ニーチェはこう考えた (ちくまプリマー新書 148)

著者 :
  • 筑摩書房
3.60
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本棚登録 : 233
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480688507

作品紹介・あらすじ

熱くてグサリとくる言葉の人、ニーチェ。だが、もともとはまじめで弱くて、斜に構えた青年だった。徹底的に挫折しても、再び立ち上がることができるのはなぜか?不安で不確実な現代に、等身大のニーチェがいま、よみがえる。

感想・レビュー・書評

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  • 分かりやすいが、その「分かりやすさ」に危険を感じた。
    ニーチェの思想は難解であり、その分どう解釈するかは受けて次第、つまり「どうとでもとれる」危険を孕んでいる。
    ナチスに利用されたのだってそのせいではないか。
    昨今の「ニーチェブーム」にも首を傾げる。
    いつからニーチェは自己啓発カウンセラーになったのだ。

  • いくつかの主要なニーチェの著作について、彼の人生に寄り添いつつ、どういう状況で書かれたのかを説明してくれるので、それぞれの内容がよく理解できる。ニーチェの主張と、著者石川氏の解釈の部分がきちんと区別されて書かれていることにも好感がもてた。

    文章も平易で、簡単に読めるので、ニーチェの入門書として若い人にもお薦めできる。

  • ☆ニーチェの哲学は、うじうじした「小さな人間のための哲学」 

  • 【再読】
    【いちぶん】
    では、ニーチェの哲学とはどういうものだろうか。それは、一言でいって、うじうじした「小さな人間のための哲学」だ。そう言ってみたい。
    (p.10)
    ニーチェの哲学はうまくいかなくなった人間が自分をどううまく立て直すか、その方法を探る連続のようにも思える。
    (p.22)

  • ニーチェの思想をわかりやすいことばで解説している本です。

    著者は、「超人」を説いていたはずのニーチェの思想を、むしろ「小さな人間のための哲学」だと規定しています。ルサンチマンをかかえた小人たちに対するニーチェの容赦のないまなざしは、そうした人間の心の働きを内側から理解する者に特有のものだと著者はいい、それゆえ彼の思想は、彼とおなじ弱さを抱えたひとへのメッセージとして読むことができると考えます。ここには、モラリストの系譜のなかにニーチェを位置づける解釈に通じるものがあるように思います。

    一方、「永遠回帰」の解釈では、著者が大きな影響を受けている竹田青嗣のニーチェ解釈を下敷きにしているようです。竹田のニーチェ解釈は、おなじ筑摩書房から刊行されている『ニーチェ入門』(ちくま新書)にくわしく述べられていますが、本書はいっそうわかりやすいことばで説明がなされています。文体は、竹田よりもむしろ西研や橋爪大三郎を思わせます。

    ニーチェの「力への意志」については、「なにか世界の根本原因のようなものではなく、わたしたちが自分のよろこびの経験をふり返ることによって確信されるものと考えてはどうだろうか」と著者は述べています。ここには、読者にとって勇気が湧いてくるような思想としてニーチェを解釈しようとする著者の意図が認められるように思いますが、天下り式に著者の理解する「力への意志」が持ち込まれているようにも感じられます。

  • 【ニーチェさんが伝えようとした「力への意思」】
    哲学初心者の私でもわかりやすく、ニーチェさんが若い頃から亡くなるまでをさらりと知れる良い本でした。

  • 2016.4.29
    哲学入門の推薦本のひとつ。神は死んだ、とか、ニーチェ先生とか、名前だけは知ってたんだけど、実際どういう哲学を展開したのか、どういう人生を送ったのかは詳しくは知らず、この入門書を手に取った次第です。根本のモチーフというか、哲学的動機は私も共感するところがあって、すごく参考になった。何もないという青年らしいアイデンティティの危機から、崇拝の対象を見つけ、理想の崩壊、そこからの再構築という人生、ここには破壊と再構築という不断の進化の過程が見て取れる。理想主義も、ルサンチマン(自分が欲するものを他者が持つことによる妬み)もニヒリズム(理想通りにいかない世界、自分、みんななくなれ)も懐疑主義(真実なんてないよ、と思ってる俺こそ真実)も、みんな現実を見てない点で同じという意見は目からウロコだった。人間の力への意志、自己拡大と自己保存の欲求は、欲望を考える上で非常に参考になる。人間は理想を生きる、故にルサンチマンなどが現れる。ルサンチマンは自己拡大欲求による苦しみだ。苦しみに耐えられなくなる、すると苦しみむからこそ善だとか、本当は理想なんてないんだ、なんていう考えが生まれる。これは自己拡大欲求による苦しみを合理化する、自己保存欲求によるものではないか。しかしこれだけ参考になる考え方でもやはり、永遠回帰はイマイチぐっとこなかった。生きることは喜びを得るためにある、これはわかる。私もその通りだと思う。生きる目的や意味や理由を問いたくなるときがある。しかしそれも、生きることを喜びとしたいがためのものである。目的は喜びの手段であり、生きることの至上の目的は、喜びを得ることだとは思う。しかし永遠回帰の概念でそれを得られるかと言えばまた微妙というか。ここあたりは、欲望存在の人間としての実存、現実をより哲学した上で、人はいかに生きればより喜び多く生きられるのか、という自分なりの考えを深めたいなと思った。

  • 2014年5月に実施した学生選書企画で学生の皆さんによって選ばれ購入した本です。
    通常の配架場所: 1階文庫本コーナー
    請求記号: 134.94//I76

    【選書理由・おすすめコメント】
    授業でニーチェを知り、どんな人か気になっていたところ、この本はニーチェの生涯にスポットをあてているみたいで興味を持ったから。
    (薬科学科3年)

  • とてもわかりやすいニーチェの入門本。彼の哲学は現代に生きる我々にも役立つのだ。

  • わかっちゃいるけどやめられないを抜け出すために:「ルサンチマンやニヒリズムを徹底し、永遠回帰することで、力への意志を持ち、力の感情を再現する」

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