読み書き能力の効用 (ちくま学芸文庫 ホ-26-1)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (704ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480512178

作品紹介・あらすじ

労働者階級が新聞雑誌・通俗小説を読むことで文化に何が起こったか。規格化された娯楽商品に浸食される社会を描く大衆文化論の古典。解説 佐藤卓己

感想・レビュー・書評

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  • 思った以上に読みづらく、面白かった。
    最初はタイトルや紹介ページから『読み書きが広がった故の弊害』や『印刷物に対するあれこれ』かと思ってた。全然違った。労働階級の生活や文化についてが主な話。その中でも『読み書き=印刷物の普及に伴う変化』が主題という感じ。

    最初は男女の結婚するまでの文化や価値観が書かれてる。


    p269 11B 大衆文化における現在の諸傾向・概括
    中央集中化の過程と技術的発展とが続いているさなかで、なにか実質的に意味のあることとして「自由」を保持してゆくためには、どうすればよいのか、という問題、である。これは格別に複雑な挑戦といってもよい。なぜなら、もし実質的に内面の自由がなくなったとしても、巨大な、新しい「階級のない」階級には、そのことがわからないだろうから。そのメンバーはそうなっても相変わらず自分たちは自由だと考えるだろうし、おまえたちは自由なんだ、と語られるに決まっているから。

    ――感想ー
    これ、ラストの文章なのだけど。
    希望的なことが書かれてる(『複雑な挑戦』の部分)……と一瞬思ったのに、最後の文は要するに『自由がなくなっても分かんねーだろ。お前ら馬鹿だから(←言い過ぎ)』という意味だよね。

    私の読み方が間違ってるだろうか。

    でも『表現の自由』の使い方を見ると、なんかこのラストの文章には頷くことしか出来ない。

    一応書いておくと、【「階級のない」階級】は労働者階級にいた人たちも読み書きができるようになって、その階級から抜け出す人たちも出てきたし、他の階級もこの膨大な量の書籍や新聞に接していて、階級の区切りがなくなって来たのではないかと言う考察から【階級のない』階級】は大衆娯楽を消費する人たちというような意味合い。(だと、私は思ってる)

    文化をつらつら書いてある第一部は興味が持てなくて、選んだ本を間違えたかな……と思ったけど、最後に近づくほど『今のインターネットの世界も変わらない』という部分が多くなって面白かった。

  • 出版社のページ(筑摩書房)
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480512178/

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著者プロフィール

リチャード・ホガート(Richard Hoggart):1918-2014年。英国リーズの労働者階級の家庭に生まれる。リーズ大学を卒業。バーミンガム大学で教鞭をとり、1964年に現代文化研究センターを設立。1971年からユネスコの事務局長補佐をつとめたほか、高等教育や放送マスコミ研究などの分野における社会活動においても、いくつもの要職をつとめた。主著は本書のほか、Liberty and Legislation、The Tyranny of Relativismなど多数の著作がある。

「2023年 『読み書き能力の効用』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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