地霊を訪ねる ――もうひとつの日本近代史 (単行本)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480858207

作品紹介・あらすじ

日本近代史の舞台を旅し、その土地に沁み込んだ、今は亡き人々が発する無音の声に耳を傾ける歴史エッセイ。日本をあらためて「知る」、その悦びに満ちた傑作紀行

感想・レビュー・書評

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  • 経済史の先生が書かれた、紀伊國屋じんぶん大賞にも選ばれた本。川瀬巴水のカバーも素敵。国内の鉱山を訪ね歩き産業と地域の関係性を考えつつ、その地の亡き人々の声に耳をすますというテーマも興味深い。だから手に取ったのだけれど、それぞれの土地についての記述が、えっ? これで終わり? というくらいにわずかであり、おじいさんが、わたしはここにもいったことあるよ、あそこにもいったことあるよ、と、これまでの人生で行ったことある場所についてサラサラと喋ってくれた、というだけの本だなあと感じた。テーマは面白そうなのに勿体無い。

  • 「地霊を訪ねる」という書名に惹かれました。著者のことは知らなかったですが高名な経済学者であるらしく、その泰斗が長年の研究生活を振り返っての思いが,自分は「日本」「日本人」を知っていたのであっただろうか?という謙虚なものであり、それを大都市からではなく、日本の近代化に大きな役割を果たし、しかし、今はほとんど不可視な存在になっている地方の鉱山に着目して、その周辺の人々の歴史を拾い集めていく旅を積み重ねた記録です。まえがきにある著者のアンセムが心に響くのでメモします。「ひとつの地域に起こったある産業がその地域をどのように替え、その産業の興隆と衰退とともに地域をどのように変貌させたのか。その地域の現在の姿を見て回りながら、聞き取り難い「地霊」の声に耳を傾け、大都市では忘れられた「思想」を感じ取れるのではないか。「地霊」とは、社会思想で論じられる「社会風土」あるいは「習俗」として、その土地に沁み込んだ、いまは亡き人々の思いの堆積から発せられる無言の声とでも言えようか。」すべて読み終わって、表紙の川瀬巴水の新版画の意味が沁みてきました。日本の近代化の中で流れの中で静謐で哀愁を感じさせる地方の風景…描かれているのは「地霊」という「日本の近代の幽霊」という見えないものなのかもしれない、とか。とにかく、旅をしたくなる本です。「世界は書物であり、旅をしない人は、そのわずか一ページしか読んだことにならない」(アウグストゥス)

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著者プロフィール

猪木 武徳(いのき・たけのり):1945年生まれ。経済学者。京都大学経済学部卒業。米国マサチューセッツ工科大学大学院修了。大阪大学経済学部長を経て、2002年より国際日本文化研究センター教授。2008年、同所長。2007年から2008年まで、日本経済学会会長。2012年4月から2016年3月まで青山学院大学特任教授。主な著書に、『経済思想』(岩波書店、サントリー学芸賞・日経・経済図書文化賞)、『自由と秩序』(中公叢書、読売・吉野作造賞)、『文芸にあらわれた日本の近代』(有斐閣、桑原武夫学芸賞)、『戦後世界経済史』(中公新書)などがある。

「2023年 『地霊を訪ねる もうひとつの日本近代史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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