英語を社内公用語にしてはいけない3つの理由

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  • CCCメディアハウス
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784484112145

作品紹介・あらすじ

英語が支配する世界で生きたいですか?朝日新聞で「英語の幸せな奴隷」に警鐘を鳴らした著者が突きつける「英語信仰」の落とし穴。

感想・レビュー・書評

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  • 主張に対するワラントがあってないので、途中で読むのをやめようかと思った。
    後半、社内公用語を使う会社の社員の対処法が書いてあるが、実際のサラリーマンにできるかという疑問あり。

  • 今年(2011)8月から日本支社長として本国から若い米国人が赴任してきました。いままでも本国から数年間の赴任ということでオフィスに外国人はいましたが、オフィスの中は基本的に日本語でした。
    ところがトップが外国人となるだけで、突然変わりました。それまでもメールは英語が多かったのですが、今ではメールは言うに及ばず、会議は基本的に英語です。

    そこで改めて英語を自由に操れることの優位性を感じます、確かに言うべき内容や論理構成も大事ですが、それらが同じであれば英語が上手な方が良いに決まっています。

    今はまだネイティブ並の流暢な英語を話す日本人スタッフは少ないのですが、若い人を中心にTOEICで満点近く出す人も入社してきていて、あと10年もすれば大きく変化していることでしょう。

    このような中で、英語を社内公用語にすることの危険性を書いた(数少ないと私は思っています)本であり、気になって手に取ってみました。

    通読して感じたのは、確かに今後も日本語を大事にしていくことは
    理解できましたが、実際に社会人として働くには、英語を使いこなして仕事もできるようになるべき、と思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・楽天やユニクロは英語社内公用語化に踏み切ったが、両者の企業としての原点は、「英語力」ではなく、学歴や学力にとらわれない「ベンチャー精神」のはずである(p39)

    ・明治時代、標準語を普及しようしたとき、学校で方言を使うことを禁止した、それと似たようなことが起きようとしている(p85)

    ・英語を使う人の年収(男子)は642万円に対して、使わない人は、521万円、女子は292万円に対して、227万円(2005年)である(p96)

    ・バーンスタイン氏(イギリス社会学者)によれば、中流階級以上は「精密コード:語彙も豊富、独創的な表現」を使い、労働者階級は「制限コード:慣用句が多く、語彙も限定」を使う(p99)

    ・英語格差社会を放置できない理由として、1)公平は競争原理に基づいていない、2)日本なのに「英語」という外国語が序列の物差しになっている、がある(p109)

    ・二重言語生活は、たとえ法的には同等の関係であっても、実際の社会においては、どちらかが「上位言語」となってしまい、シンガポールやフィリピンのように上下関係ができて社会の格差構造を強めることになる(p111)

    ・日本人にとっては日本語は単なる道具ではなく、人格の重要な一部である、日本人は日本語を使うことにより「自分らしく」なれる(p124)

    ・本当に英語ができるかどうかの目安は、「フォーマルな英文の手紙」が書けるかどうか(p143)

    ・英語が苦手な人は、英語以外に積極的になる方が得策、英語ができてチームワークを組める人を味方につけておく(p147)

    ・大震災を経ることで、「金儲け」よりも、「地域共同体の大切さ」、「高度経済成長」よりも、「安全で安心な暮らし」を求めていることが分かった(p185)

    ・文化は、自然・歴史・人間の3要素の交流により生まれてくる(p187)

    ・伊勢神宮の「内宮」は、天照大御神をお祭りしていて、「外宮」は、その神の食事を司る豊受大御神をお祭りしている、自然の恵みによる衣食住の有難さをあらわしていて、日本神道の自然への畏敬の念が伝わってくる(p192)

    2011年10月9日作成

  • 楽天とユニクロの「社内英語公用語化」をうけて筑波大学院の教授が書いた本です。
    先生は英語の教師でもありながら、日本社会の「英語信仰」による英語による収入格差、日本文化(特に日本語)の衰退に警鐘を鳴らしている。
    そもそも「公用語」の意味が間違ってしまっていることなど、納得出来る部分は多い。後半は公用語化の対策や今後の日本語、日本文化をどう考えるべきかなどを述べている。
    日本語の美しさは再認識させられた。
    危険性を述べて、対策も述べているが今ひとつ効果が得られるような気に自分がさせられなかった。というより「英語公用語化」を止めるのは無理なのではと思ってしまった自分がいたので評価は★3とした。
    これから英語を勉強する、留学する、などの人にはおすすめできる。

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著者プロフィール

1950年神奈川県生まれ。筑波大学名誉教授。長崎大学助教授、
名古屋大学教授、筑波大学教授を歴任。南イリノイ大学大学院
スピーチコミュニケーション学科博士課程修了
(Ph.D. in Speech Communication, 1985)。
主な著書に、
Language Inequality and Distortion(1986, John Benjamins, オランダ)。
『英語支配の構造』(1986、第三書館)
『侵略する英語 反撃する日本語」(1996、PHP研究所)
『グローバル・コミュニケーション論』(共編著)(2002、ナカニシヤ出版)
『英語支配とは何か』(2003、明石書店)
『英語支配とことばの平等』(2006、慶応義塾大学出版会)
『日本語防衛論』(2011、小学館)
『日本語を護れ!』(2013、明治書院)
がある。

「2023年 『日本語肯定論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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