絵画の政治学 (ちくま学芸文庫)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480510907

作品紹介・あらすじ

ジェンダー、反ユダヤ主義、地方性……。19世紀絵画を、形式のみならず作品を取り巻く政治的関係から読み解く。美術史のあり方をも問うた名著。

感想・レビュー・書評

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  • リンダ・ノックリンのフェミニスト芸術批評の意味と影響 | Greelane.com - 世界最大の教育リソース(29 Mar, 2019)
    https://bit.ly/3EQVbRU

    【無料版・第1回】EGSA ONLINE vol.1『リンダ・ノックリン「なぜ女性の大芸術家は現われないのか?」解説』|EGSA JAPAN@芸術におけるジェンダー/セクシュアリティ教育を改めて考える会議|note(2020年8月23日)
    https://note.com/egsajapan/n/ne1e937214fdc

    Nochlin, Linda | Dictionary of Art Historians
    https://www.arthistorians.info/nochlinl

    筑摩書房 絵画の政治学 / リンダ・ノックリン 著, 坂上 桂子 著
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480510907/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      美術(史)が見過ごしたポリティクス|ちくま学芸文庫|吉良 智子|webちくま
      https://www.webchikuma.jp/arti...
      美術(史)が見過ごしたポリティクス|ちくま学芸文庫|吉良 智子|webちくま
      https://www.webchikuma.jp/articles/-/2681
      2022/01/17
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      リンダ・ノックリン著「なぜ偉大な女性芸術家はいなかったのか?」Vol.1──フェミニスト美術史家が突きつける問い【アートで祝う国際女性デー】...
      リンダ・ノックリン著「なぜ偉大な女性芸術家はいなかったのか?」Vol.1──フェミニスト美術史家が突きつける問い【アートで祝う国際女性デー】|ARTnews JAPAN(2023.03.08)
      https://artnewsjapan.com/article/799
      2024/03/11
  •  非常に刺激的な美術史研究書。
     フォーマリズム(形式主義)が主要な規範となり、芸術から余計な主題を取り除くことに美術研究の主流がなっていたのに対し、著者は作品を社会的・政治的関係から読み解いていこうとする。⇨Politics
     それを著者は、「美術史を"他者性"の視点から考える」と表現している。

     各論文の概要や取り上げるに至った背景等については序文にかなり詳しく触れられているので、本文を読むのに参考となる。

     オリエンタリズム、挿絵などの大衆芸術、まなざしの客体の女性モデル、反ユダヤ主義などの「政治」性が鋭く解き明かされていく。
     クールベ、マネ、ピサロ、ゴッホ、ドガ、スーラといった大家の作品に対しても、大変刺激的な新たな視点からの読みがなされるし、従来の美術史の規範性に対する問い直しも行われる。

     本書で取り上げられた作品を改めて見たくなった。

  • 美術作品の裏側のストーリーをさらっている感じで、面白いっちゃ面白かったんだけど、各章の繋がりや全体のストーリーみたいなものは感じにくくて微妙に読み進め辛く感じました(ので、3)。
    エドガー・ドガが反ユダヤ主義者だったという話は当方不勉強で今回初知りだったので結構ショックを受けたし、こういう思想が表出することを「結晶化」と表現していたこと、ドガにおいてはその家柄とも関連していたというのはなるほどと思いつつ、親しい友人を政治思想で失うような世界観ってリモートなようで、昨今話題の新興宗教やサロン運営を行う団体を思い起こすと自分の身にも起こる話だなと思ったりはした。
    それから、植民地支配の暗い部分は絵画で描かれにくかったという点、よくよく胸に留めておこうと思いました。

  • 美術館では絵画ごとのキャプションと、有名な画家ならその人についての説明などに接することができる。それも絵画鑑賞の一面ではあるし、気楽に絵画を楽しむには十分だと思っているけれど、この本のような深掘りもまた違った視点や感想を与えてくれる。

    それと絵画として私たちの前に見えているのは、本当に画家たちの一部(最表面)だけなんだとつくづく思う。その作品ができるまでに積み上げられた経験・知識・思想が、技術以上に隠れている。

  • N区図書館

  • 絵画を芸術ではなく政治学(日本語の表現としては「社会学」の方が近いのでは)の観点から見る。踊り子によって人のフォルムや動きの表現を追求したドガが、ドレフェス事件によって仲間の画家や親しい知人とも疎遠になるほど半ユダヤだったとは知らなかった。光や色彩を追求したゴッホだが、初期作の貧しい農民などを描いた作品を見れば、社会問題を題材としたルポルタージュの挿絵画家ルヌアールを敬愛していたのは納得。スーラのグランド・ジャット島が「反ユートピア」は面白かった。
    画家の周囲には同時代の政治や社会があり、その中から生まれでているのだが、つい純粋に芸術的な存在として見てしまいがち。
    オリエンタリズムの絵画のオダリスク、マネのオペラ座の仮面舞踏会などで触れられてはいるが、フェミニズム色は薄い。フェミニズムの論客ならそちらの切り口での美術史も読んでみたい。

  • 1
    avant-garde


    ギュスターヴ・クルーべ
    「リアリズムとは、芸術における民主主義である」
    [メタ的絵画]

    ドラクロワ
    保守的 ナポレオン体制を支持
    新古典主義の師ゲランの神話画に見られる図像と画面構成

    フィリップ=オーギュスト・ジャンロン
    急進的
    しかし《小さな愛国者》は「恐ろしい犠牲を描いた寓意画《ミソロンギの廃墟の上に立つ瀕死のギリシア》を、明らかにより柔らかい表現にし、受け入れられやすく焼き直した作品である」

    グレール《過去、現在、未来》
    べザール《地球を治める邪悪な種族》
    パプティ《幸福の夢》おそらく折衷主義?
    ヴィクトール・ロベール《ヨーロッパを啓蒙する宗教、哲学、科学、芸術》

    パプティはフーリエ主義者

    アヴァンギャルディザム

    2
    リアリズム
    ・同時代性
    ・時には矛盾するを呈するが、「人は自らの場所を生きるべきだ」

    ルネサンス 古典主義
    ・想像上のギリシア・ローマと聖書の世界一般
    ・地理性を超越した「非地方的なもの」

    場所の意味は、階級の意味とほぼ同類でもあり、そのため、それは風景や室内の忠実な描写よりもむしろ、人間によって示される。

    3
    オリエントによって堕落させられること以上にヨーロッパ的であることとは結局何なのだろうか。リチャード・ハワード

    4 ピサロ
    見る才能は、創造する才能よりも希少である。ゾラ

    5 マネ

    6 ゴッホ
    ゴッホの着想源である挿絵画家
    ケーテ・コルヴィッツ

    7 レオン・フレデリック
    Proletariat

    8 ドガ
    ドレフェス事件

    9スーラ
    反ユートピア

    光彩主義 点描主義
    は現代の大量生産の寓意

  • 723.3||No

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著者プロフィール

リンダ・ノックリン(Linda Nochlin)
1931-2017年。ニューヨーク生まれ。美術史家。イェール大学、ニューヨーク大学インスティテュート・オブ・ファイン・アーツなどで教鞭をとった。論文“Why Have There Been No Great Women Artists?(なぜ偉大な女性の美術家はいなかったのか?)”で、フェミニズム美術史の論客として有名に。著書にWomen, Art and Power and Other Essaysなどがある。

「2021年 『絵画の政治学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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