違いを著者のように楽しんで分析できるようになれればいいなと思った。決して理不尽に不機嫌になるのではなく。

    また、一文が長く(ときには5行以上)になることもあり、主語述語が掴みづらくなる箇所が多々あった。

  • 時間のある春休みのうちに新書にチャレンジしたいと思い、図書館で借りた一冊。
    1回目は少し読みにくさを感じたが、こどもや外国の人が感じる日本語の難しさ、そして言語の奥深さを感じた。言語に関する研究が数多く行われていることも興味深く、もっと知りたいと思った。

    こどもの言葉の間違いを「面白いね」で終わらせず、「なぜこのような間違え方をしたのか」
    「こどもはどのように言葉を捉え、習得していくのか」という視点から分析しているのが面白かった。こどもは周囲の人が話す言葉をそのまま模倣しているのではなく、自分の知っている語彙を一般化したり活用しているということに驚いた。自分が想像している以上に、こどもは学ぶ力や物事を吸収する力を持っているのだと感じた。

  • ふむ

  • 子供の言い間違いや書き間違いから、人間の言葉に対する姿勢が見えてくるという話。
    今まで子供は大人の模倣をしてお喋りをしていると思っていたのですが、そうすると「来ない(きない)」などの説明がつかないな…!?と気がつけたのが一番大きかったかもしれないです。
    外国の言葉と日本語を比べてみる章では、やっぱりこれだけ音節や文法が違かったら取得するのも難しいよな〜と改めて思いました。

  • 新書だから、固い学問的な話も多いけど、
    面白かった。
    「言葉の認知科学」こんな学問もあるんだなぁと改めて
    世の中にはいろんなことを研究している人がいるものだなと思う。

    まずもって、ここに出てくる例示、とくに著者の息子さんの
    リアルな答案用紙が良い!!
    確かにうちに子供達もある一定の時期、
    「どうしてそうなった??」というようなテストの答えを
    披露してくれました。
    いつからか、自然に身に着けていったのね、
    「習わないのにわかっていることば」

    「死む」「死まない」
    「来ない(きない)」「来た(こた)」などの子供の良い間違い、
    どこかで聞いたような気がするけど、
    これをはじめの例示で読んで「なるほどなぁ」と感心した。
    純粋に子供たちに。
    耳で聞いて考えて、ちゃんと動詞の活用形を使っているんだよね。
    学問的に説明されて「これは面白いな」と思えた。
    私もこんな学問、追及してみたかったなぁ。

    「型」をがたとかたにちゃんと使いわけていたり、
    「鷹狩り」「うさぎ狩り」
    「レタス栽培」「ハウス栽培」
    「床拭き」「水拭き」など、なんと日本語が多様であること!!

    ・にんじんはヤギ・ヒツジも食べるよ
    ・ボクはウナギだ
    ・こんにゃくは太らない
    ウナギ文、こんにゃく文と言われる象徴的な名称まで
    あることにもびっくり。
    確かに、よく考えるとおかしな日本語だよね。
    でもこれで、日常的に成り立っているし、大人になった今、
    その場面になれば、こういう会話、普通にしている。
    子どもたちにとったら、未知の世界で???となるんだろうなぁと思う。

    最終章の「なぜ会話は通じるのか」も面白かった。
    「●●と思ったところはありましたか」の問いに
    「ありました」と回答する息子さん、
    本当にこれテスト的には×だろうけど、おかしな話よね。
    いつから、私たちはここに「●●」の部分を記入するようになったんだろう。
    「語用論」というそうですが、このあたりも非常に興味深かった。

    いつか孫が生まれたら??
    こんな言葉の成長過程を記録して、ぜひ、
    この分野の研究に貢献できるといいなと思う。
    大いなる野望、願望・・・

  • 子どもの間違い(間違いとは言えないかもしれない)から言語をどう捉えているかわかる本。

    子どもの国語の間違いにイライラしなくなる、どうしてこう書いたんだろう?と好奇心を持てる。

  • 『「超常現象」を本気で科学する』(石川幹人)を読んでいた時に【認知科学】の文字が出現。

    何だこれはと思って関連書探しヒットした『子どもに学ぶ言葉の認知科学 』(広瀬友紀)。

    ホラー&オカルトとは一切関係がないものをチョイスしました。

    【認知科学】とは「人間の知覚・記憶・思考などの知的機能を司るしくみに迫る研究分野」で、

    心理学、言語学、計算機科学、芸術学などさまざまな視点からのアプローチが含まれるそうです。

    「科学」と聞くとフラスコと試験管使って薬品グツグツ…とイメージしてしまうのですが、

    調べてみたら「一定の目的・方法の下でさまざまな事象を研究する認識活動、およびそこからの体系的知識」とあり、

    薬品だけに限らないんですねアホですいません。(恥ずかしい話、【化学】との違いもわかっておりません)

    今回読んだこの本で、

    【認知科学】を、というより、【母国語である日本語を子どもや外国の方に教える事の難しさ】をメチャクチャ感じました。 

    「日本語と英語は文の構造や発音が違う」というお話はよく耳にしますが、ちゃんと知ろうとしたのは今回が初めてです…笑

    頭で理解はしました。が。

    私からは「聞いて言って繰り返して慣れて」としか言えない…。

    そして…

    日本語に慣れぬ外国の方に「警察官が中学生をカツアゲしたヤンキーに説教した」的な、日本人でもわかりにくい事は言っちゃアカン事は理解しました。

    そして…

    「ぶぶ漬けでもあがっていかはりますか」を久々に目にして、

    【語用論】もっと知りたくなり、こちらも関連書探しております。 

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著者プロフィール

大阪府出身。東京大学総合文化研究科教授。専門は心理言語学、とくに言語処理。著作に『ちいさい言語学者の冒険』(岩波科学ライブラリー)がある。近年は、言語発達過程の子供がどのようにその知識を運用するかに関心を寄せている。まだまだ続く息子の珍プレーに、喜ぶ日々。

「2022年 『子どもに学ぶ言葉の認知科学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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