リテラリーゴシック・イン・ジャパン: 文学的ゴシック作品選 (ちくま文庫 た 72-1)

制作 : 高原 英理 
  • 筑摩書房
3.98
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本棚登録 : 362
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (681ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480431202

感想・レビュー・書評

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  • 北原白秋と藤野香織を同じ本で読むとは思わなかった…。作品はもちろん、塚本邦夫、高橋睦郎、藤原月彦などと出会うきっかけになったことも含めて一生とっておきたい本です!

  • 文学的ゴシックのアンソロジー、という。前半は残酷な美と背筋が伸びるような、ハッと息を呑むような鮮烈さが確かにあるのだが、時系列で収められている本書は読み進めて行くにつれ落胆を誘う。時折、どきりとするものもあるのだが現代作家のそれは先人にどこか及ばず、醜悪を見せるのみなので評価を星4つとした。ゴシック、という言葉には「野蛮」の意も含まれるそうなので驚くには当たらないのかもしれないが、私はただ飽きてしまって終わりの方は半ば根性で読み終えた。勿論駄作というわけではない。単なる比較の結果である。

  • ズラッと並んだ執筆者名だけで、ため息とヨダレが出てきそうな短篇集。読み始めてから、あまりに勿体無くてゆっくり読んだ。ゴシック小説とは、ホラー寄りの幻想文学?くらいに考えていたが、不穏がキーポイントという編者の指摘には、目からウロコ。初めて読んですこぶる気に入ったのは、竹内健と山尾悠子で、特に後者の、文章からのイメージの喚起力が非常に強いところに圧倒された。赤江瀑には、はあ〜と骨抜きにされそう…素敵!大好きだ…。

  • すごい。文学的ゴシック39編。編者の考える文学的ゴシックとは『不穏』『恐怖や残酷さへの思惟』『残酷・耽美・可憐』うん、大好き。これだけ揃えば贅沢満腹。好みなのは北原白秋「夜」横溝正史「かいやぐら物語」三島由紀夫「月澹荘綺譚」塚本邦雄「僧帽筋」中井英夫「薔薇の戒め」赤江瀑「花曝れ首」皆川博子「春の滅び」倉阪鬼一郎「老年」藤野可織「今日の心霊」中里友香「人魚の肉」川口晴美「壁」。再読でも大好き大槻ケンヂ「ステーシー異聞 再殺部隊隊長の回想」、それはずるいw枠で伊藤計劃「セカイ、蛮族、ぼく。」

  • イロイロな時代の

    イロイロな人の怪奇小説が一冊になって
    お得な感じです。

    この人もあの人も気になるな。
    なんて方にはお薦めですよ。

  • いくつかは面白いものもあったけど、全体的に退屈で難しかった。

  • 太白

  • 【選書者コメント】昔の日本文学作家さんの気持ちわるい作品が読みたかったため。

  • ゴシック小説とは、18世紀後半から19世紀初頭にかけて英国で流行した、中世の古城や寺院が舞台となった神秘的で幻想的な物語のことなんだそうですが、そもそもゴシックという言葉自体、建築から音楽や文学、ファッションに至るまで、いろんな分野で多用されているため、その定義は曖昧で、比較的自由な解釈が許されているようです。で、本書は北原白秋や宮沢賢治、三島由紀夫に古井由吉などの大御所から、現在第一線で活躍中の作家まで、ジャンルも作風も異なる、日本の39名の作家とその作品を紹介したアンソロジーです。残酷さやおぞましさの中に、偏愛や美が垣間見られる作品もあれば、中にはただただ気持ち悪いなぁと、眉をしかめてしまうものもあります。考えてみれば、本書には掲載されていませんが、川端康成や谷崎潤一郎にも、ゴシック的な作品はありますネ。人間の心の奥底には、このようにダークなものを好む傾向が秘められているということなのでしょうか・・・。

  • タイトル通り、文学的ゴシック作品のアンソロジー。ゴシックの定義は人それぞれだと思いますが、コンセプトの明快さは良いですね。こういうアンソロジーを読む醍醐味は、好きな作家の好きな作品(既読)が収録されてる喜びよりも、好きな作家だけどすでに絶版になっていたり全集にしか収録されていないようなマニアックな短編が読めたり、そして読んだことのない作家の作品に触れて新しい発見ができること。その2点に関しては、そこそこ個人的には収穫がありました。ただあまり続けて一気に読むと、この世界はゾンビと吸血鬼と猟奇殺人鬼であふれかえっているような錯覚(妄想)に陥るので、少しづつ読んだほうがいいかも(笑)。

    あと単なるグロとゴシックの境界線の引き方には個人差があると思いますが、時代が現代の作家になるほど、ただの悪趣味なグロ傾向が顕著だった気がします。自分が生きていない時代や国のことはそれだけで一種のファンタジーなので許容できるのだけれど、現代日本の猟奇殺人鬼となると現実には小説より奇なりな事件がごろごろしていますから、フィクションの中でまで不快な思いをしたくないという気持ちが勝ってしまうし。そういう意味では唯一、乙一が苦手でした。ゴシックというジャンルの中に、自分は恐怖よりも幻想性・非現実感・そして耽美的なものを求めているからだと思います。

    未読だったものでお気に入りは吉田知子「大広間」(小川洋子のアンソロジーにもこの作家が収録されていて好きだったのですが、文庫はほとんど絶版のようで・・・)、さりげなく吸血鬼ものの倉阪鬼一郎「老年」も味があり、藤野可織の「今日の心霊」は怖いというよりクスリと笑えて好きでした。

    ※収録作品
    「夜」北原白秋/「絵本の春」泉鏡花/「毒もみのすきな署長さん」宮沢賢治
    「残虐への郷愁」江戸川乱歩/「かいやぐら物語」横溝正史/「失楽園殺人事件」小栗虫太郎
    「月澹荘綺譚」三島由紀夫/「醜魔たち」倉橋由美子/「僧帽筋」「塚本邦雄三十三首」塚本邦雄
    「第九の欠落を含む十の詩篇」高橋睦郎/僧侶」吉岡実/「薔薇の縛め」中井英夫/「幼児殺戮者」澁澤龍彦
    「就眠儀式」須永朝彦/「兎」金井美恵子/「葛原妙子三十三首」/「高柳重信十一句」
    「大広間」吉田知子/「紫色の丘」竹内健/「花曝れ首」赤江瀑/「藤原月彦三十三句」
    「傳説」山尾悠子/「眉雨」古井由吉/「春の滅び」皆川博子/「人攫いの午後」久世光彦
    「暗黒系 goth」乙一/「セカイ、蛮族、ぼく。」伊藤計劃/「ジャングリン・パパの愛撫の手」桜庭一樹  
    「逃げよう」京極夏彦/「老婆J」小川洋子/「ステーシー異聞 再殺部隊隊長の回想」大槻ケンヂ 
    「老年」倉阪鬼一郎/「ミンク」金原ひとみ/「デーモン日暮」木下古栗/「今日の心霊」藤野可織
    「人魚の肉」中里友香/「壁」川口晴美/「グレー・グレー」高原英理

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