- Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480510143
作品紹介・あらすじ
国際関係を「構造的権力」という概念で読み解いた歴史的名著。経済のグローバル化で秩序が揺らぐ今、必要な視点がここにある。解説 鈴木一人
感想・レビュー・書評
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本書原書の副題が"An Introduction to International Political Economy”で、邦訳副題もその通り"国際政治経済学入門"。"入門"というと、ついつい平易に書かれたものをイメージしてしまいがちだが、国際政治経済学という比較的新しい学問分野を学ぼうとする者たちを誘うために元々は書かれたものである。そういう意味では正に入門なのだが、かなり歯応えのある入門書である。
第一章冒頭に言及されているが、本書は学生たちが知らなければならないことを想定して書かれる普通の教科書のスタイルではなく、読者に、世界経済の政治学をどう考えるか、その方法論を示唆しようとするものであるとする。
著書は、「構造的権力」という概念を提示する。構造的権力とは、世界の政治経済構造を形づくり、決定するような力とされ、具体的には、国家、国家相互、または国家と人民、国家と企業等の関係を決める枠組みを形づくる権力とされる。
そしてこれは、安全保障構造、生産構造、金融構造、知識構造の4つの構造から成るとのモデルを示した上で、以下第二部において、各構造について、豊富な歴史的事実を踏まえた説明がなされる。
以上を踏まえて、第三部では、二次的構造として、輸送システム、貿易システム、エネルギー供給システム、福祉・開発システムの四つが代表的なものとし、それらに関するルール作りの不平等性や、国際機関、多国籍企業等の問題点等が取り上げられる。
本書は出来合いの答えを出すものではなく、本書の分析視覚を用いて諸問題の答えを考えることは読者に開かれている。本書が書かれたのは、未だ全面的な経済のグローバル化が進む前であり、随分状況は変化したし、構造を重視する考え方は、ややもすると静態的になりがちでダイナミックな動きを十分捉えきれない憾みはある、それでも国際政治経済を考える上で非常に勉強になる書だと思う。
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情報革命とインターネット以前の世界における、市場に対する国家という装置の役割と位置づけの分析。それらエッセンスが産業構造が大きく変わった今日どのように有用かが、この古典の読みどころになるべきところ、個人的には文章が右から左に通過してしまい、論拠の立て方や議論の進め方といった、本筋と関係ないところにしか、頭に響かなかった。
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333.6||St