- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480510945
作品紹介・あらすじ
荘園に生きた人々を通じ荘園制の実態を解き明かした画期的な入門書。古代律令制官僚支配を受け継ぎ中世全体を形作った制度を、すっきり理解する。
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日本史の授業でいちばん教えにくいと言われる荘園。時代や場所により性質が様々で、関わる人々の利害関係が複雑なことがその理由だろう。しかし、古代から中世にいたるまで特産物によって日本の経済を支え、王家・摂関家を頂点とする重層的な社会構造を生み出したのは荘園に他ならない。加えて武士の発生や源平の争乱も荘園の支配権争いに端を発する。この制度を把握できなければ日本の歴史を真に理解することは出来ないだろう。本書はそんな荘園の実態を、荘園に生きた人々のドラマを通じて具体的に描いた画期的な入門書。この本を読めば荘園が面白い存在に見えてくる。 解説 高橋典幸
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日本社会を規定したもの
人物を通してその実態に迫る
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【目次】
はじめに
概観
1 生江臣東人――初期荘園と地方豪族
2 大法師兼算と古志得延――越後国石井荘の荘司と田堵
3 「南京一の悪僧」覚仁――伊賀国東大寺領の完成者
4 橘兼隆と大田光家――開発領主と寄進地系荘園の成立
5 太良荘の定宴と歓心――荘園経営者と百姓
6 太良荘の公文・名主、禅勝と実円――転換期の中間層
7 菅浦の乙名清九郎――惣の救世主
8 悲願の代官祐清――新見荘の直務代官
9 「家門御下向」――日根荘の九条政基
参考文献
略年表
文庫版あとがき
解説 人物を通じて荘園を理解する 高橋典幸
感想・レビュー・書評
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荘園は時代や場所により性質が様々で、関わる人々も複雑です。
しかし、古代から中世にいたるまで日本の経済を支え、重層的な社会構造を生み出したのは荘園に他なりません。
本書では荘園を、荘園に生きた人々のドラマを通じて具体的に描いてくれます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
歴史を学び直してみたいと思い立ち、読みはじめた中の一冊です。
荘園をめぐる人々との関わりという視点から、荘園の歴史的変遷が語られています。
荘園に関する叙述上のネックは、学術用語。素人の私にはやはり煩わしい。
ですが、取り上げられているのは、何れもよく知られた荘園で、本書をきっかけに関連書の再読、挑戦してみようか、と思わされました。
本書がはじめて世に出たのは1970年代ということですが、高橋典幸氏による現代の研究動向も踏まえた簡潔でわかりやすい解説があり、本文庫版でも紹介されている伊藤俊一著『荘園』(中公新書)を相前後して読んでいたことも助けとなりました。
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1 生江臣東人――初期荘園と地方豪族
2 大法師兼算と古志得延――越後国石井荘の荘司と田堵
3 「南京一の悪僧」覚仁――伊賀国東大寺領の完成者
4 橘兼隆と大田光家――開発領主と寄進地系荘園の成立
5 太良荘の定宴と歓心――荘園経営者と百姓
6 太良荘の公文・名主、禅勝と実円――転換期の中間層
7 菅浦の乙名清九郎――惣の救世主
8 悲願の代官祐清――新見荘の直務代官
9 「家門御下向」――日根荘の九条政基