うんこ文学 ――漏らす悲しみを知っている人のための17の物語 (ちくま文庫 か-71-4)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480438669

作品紹介・あらすじ

人間は、食べて、出します。しかし、食事と違い排泄は人に見られた場合ずっとトラウマになることもあります。漏らす悲しみを知る人のための17編。

「万人に共通する悲劇は排泄作用を行うことである」芥川龍之介
生きるかなしみとしての排泄を、漏らしたときのせつなさを、見事に描ききった文学作品を集めたアンソロジー!
編者は、自身も漏らした体験のある文学紹介者・頭木弘樹。
古い作品から新しい作品まで、日本の作品はもとより海外の作品まで、純文学も娯楽作も、小説だけでなく、エッセイ、自伝、体験談、評論、落語、漫画まで、さまざまなジャンルから幅広く、選びに選び抜かれた、究極の「うんこ文学」名作集。編者、渾身の1冊です!

収録作家 谷崎潤一郎 桂米朝 佐藤春夫 筒井康隆 尾辻克彦 山田風太郎 山田ルイ53世 阿川弘之 阿川淳之 吉行淳之介 伊沢正名 山田稔 品川亮 バルザック ラブレー(共に翻訳:品川亮) ヤン・クィジャ(翻訳:斎藤真理子) 土田よしこ

感想・レビュー・書評

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  • うんこ
    誰でもうんこをする
    日々のことだから、たまには失敗もする
    もしかすると、人前で漏らしてしまうことも…

    生きるかなしみとしての排泄、漏らしたときのせつなさ、それらを見事に描ききった文学作品

    日本文学、海外文学、小説、エッセイ、自伝、体験談などの17のうんこの物語を思う存分楽しみました


    私が特に気に入ったうんこはこの二作品

    『ヒキコモリ漂流記 完全版』山田ルイ53世
    漏らしたうんこをバレずにきちんと処理できたと安心していても、やつには「におい」という武器が残っていることを思い知らせれました

    『野糞の醍醐味』伊沢正名
    あなたは野糞をしたことがありますか…?
    私は…、ノーコメント!
    想像におまかせしますw
    これを読むと野糞に憧れを抱くかも!


    最後に、うんこを連呼して失礼いたしました

    • なおなおさん
      くまさん、出来ませんでしたか༼ ͒ ̶ ͒༽
      私の伝え方が足りないかもなと、ずっと気がかりでした。
      アプリflickは、iPhoneもAnd...
      くまさん、出来ませんでしたか༼ ͒ ̶ ͒༽
      私の伝え方が足りないかもなと、ずっと気がかりでした。
      アプリflickは、iPhoneもAndroidも使えるそうです。
      それでアプリをインストールしたら、スマホの従来のキーボードから、flickのキーボードに変えます←ここが大事\(* ॑꒳ ॑* )✧
      キーボードを変更すると、これまでとは違い、左端に「くまのキャラのマーク」があるのですw
      この部分、何か文字入力すると虫眼鏡マーク(検索機能)に変わります。
      文字入力→虫眼鏡マーク→顔文字が出てくる。
      また、このくまマークを押すだけでも顔文字は出てきます。
      どうでしょう…分かりにくいですね^^;
      2023/07/21
    • kuma0504さん
      ʕ•ᴥ•ʔ です。
      なおなおさん、ありがとうございました
      (* ´㉨`*)*_ _)⁾⁾ペコリッ
      なんだろ?できました!✧\\ ٩༼...
      ʕ•ᴥ•ʔ です。
      なおなおさん、ありがとうございました
      (* ´㉨`*)*_ _)⁾⁾ペコリッ
      なんだろ?できました!✧\\ ٩༼⍢༽//✧
      左隅に突然虫眼鏡マークが出てくるタイミングを完全に見損なっていたようです。
      嬉しい。なんか、嬉しい(◍′◡‵◍)

      うんこ文学は、これを使って必ずレビューする事をお約束します!
      2023/07/21
    • なおなおさん
      おお!くまさんのメッセージに༼¨̮༽がいるってことは…うまくいったのですねヾ༼⍢༽/ヤッター
      私も嬉しいです!私が作った顔文字ではないのに、...
      おお!くまさんのメッセージに༼¨̮༽がいるってことは…うまくいったのですねヾ༼⍢༽/ヤッター
      私も嬉しいです!私が作った顔文字ではないのに、くまさんも使われるなんてなんか嬉しい!
      レビューに登場させるとのこと、楽しみにしています。
      ここ連日、༼¨̮༽のことばかり考えちゃいましたよ笑〜〜1Qさんと、くまさんのせいで^^;。いえいえ…お二人のおかげです(。•̀ᴗ-)✧
      ええ、私もこの本、読むことにします!
      2023/07/21
  • 「絶望図書館 ――立ち直れそうもないとき、心に寄り添ってくれる12の物語」、
    「トラウマ文学館 ――ひどすぎるけど無視できない12の物語」、
    に続く、頭木さんによるちくま文庫アンソロジー第3弾は、
    「うんこ文学 ――漏らす悲しみを知っている人のための17の物語」。
    ナイスなタイトル。
    (類書に、安岡章太郎・編「滑稽糞尿譚――ウィタ・フンニョアリス」。)

    が、全体的には小粒だったかな……便秘の際のコロコロのように。
    そもそも先達たる稲垣足穂を外して何がうんこ文学か! と半ば憤慨していたら、そんなことはお見通しなのか山田稔「スカトロジーのために」で当然のごとく言及されていた、のでチン化、いや鎮火した。
    だいいち、本のうち7分の1くらいがあとがきとか解説とかに充てられている、いわゆるアンソロジー本というよりは、古今東西あらゆるテクストを横断して引用した上で語る頭木さんの鑑賞エッセイ集、みたいな側面が大きいので、楽しいのはむしろそっちだ。
    笑うしかない(ロングショットでみれば喜劇)という記述は、まさに。

    しかしアンソロジー中で唯一、どうかしているくらい超然とした記述をしていたのが、吉行淳之介。
    〈この白い夕方と私を茫然とさせ脱糞させた赤い夕暮れは、いったい何なのだろう〉と。
    いや、その文そのものが、どうかしとるよ。
    と、ちょっと感動してしまった。

  • うんこを漏らすという行為を集めた異色のアンソロジー。幅広い年代、作家による様々な排泄の表現はどれも面白く読めました。漏らす事を知る人であれば文中の悲しみや切なさは痛いほど刺さるのではないでしょうか。尻拭きに最適な品を語るラブレーの一編が特に気に入りました。

  • 著者はラジオで知っていて、紹介されていた本を読みたいと思っていたが、先にこの本が初読みとなる。

    著者の病気に関連した編集だけれど、本にも書かれているように人間誰でも体験したり、遭遇したりと人生には切り離せない事象だ。

    物語は、帯の細雪から始まり、最後のダビンチの言葉で締められている盛りだくさんの贅沢本である。

    文豪たちが、やはり才能なのか!?上品で文学的に語るところ流石である。

    つる姫じゃ〜っ!、懐かしい。
    少女マンガだったんだー(笑)

  • 星野源や朝井リョウが「うんこを漏らした」という話を面白おかしくエッセイで語っていますが、その流れをくむ本だろうと思い手に取りました。

    本書ではエッセイだけでなく、古今東西の文学作品や哲学者の考察など幅広く「排泄」について取り上げた作品を収録しており、このテーマは他者と広く共有する者ではないにしても、人間が生きてゆくうえでは避けて通ることができず、皆それぞれに考え方がある、ということが分かる一冊だと思います。

    大人になって(排泄を自分自身でコントロールできるようになって)から、「うんこを漏らす」ということがあると、それは「人間の尊厳」を失うに等しい「恥」として受け止められたり、他者に語るにあたっては「下ネタ」「笑い」として語るしかない、というのが一般的な印象ですが、そこに一石を投じる本だと思います。

    想像していたよりもエンタメ色が少なかった点が、少し残念でした。
    ただ、解説にある「何か体験して、自分が抱いた気持ちを、ほかの誰にも共有してもらえなくて、もやもやしたまま苦しいとき、開いてみるべきは文学です。どんなに心の奥底のネガティブな気持ちでも、人が誰も自分からは口にしないようなことでも、文学にはちゃんと描いてあります。……文学というのは、ありがたいものだと、あらためて思いました。」という文章は、非常に沁みました。

  • 手に取ったはいいが、いつどこで読んだらいいのやら…と迷ったが病院の待ち時間に最適だった。

    好みだったのは、冒頭一作目の私小説『出口』。あの切羽詰まった状況を、スタジアムでパニックになった群衆に喩えた表現が秀逸。帰り道の情景と、パニックになった群衆が出口を突破し、二度目が、三度目が歓喜をもって出て行き、万歳三唱をするゲートの係員たち…その群衆が衣服の中を転がりながら夜の路上へと、そして「自宅の玄関に、裸体の男がいる。」のくだりが切なく悲しく可笑しく、何とも味わい深かった。

    他にも、美しい日本語で何書いてるんだよと呆れながらも見事な描写に感動してしまったり、さまざまな角度の作品の並びを読んでいくうちに、一生の不覚・人生の汚点・尊厳に関わる大失態だと捉えていた「漏らす」という体験が、人間である以上、あって然るべきだと段々受容している自分に気付く。

    誰にでもある当たり前の日常なのに、語られることのない排泄という行為。ようやく女性の生理がカジュアルに語られるようになったが、排泄についても寛容になれる世の中が来るのだろうか。。

  •  編者頭木さんが難病に罹り大変苦しんだことは『食べることと出すこと』で知ったが、20歳のときに人前でうんこを漏らしてしまったときのショック、茫然自失の状態になってしまった経験から、同じような状況になってしまった場合、人はどのような気持ちとなり、どのようにするのかを知りたいとの思いから、本アンソロジーを編んだとのこと。

     尾辻克彦「出口」。帰途、便意に襲われるこの苦しみは良く分かる。自分も食事をして帰る途中、どうも腹の調子が悪いなから始まり、早く家に戻ってトイレに行かなくちゃ、さらに戻るまで持つだろうかとの不安。歩き方を工夫したり、肛門辺りを手で押さえたり、あと何歩とカウントしたり、何とか間に合ったときの安堵感。しかし、本作では、あらゆる技法、あらゆる秘術を尽くしたが、限界となってしまう。そこに至るまで、そしてとうとう漏らしてしまった後の感情の揺れが見事に描かれている。
     筒井康隆「コレラ」。カミュの「ペスト」と対比して「コレラ」の蔓延を描く。筒井らしい荒唐無稽さではあるが、エイズやコロナを経験した現在からすると、決して笑ってばかりはいられない。
     山田ルイ53世「ヒキコモリ漂流記 完全版」。うんこが嫌われるのには、あの臭いも大きく影響していると思われる。何とか回りに気付かれずに漏らした下着を洗って凌いだと安堵していたらあの臭いが漂い出す。でも笑いにできない、周囲の人間も触れない気まずさ。そこから長い引きこもり生活に突入したとのこと。おそるべし!
     谷崎潤一郎「過酸化マンガン水の夢」。日録のような作品。家人と共にストリップショー見物、映画「悪魔のような女」の詳細な解説、料理屋辻留での食事、そして熱海に帰着。朦朧化した状態での幻想では、洋式便所での糞便の観察から、映画の登場人物の風貌を連想し、さらには史記呂后本紀の人彘(じんてい)が脳裏に浮かぶ。谷崎の筆にかかると別世界のようなあり様。
     ヤン・クィジャ「半地下生活者」。半地下のアパートに暮らす工場勤務の主人公。彼の部屋には便所がなく、借りるときの約束では大家のトイレを使わせてもらうことになっていたが、決してドアを開けてもらえない。外で用を足していたが、次々に使えないようになってしまう。一方で少人数の工場ではストライキが始まり、彼も仕事をする訳には行かなくなってしまう。同僚工員や工員とほとんど変わらない社長とのやり取り、暑苦しい工場の描写が実にリアル。そしてトイレが使えない悶え苦しみ。こうした閉塞感が、ある出来事で急に開けたかのように見える展開がとても面白い。

     うんこという、あまり口に出しづらいテーマを取り上げた様々な作品を目にすることができて、大変満足した。

  • 「うんこ」にまつわる小説やエッセイなどを集めたアンソロジー。
    谷崎潤一郎は好きな作家だが恥ずかしながら「細雪」は未読で、その結末が下痢で腹を下した主人公?が長距離列車に乗って旅立つところで終わるのだとは知らなかった。
    唯一収録されているマンガが「トイレット博士」でも「Drスランプ」でもなく土田よしこの「つる姫じゃ〜っ!」というのが編者の個性の表れだろうか?
    収録されている作品の中では韓国のヤン・クィジャの「半地下生活者」が圧倒的に良かった。80年代末に書かれた作品だが内容は完全に葉山嘉樹や小林多喜二ら戦前のプロレタリア文学の世界だ。これは他の作品も読んでみたいと思った。
    個人的には、松沢呉一の「ウンゲロ」に収録されている便秘が酷すぎて口からうんこを吐き出した話が大好きなので入れて欲しかったなぁ。(「ウンゲロ」は人にあげちゃったんで手元になくて読み返せない)

  • 著者自身が、そういう病気になっているということで、うんこを漏らすことを題材にした小説などを集めている本。
    着眼点がおもしろい。誰しもが隠したがることを、どうやって文豪と言われているような人が扱っているか、告白しているか、カミングアウトしているか。
    そういう小説を集めた、ということだけでも価値があると思う。

  • 珍しい、排便にまつわるアンソロジー。
    よかったのは尾辻克彦「出口」、山田風太郎「春愁糞尿潭」、筒井康隆「コレラ」、山田ルイ53世「ヒキコモリ漂流記 完全版(抄)」、阿川弘之「黒い煎餅」、伊沢正名「野糞の醍醐味」、ヤン・クィジャ「半地下生活者」。

    漏らすのは人間の尊厳に関わる…そういう思い込みが自分にはある。しかし編者がTwitterで呟いていたが人間死ぬまでに5トンものうんこをするならそれを全部便器の中に落とせるかというと。便意は常に不意打ちで来る。

    うんこにまつわる色々なことを思い出しながら読んだ。小学生の頃は学校でうんこをするのはタブーだった。あれ、なんだったんだろう? 学校でうんこをするとからかわれる、そのことへの恐れがいつも念頭にあった(ような気がする)。

    45年生きてきて漏らしそうになったことは何度かあるが漏らしたことは幸いまだない…と思う。記憶にある中で一番やばかった経験は、真夏に、池袋で、空腹で水をたくさん飲んだあと豚骨ラーメンを食べたら帰りの電車で腹を下して、漏らさないよう脂汗浮かべながら耐え、2回途中下車して駅のトイレに駆け込んだ。ラッシュの少し前だったかしてまださほど混雑しない時間帯だったから個室が空いていてなんとか助かった。その日はうんこしながら帰ってきたようなもの。都心はトイレは多いが人も多いので不便。外で便意を覚えるたびもっと個室トイレをあちこちにたくさん設置してほしい、と思う。

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著者プロフィール

頭木 弘樹(かしらぎ・ひろき):文学紹介者。筑波大学卒。大学三年の二十歳のときに難病になり、十三年間の闘病生活を送る。そのときにカフカの言葉が救いとなった経験から、2011年『絶望名人カフカの人生論』(飛鳥新社/新潮文庫)を編訳、10万部以上のヒットとなる。さらに『絶望名人カフカ×希望名人ゲーテ 文豪の名言対決』(草思社文庫)、『ミステリー・カット版 カラマーゾフの兄弟』(春秋社)を編訳。著書に『食べることと出すこと』(医学書院)、『落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ』(ちくま文庫)、『絶望読書』(河出文庫)、『カフカはなぜ自殺しなかったのか?』(春秋社)、『自分疲れ』(創元社)。ラジオ番組の書籍化に『NHKラジオ深夜便 絶望名言』(飛鳥新社)。名言集に『366日 文学の名言』(共著、三才ブックス)。編者を務めたアンソロジーに『絶望図書館』『トラウマ文学館』(共にちくま文庫)、『絶望書店 夢をあきらめた9人が出会った物語』(河出書房新社)、『ひきこもり図書館』(毎日新聞出版)がある。NHK「ラジオ深夜便」の『絶望名言』のコーナーに出演中。日本文藝家協会、日本うんこ文化学会会員。

「2023年 『うんこ文学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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