- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480434296
感想・レビュー・書評
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改心した元ギャンブラーのビルは、現在は田舎で農夫として堅実な生活を送っている。その親友、都会育ちのお調子者トニーは毎度、ギャンブル絡みのトラブルに巻き込まれ、ビルに何とかしてくれと泣きつく始末。ビルは過去の経験を生かして凄腕いかさま師と対決し、巧妙なトリックを暴いていくユーモア・ミステリ連作集。
パーシヴァル・ワイルドは劇作家でヴォードヴィル作品を数多く手がけていただけあって、1920年代のアメリカ(禁酒法、ジャズが流行しギャングが夜の帝王として街を支配していた時代)を舞台に、コメディタッチでギャンブルに興じる人々のドラマを描くさじ加減が絶妙ですね。
話の大枠が毎回、トラブルに巻き込まれる→泣きつく→何が行われているのか調査→解決 のパターンなのでこの連作短編、続けて読むと飽きちゃいますから、毎日1作ずつ海外ドラマを楽しむ気持ちで読むのがちょうど良かったです。
正義感溢れるけどお調子者のトニーと、それより年下なのに過去の経験から老成しているビルの組合せが、ワトソンとホームズというより、どちらかというとウッドハウス作品に近い(バーティーとジーヴスですね)感じで大変好みでした。ポーカーの際のギャンブラーとの心理戦の描写とか面白かった。 -
アメリカ文学で好きなのはフィツジェラルド、ヘミングウェイ、フォークナーらアメリカ好景気の1920年代、ロストジェネレーションの小説だ。その空気感が自分の若い頃のそれに似てるからだろうか。カードゲームの詐欺といえばPニューマンとRレッドフォードの映画「スティング」だが、あれは金融恐慌後の30年代シカゴでギャングの親分を騙す話だが20年代は上流階級の資本家が集まる会員制クラブでカードゲームが行われていた。「悪党どものお楽しみ」は元ギャンブラーで裕福だが農夫をしているビルが友人トニーの持ってくるクラブでのインチキ疑惑話に乗り出して詐欺師たちのトリックを暴いていく20年代の有名な連作ミステリ。カード賭博という条件の中で行われる盲点を突くトリックは現代エンタメ小説にはないシンプルさゆえに登場人物や空気感が短編なのに十分に描かれている。時代劇で出てくる丁半の鉄火場や現代のオレオレ詐欺的なダサい詐欺と違ってカッコよく感じるのな他所の国だからだろうか。
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『娯楽』★★★★☆ 8
【詩情】★★★☆☆ 9
【整合】★★★★☆ 12
『意外』★★★☆☆ 6
「人物」★★★★☆ 4
「可読」★★★☆☆ 3
「作家」★★★★☆ 4
【尖鋭】★★★★☆ 12
『奥行』★★★☆☆ 6
『印象』★★★☆☆ 6
《総合》70 B- -
いい塩梅の軽いミステリ
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シャーロックホームズ、ギャンブル版。
トニーは間抜けだし、ジムはクレバーだし。ポーカーのルールがすこしでもわかってれば楽しい。
乾いた、かつ読みやすい文体も好き。 -
2017/03/29読了