ザハ・ハディッドは語る (The Conversation Series)

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  • Amazon.co.jp ・本 (171ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480836472

作品紹介・あらすじ

世界中からラブコールを受ける建築家が創造の源泉とみずからの仕事を語る。「ローマ国立21世紀美術館」「BMW工場」から自身の「アラブ性」まで。

感想・レビュー・書評

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  • 「ザハハディットは語る」を読みながら、ザハハディットの言葉が、よく理解できない。数学的なのかな。ザハハディットは自分のアイデアやイメージに対して言葉が定着させきれていないのか?ザハハディットの創り出している建造物を従来の建築史の文脈の中で、説明しないで、ザハハディットの新しい文脈を創り出している。ザハハディットは、「建てた建築よりも、実現しなかったプロジェクトの方が有名」そして「アンビルト(建たず)の女王」と言われる。東京オリンピックの新国立競技場の最初のコンペで勝ったが、あれこれの理由で、ひきずり降ろされた。推挙したのは、安藤忠雄だった。
    そのデザインは、未来からきたような 曲線が複雑に入り混じった建造物。未来とは、どういう建築となるのか?を捉えようとしているのかもしれない。
    ザハハディットが作る建造物は、今までにない建造物で、異形であるが、何かしらサプライズみたいなものがあり、それは確かにアートのようである。また、その曲線は、モンロー曲線のようなセクシャリズムでなく、幾何学的な曲線である。

    ザハハディットのグッゲンハイム美術館は、「巨大なチューインガム状の丘を様々な方向に伸ばしたような空間」を作ると言っている。空間のバラエティによって、フレキシブルな利用ができる。メルツバウ的モデルともいう。
    ザハハディットは、「建築 そのものを都市化する。」というが、その都市の概念が今までの都市とは、あっきらかに違う。
    ザハハディットは、「アートや人生とはなんであるかの本質を問うこと」ともいい、建築と哲学が渾然一体となってくる。

    ローマの美術館の面白いところは、もはやオブジェではなく、フィールドである。
    互いに絡まりあい、入れ子状になっている。目に見えない動きがあるという。
    オープンな空間の価値を構成する。ユートピア、インスタレーションをインスタレーションする。時の変位感覚。存在は、常に挑戦を受けながら、そのあり方を変化させて行く。美術館は、アートと融合するようになる。そう言われているが、わかったようで、わからない。

    エルミタージュ美術館は、異なった建物がたくさんあり、部屋がたくさんある。生命観や瞬間というコンテキストを表現できる。
    ザハハディットは、美術館の展示が、「静寂の中で鑑賞される」という文脈の中では限られてくる。多様な見せ方と多様な刺激がいる。そして、単一な視点や単一の角 というものは、存在せず、視線が複合的であることで、成り立つという。
    美術館は、ホワイトキューブであり、ホワイトキューブが、最大のフレキシビリティを約束するという概念にザハハディットは対立しようとする。
    アートを展示し、ダウンタウンを再活性化すること。部屋を垂直に作る。
    天井から吊るされて、地面につきそうでつかないようなインスタレーション。
    常に、サプライズが用意されないと面白くないようだ。

    ロンドンには、素敵さは、似合わない。乱雑だからこそ、生き延びているとザハハディットはいう。
    クリストは、議事堂を包んだ。それは、ビルバオ効果を生み出した。それは、美しいということではない、行動によって、人が集客できる。ともいう。

    BMW工場へのプレゼンテーションとコンセプト
    ドイツの人は環境問題に意識的であり、自然光を取り込み、建築の冷暖房が経済的に行われることが、非常に重要。新しいレベルの社会的複雑性。製造領域から都市領域へ発展させる。そして、工場のあり方を変えていく。決まったルールに基づくオフィスではなく、イベント空間としてのオフィスとして作られる。遊びの場としての仕事場であってもいい。屋内にストリートを作り、ストリートをパブリックにする。

    コンクリートは、重い素材でありながら、軽量さや透明感を表現することができる。セルフコンパクティングコンクリートというもので、実現できるようになった。

    建築物において、「ストローロロジー 散策学」が必要であり、決められた順路にしたがわねばならないということをやめる。歩きながら、パースペクティブが見える。歩く中で、景色が変わることで、新鮮な刺激を受ける。
    明らかになったことは、ザハハディットのキイワードは、「隣接性と多孔性、開放性と重層性、多層性と社会的複合性と複雑性」であり、多面的な視点から構成される。空間の人の移動を考慮にいれ、内部に都市構造を作る。

    レムコールハウスは、ザハハディットに対して「仕事、手さばきに勢いがあり、想像力豊か」という。

    なぜザハハディットの建造物は、あのような曲線とレイヤー性を持つのか。
    少なくとも、イラクの出身であり、またカンディンスキーの影響を受けていることで、自然と体の中から、生み出される曲線なのだろうか。
    返す返すも、2016年に66歳で亡くなったは、残念だ。

  • インタビュー形式、タイムリーではあるけれども、内容は薄かった。

  • パブリック建築が町に与える価値というのは大きい。
    美術館の建築と作品の関係の仕方など、非常に興味深かった。
    人間の動線を作るのは建築の役割、であれば人間の活動とどのように関わるか、どう変えるか。
    男性優位の建築界で、しかもこれだけ大きなプロジェクトをこなすこの人のメンタルの強さもさすがすごいわ。
    へこたれないつうか、なんつうか。

  • カーディフのプロジェクトでは、ステージと講堂のデザインが左右非対象だと言う理由で反対に合いました。
    オペラ歌手は左右非対象なステージで歌ったり演じたりできないと言うのです。
    そんなものを恐れるあまり、パフォーマンスに影響が出るとは好奇心が沸きます。

    挑まれることがあれば、自分のものの見方を再調整する必要に迫られるものです。
    それこそ人々がいろいろ違ったことをやってみたり、違った世界を目にしたり、実験する理由なのです。
    それがわかったときの変位感覚は非常に開放的なものであり得る。
    ところが、そうしたことを好まない人はたくさんいて、
    普通の人はこうであると自分が信じているところに、押し込めようとする。

    控えめに言うならば、私は山を建てたりはしません。
    エキサイティングでこれ見よがしの設計をするべきでないということ、保守的であることの間には、明らかに微妙な違いがあります。

    他人を混乱させることはあるかもしれませんが、自分は混乱しないのです。

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著者プロフィール

キュレーター、ライター。2006年からロンドンのサーペンタイン・ギャラリー共同ディレクター。著書に『アイ・ウェイウェイは語る』など。現在、世界で最も影響力のあるコンテンポラリー・キュレーターのひとり。

「2018年 『キュレーションの方法 オブリストは語る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ハンス・ウルリッヒ・オブリストの作品

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