落語家論 (ちくま文庫 や 35-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 187
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480423986

作品紹介・あらすじ

ホントにいいのかなあ、本なんかにしちまって。これは今さかのぼる二十年以上前に、頬輝かせて噺家になったばかりの諸君へ向けて書いたものです。師匠の姿に学んだこと、修業のいろは、楽屋の風習のすばらしさ、人との出会い、筋を通すということ、旅、酒、言葉、歳…こんなに正直に書いてしまったことを恥ずかしく思いつつ、これはあの頃の私の心意気でもあります。

感想・レビュー・書評

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  •  小沢昭一さんと柳家小三治さんの関係性,お互いリスペクトされている様子、それだけで熱いものを感じた。
     「若い人に読んで欲しい」がお節介なら、私はただこの本をずっと手元に置いておきたいと思った。ブックオフで何気に見つけた本だけど。

  •  著者流に言うなら「噺家の了見」の本といったところか。
     文楽、志ん生、圓生、正蔵、小さんら名人と同じ楽屋で過ごした著者の芸へのこだわり、厳しさ、落語への愛、あつい思いが溢れています。
     前半は落語の芸に比重がおかれ、「笑いはココロ」「誰も助けてくれない」「素晴らしい風習」は、若手へ(時に我々へ)の叱咤激励であり、「大家の風情」「仲入り放送」は、著者はやっぱり落語・寄席が好きなんだなあと思わされます。
     後半はエッセー風。「梅の家の笑子姐さん」はしんみりさせます。まくらに定評のある著者ですが、枕元で楽しみたい一冊。

  • 小さい頃、親に鈴本演芸場へ連れて行ってもらい、落語が好きになった。小三治師匠も好きな噺家の一人。独特の語り口調が、本書を読んでいても頭の中に響いてくる。そんな中に噺家の矜持、江戸落語の神髄が書かれている。今、我が家には小三治師匠のほかに志ん生、志ん朝、志の輔、枝雀のCDセットがあり、折に触れて聞いている。落語って本当にいいなぁ。

  • 話し言葉でサラサラと読めるのに綺麗な文章。若い噺家に向けて書いたものらしいが、カッコいい大人像に感じた。いまから30年くらい前に書かれているので50歳前のはずで、力強く言い切る言葉にも本当は迷いがあったんじゃないかと思うと、またよい。

  • とても優しい文章。ま・く・らよりもフワフワと。時々厳しくて。図書館で検索して借りる。

  • 落語が好きで、機会があればできるだけ、本物の噺家さんの生の噺を聴きたいと思っている。
     落語には、年月を経て、多くの噺家によって練られて出来上がった古典がある。古典も、その時代によってアレンジされたり、噺家さん独特のまくらと言われる導入のお話があったり。同じ演目でも、噺家によって少しづつ違うものになるのも落語の魅力だろうと思う。
     この本は、小三治師匠が、月報「民族芸能」という、とてもマニアックな冊子に、噺家になりたての若手に向けて連載された「紅顔の噺家諸君!」という文が主になっている。
     小三治師匠が出囃と共に高座に上がる時、じつに渋い顔で出て来る。のだけれど、表情を変えるでもなく、一呼吸置いてぐるっとこちらを見るだけで、もうなんだか可笑しくなってくる。もちろん他の師匠も、たたずまいは異なれど、いるだけで独特の空気を作りだすように感じる。
     落語は芸であるとともに、その噺家さんの生き方そのもののような気がする。 
     噺家さんはどんなふうに本物の噺家になっていくのか、垣間見ることができるような一冊です。

  • きびしい!凄い!というのが率直な読後感です。若手の落語家に向けたメッセージなのですが,精進というのはこういうことなのでしょうか。自分がだらけそうになったときに,また読もうと思います。

  • おしゃべりな人っぽさを出さずに、実はおしゃべりな小三治さん。

  • 小三治師匠の落語が大好きで、この方のまくらも大好きで、いつまでも元気で現役で頑張っていただきたいなあ。
    ちょっと頑固で素敵な話たちでした。

  •  あまり詳しくないのですが、好きな落語家は?と聞かれたら迷わず柳家小三治師匠だと答える。たまたま見かけたので読んでみた。

     昔堅気な小三治師匠のエッセイということで、80年代生まれ(このエッセイが描かれた直後ぐらいに生まれています)には耳に痛い所も多々ありますが(私たぶん鼻濁音出来てない関東人です)、面白かった。

     正にマクラを文章にした感じで、噺家を目指しているわけではないですが、噺家精神は持ちたいもんだと思っているので、いろいろ発見がありました。

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著者プロフィール

噺家。本名・郡山剛蔵。1939年、東京生まれ。1959年、五代目柳家小さんに入門して、前座名・小たけ。初高座は『道具屋』。'63年、さん治で二ツ目、'69年、真打ち昇進、十代目柳家小三治を襲名。2010年に、落語協会会長に就任。1981年、芸術選奨文部大臣新人賞、2004年に芸術選奨文部科学大臣賞、2005年、紫綬褒章受章、他。『百川』『小言念仏』『野ざらし』等、数多くの得意ネタを持つ。DVDブック『落語研究会 柳家小三治全集』他、CD、DVD多数。著書に、『柳家小三治の落語1~3』『ま・く・ら』『落語家論』他。

「2013年 『落語研究会 柳家小三治大全 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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