噺は生きている ――「古典落語」進化論 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480437136

作品紹介・あらすじ

昭和の名人から談志、志ん朝、また、現役トップの演者は「古典落語」の演目をどう演じてきたか。画期的落語論待望の文庫化。追加三演目を書下ろし。

感想・レビュー・書評

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  • 江戸の人情噺のような大ネタ5つを事細かに分析。まあ、演者によって噺の受け取りかたがかわるのが落語。そこがおもしろくて、波長のあう好きな落語家さんができてしまう。例えば生で「芝浜」では、生志さん、志らくさん、さん喬さん、春蝶さん、鶴瓶さん、「夢の革財布」では雀三郎さん、雀喜さんで聴いているが、一番波長の合ったのがさん喬さん。ほど良い夫婦愛でほっこり。

    でも思うのは、子の皆さんが語る改編の台詞。台詞があってこれを喋らそうとしているのか、その人物の心情に寄り添えばおのずから出てきた台詞なのか。どっちが先か気になるとこですな。

    でも、落語をするようになって、セリフが腹に入った時点で、その登場人物になって気持ちを優先させて自由に喋らせるのも一案かとも思っています。

    いま「ハンカチ」お稽古中ですが、だんだん嫁さんの柄が悪くなってこえが大きくなってきましたな。もとに戻したり、膨らませたり。この作業が大事なんでしょうな・・・・。

  • 小説を読むことが多いので論説を読むことはあまり無いけれど、落語への造詣を深める意味で。

    いやはや深い考察が素晴らしく、文章力の高さも相まって一気に読み切った。これだけ落語にのめり込んでる人が洋楽雑誌の編集長ってのもおかしみが深い。

    一つの話に対して幾つもの解釈、演出があって…っていう構図はクラシック畑のそれに似ている。指揮者の解釈にオケが演出して多種多様な演奏が生まれる。

    落語においても噺家ごとに解釈があって、その流派を様々な演出でもって膨らましていく。なるほど、新しい楽しみ方が開眼した気分。

    まぁあまり小難しいことは考えずに楽しむのが落語な気もするけれど、ある程度の知識がないと結局楽しめないのであればとことん突き詰めていくのも一興じゃないかと。

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著者プロフィール

広瀬和生(ひろせ・かずお)
1960年、埼玉県生まれ。東京大学工学部卒業。へヴィメタル専門誌「BURRN!」編集長。落語評論家。1970年代からの落語ファンで、毎日のように生の高座に接し、自ら落語会のプロデュースも手掛ける。『この落語家を聴け!』『現代落語の基礎知識』『落語評論はなぜ役に立たないのか』『談志の十八番』『「落語家」という生き方』『僕らの落語』『噺は生きている』『21世紀落語史』など、落語関係の著書を多数上梓。


「2022年 『小三治の落語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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