- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480510242
作品紹介・あらすじ
村に戦争がくる!そのとき村人たちはどのような対策をとっていたか。命と財産を守るため知恵を結集した戦国時代のサバイバル術に迫る。解説 千田嘉博
感想・レビュー・書評
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戦が差し迫る中、身の隠し所や避難場所、私財の預け場所や隠し場所をつぶさに見ることによって、生き延びるのに必死だった人々の姿が浮かび上がってくる。面白かったのは、預り物の引き渡しを、相手を殺してまで拒否した事例で、預かり手数料によるビジネスが存在した証拠が特に見出だせない時代にあって、預り物の慣習があった当時ならではの矜持が感じられた。生命と財産の危機が身近な環境を知らない現代人には、それらの具体的な護り方は盲点で、戦乱の世の情景が生々しく見えてくるような内容だった。
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戦国の城というとその城主である大名や武将たちとの関係で語られることが多いけれど、本書は民衆と城の関係を読み解いていく。自力救済社会の民衆にとって「城」とはなんであったのか、城は必ずしも領主だけのものではなく、村のものであり民衆のものでもあったことを教えてくれる。城の普請や維持管理を日常的に請け負う村人たち、有事の際に城に籠る村人たち、財産の預け場所でもあった城、様々な視点で語られる城と民衆とのエピソードが面白い。
研究書の硬さはなく、語り口は随筆のように軽妙。当時の史料も現代語訳や意訳してくれていて読みやすいのだが、その内容は濃い。 中世を生きた人々の息吹を生き生きと想像できて、とても愉しめた。り口は随筆のように軽妙。当時の史料も現代語訳や意訳してくれていて読みやすいのだが、その内容は濃い。 中世を生きた人々の息吹を生き生きと想像できて愉しめた。 -
「隠物」って何?
書名を見た最初の感想である。
戦乱の続いた戦国時代の実相を描いてきた藤木氏が、戦国の村びとたちが命と財産を守るために、どのように対してきたか、城と隠物・預物に着目して解き明かしたものである。
戦国の城が民衆の避難所でもあったことを、中国やヨーロッパの城郭と対照させて論じ、領民に課された城の維持管理の普請役務と、領主の領民の安全確保が、双務的なものであったことを明らかにする。
城の避難所がどの場所であったかを探すため、郷土史家たちと共に具体の現地城址跡を踏査していく様が興味深い。
戦争が来た時に、家財をどうしたか。
各地から出土した銭甕の例や地下式坑、隠れ穴について、また、他の信頼できる人に財産を預ける預物のネットワークについて紹介がなされる。
戦国時代というと、武将同士の戦いに目を奪われがちであったが、当然その戦乱に巻き込まれるてしまう庶民の生活があった訳で、本書はそうした村びとたちの生き延びるための知恵や努力を明らかにしてくれる。
根拠となる史料についても分かりやすく解釈を示してくれたり、地図やイメージ図が付されていたりと、とても読みやすい。
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まだまだ埋まっているのかもしれぬ
お宅のお庭にも!