- Amazon.co.jp ・本 (598ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480094117
作品紹介・あらすじ
旧約聖書はユダヤ教・キリスト教の正典であり、また、その宗教的権威を離れても広く人類の文化のなかで大きな影響を与えてきた。しかし、その中身はそれぞれが矛盾し錯綜したテキストの集合であり、多くの現代人にとっては通読することすら困難だというのが現実だろう。本書は、旧約聖書をその歴史的状況の中に置き直し、「創世紀」「出エジプト記」「ヨブ記」「雅歌」…等々の文書が成立した時代とそれらが背負っていた思想的課題からの解読を試みる。各文書の個性から、なぜ旧約聖書というまとまりのある書物が成立し権威を持ったのかまで、イチからよくわかる旧約入門の決定版。
感想・レビュー・書評
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神によって作られた人の最も重要な性格は、人が人であることですという部分が最も感動的だった。人間は自分の知恵で善悪を判断したりして自分が「神のように」振る舞いがちである。しかし人間の領分は人が人であることであり、それが最も重要な性格なのだ。
コヘレトの言葉にも「人間にとって最も幸福なのは、自分の業によって楽しみを得ることだとわたしは悟った。それが人間にふさわしい分である」とある。
また他に印象的だったところとして、旧約聖書における言葉の使い方には二つあるというところである。内容としては散文と詩の違いであるが、著者はそれを「情報の言葉」と「関係性の言葉」と言っているところが興味深い。前者が散文で後者が詩文であるが、後者の詩文を読み解くことが聖典の読み方だなと改めて理解した。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
加藤隆の本は「キリスト教の本質」、「一神教の誕生」に続いて3冊目。今年に入って、立て続けに読んでいる。
辿っている歴史、扱っている学説、彼自身の見解などは上記の本とこの本で変わらない。だが、何度でも読む価値があることが書かれている。
もっと前に読んでいればとも思うし、今だからこそこの感動があるとも思える。
見えていた世界が変わる。読んだ後に自分が変わる。
これをtwitterで紹介していた中田考に感謝したい。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/738805 -
新書文庫
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旧約聖書やユダヤ教・キリスト教の最低限の知識がないと読み通すのは難しいかも知れない。
しかし、それでも読み進むにつれ、「えっ?!そういうことだったの!」といったことが多々あるのが愉しい。
宗教書の解説ではあるが、へんに宗教がかっておらず、学術的な知的好奇心がそそられる良書だと思う。