- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480434999
感想・レビュー・書評
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なかなか読ませる。飄々としていながら、植木等は奥が深い。
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これは植木さんのお父さんの物語である。植木さんのお父さんはキリスト教に帰依していたかと思うと、仏門に入り僧侶になったり、一方で社会運動にも参加して、部落解放運動にもかかわり、監獄にもいれられている。かれは要するに正義感があり、人を助けたいという気持ちがあって、それはどんな宗教でも思想でも矛盾なく受け入れられたからである。しかし、家庭はあまり顧みることがなかった。それにもかかわらず奥さんはついていった。昔の妻というのはこうであったのだろうか。あげくのはては、植木等が妻に買ってやったバッグまで持ち出し、懇意にしている店の女にやったりしている(これには植木の妻も怒ってとりかえしたが)。とまあ、しょうがない男ではあるが、植木等も晩年この本を書くにあたり、執筆を手伝った記者たちとふるさとの村を訪れ、父が村で慕われていたことを知り許すのである。植木等のことはあまり出てこないが、父親を通して、かれの性格がいかに形成されたかがよくわかる。文体は記者のもので、最初から違和感を覚えたがこれは仕方ないだろう。ただ、全体の分量を増やすためか、村の部落解放運動の歴史のところ(娘婿の論文を使ったので)はちょっと退屈だった。
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なんとなく知っていた植木等のお父さんのことを改めて読んだ。
こういう人って、今の時代にいるのだろうか。差別を許さず正義感が強く真っ直ぐでパワフルな、戦う人。でも欠点もあり、それがまた魅力にもなっている人。