- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480860699
作品紹介・あらすじ
数学者Goro Shimuraの幼年時代、プリンストン、そして「あの予想」。
感想・レビュー・書評
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数学にはまるで疎いのだけど、氏の名前は知っていたので立ち読みでぱらーっと読んだらなんだかそんなに堅苦しくなかったので購入。とても面白かった。
押し付けがましくなく無駄なく綴られていく文章がとても読みやすかった。『これについては後で書く』という言い回しが非常にたくさん出てきて、それは文章としてはちょっと読みづらくもあるのだけれど、結果としてとても理路整然としており、まるで数学の証明のようだ、と思う。
氏の若い頃、戦時中の経験について述べた辺りを、丁度自分はお盆の時期に読んでいた。天皇の戦争責任とか原爆の使用についての氏の意見も書かれており、そこには非常にフラットというか、冷静な言葉が並んでいた。だからなんだというわけでもないけれど、それは何となく印象に残った。
人生経験を通して得た物事(教育とか人間とか社会)に対する認識、そういうものを感じ取れる箇所が個人的には面白かったです。
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数学者のその当時考えたこと、感じたことを知るのは面白いかもしれません。
理数理 シムラ||3||2 11633104 -
志村五郎先生は、世界に通用する数学者。
自分の意思を強く持ち、それを貫く人ではないかと思われる。
名だたる数学者を小人と言い切っている。
実力があるからこそ言えることだと思う。 -
フェルマー予想の話で必ず出てくる谷山=志村予想だが、その名前の提供者が著者。数学の話を期待して読むと肩透かしを食うかも。もちろん数学者の自伝なので、数学も出てくるのだが、はじめにに書いてあるように、数式を読み飛ばしても十分意味は通じる。それよりも記憶の中にある戦前の東京が、生き生き描かれているほうがこちらの記憶に残った。「私」と言う一人称で書かれているが、「余」と言ったほうがいいかもと言うくらい先生な感じの文体も印象的。最後に「gently」はどう訳せばいいのだろう?
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フェルマー最終定理解決に直接的貢献した谷山志村予想の志村先生が著した自伝。
歯に衣着せぬ言い様(他の学者、日本政府および天皇批判等も含む)から、自信と真っ直ぐな人間性が感じられる。
もちろん共感できる部分、共感できない部分ともにあるが、「日本人はマネは得意だが、一から作るのは苦手というのは間違っている。ましてや日本人自身がそう認めてしまってはいかん。西洋人もずいぶん真似をするが、彼らはそれを自分でやったかのような顔をするところがある。」というのには、なるほど!と感じた。西洋人に対する引け目というのを感じてしまう私にとっては非常に心にささる言葉だった。
全然関係ないけど、古代エジプトのパピルスを苦労して解読したら、書かれていたのは「最近の若いモンはなっとらん」だったというジョークは私も大好きです。