ゲバルト時代 Since1967~1973 (ちくま文庫 な 42-1)
- 筑摩書房 (2011年2月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (475ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480427892
作品紹介・あらすじ
1967年から6年間、著者は末端活動家として常に現場にいた。それは、羽田闘争から東大安田講堂の攻防、三里塚闘争を経て連合赤軍のリンチ殺人事件まで、日本中が「熱く、激しく、燃えた」季節だった。うなる警棒、飛び交うガス弾、絡み合うゲバ棒に囲まれる日常。そして革命幻想と現実の間で揺れる心理、「塀の中」の体験など、疾風怒涛の時代の極私的ドキュメント。
感想・レビュー・書評
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[要するに、若さの頃]大学浪人中から積極的に政治活動に関わり、数回にわたって逮捕されたこともある著者が、極左活動の内幕を振り返った作品。イデオロギー的側面にとどまらず、活動に励んでいた若者たちはどんな生活をしていたのかといった具体的なところまで本書中では明らかにされています。著者は、当時の人間関係も含めて、余すところなく書いてよいことを条件に本書の執筆を引き受けたという中野正夫。
往時を知らない人が一般に「極左」「ゲバルト」「赤軍」といった言葉から受け取る印象と、ずいぶん異なる世界が本書には広がっていました。いわば活動に加わることが「ブーム」であった世相で、若者は単なる自己表現や、ともすれば暇つぶしのために参加をしていた一面が記されています。もはや歴史となりつつあるその活動をありのままに(若干そんなことまで書いて大丈夫かという記述も含めて)残してくれたことは、その歴史に地に足のついた見方を加えてくれるといった意味で非常に有益だと思います。
〜共同体や党派集団には、それぞれ一種独特の雰囲気のようなものがあり、それが将来的に何をもたらすか、どういう結果になるか、直感的に理解できない者は政治活動には全く向いていない。義理と人情や、エエカッコシの任侠路線でやっていると、現実から強烈なしっぺ返しを食らうのだ。〜
なんか読書中に苦笑することが多かった気がする☆5つ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
新書文庫
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事件現場にいつも近くにいた活動家の青春物語ではあるが、ベ平連内部の党派性や赤軍支援組織の内実は印象に残った。見えて来ないのは、ブンド内の党派闘争や理論闘争の内実である。
この辺りは高校生の時から活動していた著者の限界かも知れないが、逆にそれが活動家の日常を活写している。 -
まったく未知の作者