- Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480847157
作品紹介・あらすじ
偉大な二人の哲学者の生涯ただ一度の出会い-灼熱した言葉の応酬…そして火かき棒が一閃する。両者の間に横たわる深淵を探りながら、二十世紀中欧の知識人を襲った過酷な運命の軌跡をたどる。
感想・レビュー・書評
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ゴシップ的な事柄も含めて、ポパーとウィトゲンシュタインがどのような環境の中でどのような立ち位置でどのように考えたかがイメージできた。哲学の「謎」か「問題」か、という観点で、ラッセル、ポパー、ウィトゲンシュタインの違いを説明しているところは、わかりやすかった。
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ヴィトゲンシュタインやポパーをはじめ、ウィーン楽団周辺の哲学者らがボチボチ登場。思想書ではなくドキュメンタリとして、ドラマチックに「火かき棒事件」があつかわれる。
専門書ではないので、若干の知識があれば読めると思う。(おいらも一応読めたし…)
著者の皮肉っぽい言い回しが、痛快爽快。
とても面白くまとまっていて一気に読めた。
しかし、ヴィトゲンシュタインをヒロイックに描いていたのに対して、ポパーは何かと厳しい言われようだったように感じた。
人柄やカリスマ性云々はともかく、このままポパー本来の業績が紹介されないままだったら嫌だなぁ…と思ったけど、その点はきちっと(しかもかなり格好良いまとめ方で)評価されていたので、とりあえず安心。(おせっかい!)
登場する哲学者の具体的な思想内容は、他の書籍を読む事をおすすめします。 -
ケンブリッジ大学におけるウィトゲンシュタインとカール・ポパーの「火掻き棒事件」にたいするゴシップ書。当時の会員の証言や、2人の伝記、簡易な2人の思想の紹介と論争に至るまでの二人の争点等が記されている。内容はやはりゴシップ書なので読みやすい。
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いわゆるドキュメンタリーとして読みましょう。
K R Popper やWittgensteinの入門書ではありません。
読み物として、楽しめるものです。 -
第二次大戦前~直後のオーストリア・ウィーン、そしてイギリス・ケンブリッジを主な舞台に、政治的・思想的背景を整理していく。英BBCのドキュメンタリー作法に忠実でTV番組を見ているかのよう。「フェルマーの最終定理」を楽しんだ方にも。ポパー・ヴィトゲンシュタインそれぞれの思想については、要点は整理されていますが物足りところ。専門書への入口として。原題Wittgenstein's Pokerのダブルミーニング[火かき棒/ポーカーフェイス・ポーカーゲーム]を訳しきれてないのは残念ですね。
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芥川龍之介の「藪の中」のように面白い。ふたりの科学者のあいだにおこった出来事が、みるひとごとに違っている、というもので、「物理」よりも「心理学的」に興味深い。