- Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480423580
作品紹介・あらすじ
約30年にわたってコミックマーケットの代表をつとめ、2006年10月に急逝した著者の、伝説のデビュー作。戦前からの少女文化の流れの簡単な解説も付し、1980年までの戦後少女マンガの全てを概観する唯一の通史。的確でバランスのいい記述は、著者のマンガ全体に関する幅広い知識と深い理解に裏付けされたものである。本書は、『戦後SFマンガ史』『戦後ギャグマンガ史』と続く"マンガ史三部作"の第一作となる。
感想・レビュー・書評
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自分レファレンスで借りてみましたが
探していた年代より一世代前が中心だった〜。
そりゃそうか、底本1980年刊の文庫化だ。
ただ、知らない年代の話でも
歴史としておもしろかったです。
ここに書いてあるような「お約束の不幸」は
今も形を変えて組み込まれているのかも。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最初の出版当時、この本と橋本治の花咲く乙女たちのキンピラゴボウが少女マンガ評論のスゴい本として登場してきて話題になっていた。当時図書館で24年組界隈のみ読んだ記憶があるけど今全編読み直して、少女マンガ創生からの歴史を踏まえた連綿とした流れをここまで抑えた本だったとは…マニア向けのマンガ家だけじゃなく過不足なく現れる「あー」の嵐。正直資料読み的な部分はちょいちょい飛ばして読みましたが、内容はフェアな物じゃないかなと思います。どこにも手抜きのない重箱の折詰や、一つの巣箱に古い物から今に至る花粉や蜜が備わっている蜂の巣と言う感じです。コミックマーケットの事がさらっと出てくるのも面白いです、対象物の拡大再生産の今はもっと…途中は飛ばしたとしてもあとがき以降巻末は読んだ方が良いw
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読みづらい。専門的な研究書に近い。
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30年前の1980年に前後の少女マンガ全体を通史としてまとめた評論
つまり扱っているのが30年分くらいでそこからここまでと同じくらいある
にも関わらず未だこの評論のほかに少女マンガ全体を扱った評論が存在しないことがこの評論のえらさを示す
いまだここ30年の少女マンガ論がないのは
ひとつには少女マンガということの指すものが幅広いからだろう
少年の上世代は青年だが少女の上世代を指す言葉はない
個人的には『はいからさんが通る』(ライトノベルならもちろん『ジャパネスク』)こそ「少女マンガ」なのだが
では「りぼん」(少年向けなら「コロコロコミック」)が「少女マンガ」でないといえば違うし
(現在進行で描いているという意味で)吉田秋生作品もまた「少女」のマンガに違いない
少年しこうの典型が誰かを必要としない「最強」のみにあるのに対して
少女しこうはファンタジーを必要とするからこそいるのは現実である -
新書文庫
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105 目白ブコフ
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私のリアルなマンガ体験は、
ここに挙げられた作品群より後のものになるんですが、
そこに辿り着くまでの「流れ」がわかって面白かったです。
そうか、進化と揺り戻しの繰り返しなのだなぁぁ、と。 -
なにがすごいって、著者の圧倒的な知識量。
戦後から花咲いた少女漫画文化を、社会情勢から分析する。
少女マンガ好きなら読んで損はしません。 -
初版のものを図書館で借りたのですが、他の方の感想と比べたかったのでこちらで。実物を見てびっくり。なんとまあ古めかしい…小さなことだが「戦後」という言葉が歴史になっていくのを見るよう…。ページもわら半紙みたいで色も変わってるし。作品からの挿絵もたくさんあって、少女マンガがこんなにあったことに圧倒される。ほう、少女マンガは貸本から始まったんだ。花を背負い瞳には星が輝いて気持ち悪いと言われたころから、それ以前に眼に星も入らないころからどれほどの娘たちが影響をうけてきたのだろう。学業や仕事や結婚観など、もし政府が意図して思想を操ろうとしたらかなり簡単にできそうな気がする。以後、少女たちの生育環境に応じて分化した夢の数を投影して、いろいろなジャンルの漫画がつくられていった。私もマンガがまだ夢を追い、でも夢から少し醒めかけた時代の読者として、マンガを身体の一部にできたことは幸運だったなあと思う。