- Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480688576
作品紹介・あらすじ
生息するプランクトンの種類や数で湖を観察すると、タフで豊かな生態系のようすが見えてくる。自然環境について、手前勝手な思い込みは捨てよう。人類が生き残るための、目からウロコの生態系論。
感想・レビュー・書評
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「生態系」とは?よく使われる言葉だけれど、何も考えずに使ってはいないか?
そもそも環境保全とは誰にとって都合の良い環境を保全することを言うのか?
様々な要因が複雑に関係しあって絶妙なバランスを保っている生態系は、私たち人類が知恵を絞ったところで代替の物を作ったり失った物を復活させられるという単純な話ではなく、ヒトの目に見えないところで他の重大な「環境破壊」をしているかもしれない。
さまざまな「環境保護活動」へ動き出す前に、よく考えるべきだ。今までなんとなく疑問に思っていたモヤモヤを分かりやすく説明してもらえたような本詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
生態系とは実に複雑な相互作用である。
これも「鮎を放流すればよい」「トキを放てばよい」といった単純な思考では却って生態系に害を与える可能性もあるという示唆。
ものごとの仕組みというのは凡夫が望むように簡単ではない。
わかりやすさとは危険である。 -
題名を見た瞬間、買おうと思った。「●●のため!」という結論があるにせよ無いにせよ、これを読めば、よく話題に上っている「生態系の破壊」や「生物多様性」について考えられると思ったから。
この本を読んで、新しい考え方に触れることができた。
「澄んだ水」と「濁った水」、どちらが生態系によいのか?
「そりゃあきれいな水やろ」と答える人も多いやろうし、世間で行われている取り組みをみると、「澄んだ水」を目指しているのは簡単にわかる。
しかし、澄んだ水というのは、栄養がなく、植物プランクトンも少ない。そこにあるのは単なる水のみ。では栄養も、光合成も行う者もいない、いわば「砂漠」のような水で、はたして生態系は良いといえるのか。たしかに、富栄養になりすぎるのもよくない。しかし、きれいすぎるのもよくない。
固定観念に縛られず、生態系を考える際に読んでみてほしい。
ほかに、稚魚の放流についても印象的だった。