疾走! 日本尖端文學撰集 ――新感覚派+新興藝術派+α (ちくま文庫 こ-56-1)
- 筑摩書房 (2023年3月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480438652
作品紹介・あらすじ
まるで詩で小説を書くような煌めく比喩で綴られる文章で昭和初期に注目を集めた〈新感覚派〉の作品群を小山力也の編集、解説で送るアンソロジー。
感想・レビュー・書評
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京都府立大学附属図書館OPAC↓
https://opacs.pref.kyoto.lg.jp/opac/volume/1279521?locate=ja&target=l? -
大正から昭和初期にかけての川端康成や横光利一で知られる新感覚派や新興芸術派と呼ばれる作家の短編小説を集めた文庫オリジナルのアンソロジー。
何故か川端康成を少し読んだくらいで横光利一に至っては一冊も読んだことがなく、新感覚派何それ?って感じで読み始めたのだが、これが大層面白かった。
巻頭の藤澤恒夫の「首」や横光利一の「高架線」も良かったけど、一番は今東光の「軍艦」。今東光も小説をちゃんと読んだのはこれが初めてだったが、こういう書0小説を書く人だったのかと驚いた。横光利一と今東光はちゃんと読んだ方が良いなと反省した。 -
1920年代に同人雑誌「文藝時代」に集った作家たち中心に編まれたアンソロジー。電車・工場地帯・活動写真・軍艦・カフェ・ジャズといった当時の風俗。その煌びやかと舞台裏の壮絶な光景が両面から描かれています。新感覚派はプロレタリア文学界と対立的な立場にあったようですが、人々の劣悪な労働環境と彼等の抵抗運動も克明に書き込まれています。硫黄採掘所の監督をしていた男と少女の、災禍での束の間のすれ違い『黒猫』(龍膽寺雄)、幻のような都会で行われるお洒落で残酷な男女の駆け引き『橋』(池谷信三郎)が特に印象に残りました。