落語無学 (ちくま文庫 え 13-3)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480424167

感想・レビュー・書評

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  • 「落語手帖」「落語美学」に続く落語三部作最終作であり、昭和40年から昭和44年ごろに書かれた文章を集めたもの。解説やあとがきも面白い。筆者は落語を愛好しているが、淫するのではなく微妙な距離があるように感じられる。最後の新作落語は余計かな、と思う。

  • さいしょ「江國滋」という名前からなにやら堅苦しい評論めいたものをイメージして身構えたのだが、いざ読み始めてみればなんてことはない、とても軽やかな落語コラム集。

    なるほど江國滋というひとは「落語」についても書くのかぁと思ったら、もともとフリーとして出発したときの肩書きは「演芸評論家」だったのですね…… 無知でスイマセン。そしてこれは、さまざまなところに発表したコラムをまとめて単行本化した『落語三部作』のなかの一冊とのこと。

    批評をしようというのではなく、ひとりの落語愛好家として「落語の世界」に「生きる悦び」を思いのままに語るその言葉は、やはりおなじように「落語の世界」に魅了されるものの心にまっすぐ届く。音楽でいえば「嬉遊曲(ディヴェルティメント)」のような肩のこらない愉しさが、この本にはある。

    「間(ま)の芸」を特徴とする江戸落語に対し、上方落語の最大の特徴にして魅力を「饒舌の芸」とする「上方落語の魅力と特質」と題された短い論考でも、著者は、その特質を知ることで「上方落語」というまた魅惑的な風景と出会えることを約束してくれる。否定したり、貶したりくさしたり、そういった言説の一切登場しない読んでいてとても気持ちのいい一冊だった。

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著者プロフィール

江國滋
一九三四年東京生まれ。演芸評論家、エッセイスト、俳人。慶應義塾大学法学部卒業。新潮社勤務を経て、独立。六一年に『落語手帖』を刊行し、以後、随筆、紀行、評論の分野で活躍する。九七年没。主な著書に『日本語八ツ当り』『俳句とあそぶ法』『落語美学』『旅はパレット』『スペイン絵日記』。句集に『神の御意――滋酔郎句集』『癌め』など。

「2023年 『俳句とあそぶ法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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