現代思想の教科書 (ちくま学芸文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 570
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480092793

作品紹介・あらすじ

現在、私たちを取り巻く「知」の数々は、20世紀以降の世界がおかれた4つの状況から発生する。本書ではそれを、ポスト・グーテンベルク状況、ポスト・モダン状況、ポスト・ナショナル状況、ポスト・ヒューマン状況と名づける。そして、そこから浮かび上がってくる「イメージと記号論」「情報とメディアの思想」「ナショナリズムと国家」など、15個のトピックスに切り分け、ソシュール、レヴィ=ストロース、フーコーという巨人たちの思想を読みなおしていく。ありきたりの哲学教科書では学ぶことのできない、現代思想における全ての最重要論点を、一から平明に解く15章の徹底講義。

感想・レビュー・書評

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  • 素人でも読める現代思想の入門書やっとみつけた
    体系的にまとまっているので、
    以前他の現代思想を読みかじって「???」となっていたのがどういう歴史的流れでの話だったのかがなんとなく分かった

    なんとなくの全体像掴むのにいい本だとおもいました。

  • 哲学の本は相変わらず難しいけれど、少し理解できるようになった気がする。
    それでも最後のまとめはあまり理解できなかった。
    とりあえず、いくつか心に残ったことを書き留めておく。

    ・フーコーのディシプリンという考え方
    近代社会は規律型訓練のもとに成り立っている
    学校や刑務所、病院など至る所にあって制服もその典型。これらのおかげで成功したとされる社会の再生産が行われる。
    上手な刷り込みだと感じた。



    ・イメージの過剰の時代だからこそ、イメージの貧困に陥っている


    ・ナショナリズム
    そもそもこの言葉をあまり知らなかったので勉強になった。
    明治維新後日本は国家を作り上げてきたが、最近は国家をいじできなくなってきている。だから、本来の反対の意味である憲法を使って政治家が国民に対してナショナリズムを強制しようとしている。これは非民主的になっていく懸念がある。

    ・マークがついていないのがマジョリティ
    女優、女医など女という枕詞をつけるのもマイノリティの証
    不自然の区分になっている

    19世紀までは西洋の同一性をもとにされた世界観であったが、20〜21世紀は差異を中心にされた世界観
    ソシュールが言葉そのものに意味はなく、歳を生み出すためのものだといったように、全ての価値観もそうなのである。

    ちなみにマジョリティは単に多いだけでなく、主要なと言う意味がり、マイノリティは従属していると言う意味も含まれている!

  • 近代は理性によって活字や書物により知を総合した人文知の時代であった。ポストモダンはこの西欧を中心として構成された理性に対して懐疑を投げ掛けたのであり、そしてポストナショナルはこのモノリンガルな知の前提を崩壊させた。そして理性によって自然や野蛮を支配し、合理的な秩序を打ち立てることが出来るというヒューマニズムの原理を否定したのがポストヒューマン状況である。 これから目指すべきは非統合的な総合知であり、すなわちネットワーク型、横断型の知である。

  • 放送大学の講義をもとにした現代思想の入門書。トピックごとに章立てされており、言語、記号、無意識、文化、情報とメディア、戦争、宗教、ナショナリズムと国家などの問題が取り上げられる。登場する思想家は、ソシュール、パース、フロイト、レヴィ=ストロース、ラカン、フーコー、ブルデュー、マクルーハン、フッサールなど。また、11・12章は西谷修、13章は小森陽一との対談となっている。巻末には読書案内が付される。

    冒頭で著者・石田は、「今日における知と世界との関係」の特徴として「四つのポスト状況」を指摘する。すなわち、「ポスト・グーテンベルク」状況、「ポスト・モダン」状況、「ポスト・ナショナル」状況、「ポスト・ヒューマン」状況、というのがそれである。正直なところ、本編を読んでいる最中、僕はこの問題規定を忘れがちだったのだが(著者も無理やりそこに引き付けたりはしない)、最終章である第15章においてその観点から全編のまとめがなされ、「四つのポスト状況」が有効な視角であると納得することができた。

    著者によれば「四つのポスト状況」は総合知としての「人文知」ないし「哲学」を失効させる。それに対して「来るべきユマリスト」(ユマリストとはルネッサンス以降の人文主義者を指す)が求められるとし、その要件として、1.メディア横断的な知の実践、2.ポスト理性の時代にあって「理性」の復権を目指す実践、3.多言語的で多文化的な教養に依拠する能力、4.自然と人工、生命と数理、リアルとヴァーチャル、意味と計算、情報と記号の、それぞれの「間」の関係づけを行いうる能力、を挙げる。いかにも抽象的だが、「来るべき」人間類型を描いているのだから具体性を伴わないのが当然ともいえる。どのようなかたちで四つの要件を満たすことができるのか、考えていくことが重要だろう。

  • 記号論を専門とする著者から見た現代思想史
    非常にコンパクトにまとまっており、分かりやすい。最後の2章は対談

  • ソシュールの記号学→ポスト・グーテンベルクの知を表すととまに、ポスト・ナショナルの知やポスト・モダンの知の礎となる

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/724736

  • 現代思想の入門としては素晴らしいと思った。各章細かく、かつ丁寧にわかりやすく容易な文章で書いてある。また末尾には参考図書紹介もあり、興味がある分野から掘れるようになっている。良書。

  • 背ラベル:304-イ

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著者プロフィール

1953年生まれ。2019年3月末まで、東京大学大学院総合文化研究科教授および同大学院情報学環教授。
著書に『新記号論』東浩紀と共著(ゲンロン、2019)、『大人のためのメディア論義』(ちくま新書、2016)、編著書に『デジタル・スタディーズ』全3巻(東京大学出版会、2015)他

「2019年 『談 no.115』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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