明の太祖 朱元璋 (ちくま学芸文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480510051

作品紹介・あらすじ

貧農から皇帝に上り詰め、巨大な専制国家の樹立に成功した朱元璋。十四世紀の中国の社会状況を読み解きながら、元璋を皇帝に導いたカギを探る。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった!ほんとうに
    朱元璋は、理想を現実にするために、常に前を向いて進み続けた人なんだと思った。実際どうかは知らないけど、そう考えると熱い気持ちになれるから良い。

  • 明王朝を立てた朱元璋は、即位後の残虐性がことさら取り上げられるが、モンゴル支配以来の華南の官民社会構造や、彼の部下たちの派閥争いなどの背景があり、そのモンダイヲ乗り越えるために画一的な価値観を示そうと強権的な手法に走ったのだと理解した。現代中国の構造理解にまでつながる、貴重な伝記。

  • 1994年刊行のものの文庫版。元末の群雄割拠を勝ち抜いた明の建国者の伝記。知識人や江南人材との関わりを重点に、貧農から儒教的君主への展開が描写される。理想と現実の落差に苦しんだ人物という印象を持った。

  • 同じ著者の「永楽帝」が面白かったので,読んでみた.清朝の皇帝たちが朱元璋を高く評価していたということを初めて知った.

  • 疾病と政治的混乱の中、最下層民から成り上がった男の記録。日本でいえば豊臣秀吉にあたるがスケールは比べようも無い。
    聖賢と豪傑と盗賊の要素が入り混じっていたとあるが頷ける。戦乱の中で日々勉強して知見を広めた事、鉄の掟で経済力に勝る敵を打ち破る、明の建国後の復興に成功するなどはやはり英雄と言える。彼の資質もあったが妻である馬皇后と硬骨漢ともいうべき参謀劉基の存在が大きかったものと思われる。
    大量殺戮による事で評価が下がるが功臣たちの奢りも原因だった事は否めない。
    最後の皇孫に対する思いは秀吉の秀頼に対する思いに通じるものがある。
    それにしても彼の顔は実際のところどうだったのだろう。

  • 元朝政治が政治闘争で乱脈をきたし、統治能力を失い叛乱が多発したことから筆が始まる。
    明朝の構成員は功臣武官の淮西集団と知識人文官の浙東集団に大別。双方で対立はあったがいずれも南人であり、北方との統合を朱元璋は期す。
    科挙実施も、合格者(=官僚)が南人ばかりを見て中断。
    南人官僚や地主の不正蓄財を解消するために、胡藍の獄や六諭発行などの政策が行われたとの著者主張。
    朱元璋自身の猜疑心もあるが、何より各人が己の分を守る理想的な儒教国家を成立させるために法を用いた厳格な他律的国家を作ろうとした。

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著者プロフィール

 京都女子大学文学部教授
 1950年生まれ。神戸市出身。中国近世史専攻。
 京都大学大学院文学研究科博士課程(東洋史学専攻)満期退学。「明朝専制支配の史的構造」で京都大学博士(文学)。
 堺女子短期大学、富山大学、京都女子大学助教授を経て現職。

主要論著
  『明の太祖朱元璋』、白帝社、1994年
  『明朝専制支配の史的構造』、汲古書院、1995年
  『永楽帝—中華「世界システム」への夢—』、講談社選書メチエ、1997年
  『東アジア海洋域圏の史的研究』(共編著)、京都女子大学研究叢刊39、2003年
  『中国人物列伝 第四講』(共編著)、恒星出版、2005年
  『中国の歴史・下』(共著)、昭和堂、2005年
  『中国歴史研究入門』(共著)、名古屋大学出版会、2006年
  『永楽帝—華夷秩序の完成—』講談社学術文庫、2012年

「2013年 『明代海禁=朝貢システムと華夷秩序』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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