あなたはもう幻想の女しか抱けない

著者 :
  • 筑摩書房
3.08
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本棚登録 : 36
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480863171

作品紹介・あらすじ

捕らわれていた幻に亀裂が入ったら、一度すべてを壊してしまえばいい。自分の生命の奥底にある「リアル」を、この現実世界の中で再生させることで、もはや幻想を必要としない自分を見いだせる。女たちはもっと「心地よく」「楽に」生きることに貪欲だから、そう思うのである。なぜ、日本のオヤジたちは、自分を上手に癒せないのか?援助交際で女の子を買う同じ世代が「将来、母となる少女を守れ」と聖少女幻想を振りかざして怒っている。外部からの幻想を注入され続けて来た男たちが、「自尊心」のリニューアルをはかるのは、膨大なエネルギーを必要とする。

感想・レビュー・書評

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  • 私が今考えていることがらみ
    明確に進んだという感覚はなかったが、
    十分に有意義な読書だった
    面白いのは、女性からの視点というところ
    どうしても私が何かを考える際は
    無意識のうちに男性視点をもってしまっていると思う
    こうして女性視点の本を読んでいくjことで男性視点の呪縛から逃げられるんじゃないかなあ

    この著者が女性視点として一般的か、異質かはわからないけど

  • <少女幻想と聖母幻想>
     男性の理想の女性は、少女幻想と聖母幻想にスプリットしている。
     少女幻想はアニメで言うと、ナウシカなど、精神的な「清さ」と肉体的な「おかず」が同居したもの。

     少女幻想に取りつかれ、女子高生を買春する側には罪の意識は低く、売春する女子高生側にも「お金さえあれば」という合理性が見られる。
     エリートであるほど変態だったりロリコン志向が見られる。

     この根にあるのは、「稼いでくれば文句ないだろう」という父親の暴君的な態度や、それに応じながらも納得していない母親など、家庭内の殺伐とした関係性が問題である。

     聖母幻想は戦っている自分をひたすら支えてくれる妻ではなく「母」。 
     その重荷が限界を超えると妻は「離婚」を考え始める。不倫に走る場合も多いが、それは離婚に至るまえのジャンピングボードにすぎないことも多い。

     だが、そういう「幻想」から女性たちは降りようとしている。
     降りた先は「友達夫婦」。結婚することで人生のステージアップよりも、気楽な関係を求める。いわく「恋は冷めても友情は残る」。
     一方で、ペットを飼いながら、彼氏はまいにちの電話ぐらい。「今」を犠牲にして、「未来」にかけるという感覚は希薄。 

    <東電OLの悲劇>
     1981年より、男女雇用機会均等法ができたが、実際には男尊女卑は厳然として存在した。女性がどんなに優秀であっても、男性たちが依存した「会社共同体」や「肩書き」には同化できず、かといって、自らのセクシュアリティも切り捨てられない。
     心の空白を埋めるために性を売っていたのではないか。



     

  • 1998年刊行。

     バブル以降の男女関係を、援助交際、失われた聖母幻想などから解読する書である。

     しかし、本書刊行から10年経過している現代、未婚の男女、あるいは拒婚の男女が増大していると目される現代社会とは隔世の感と感じざるを得ない。
     バブルの洗礼を受けた女性評論家には、男性の経済問題に言及することすらできず、これが著者の限界だろうか…。まあ、前世紀にはやはり無理なのかも、とも。

     もっとも、本書自体は、前世紀後半の印象論として読む分には面白い。

  • 援助交際のルポ。
    買う男への視点、男たちの寂しさがよく描かれていると思う。

  • 2005/09/30

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