死者の百科事典 (海外文学セレクション)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488016258

作品紹介・あらすじ

世界20か国語以上に翻訳されているユーゴスラビアの作家ダニロ・キシュ。本書は、抒情にみちた淡い水彩画のような自伝的連作短編集『若き日の哀しみ』で、日本の読者を魅了した彼の、皮肉な味わいをもそなえた幻想的な作品集である。旅先で訪れた図書館で、世界中のあらゆる無名の死者の生涯を記録した書物を見出し読み耽るという不思議な表題作をはじめ、音楽的手法、絵画的手法、映画的手法と、自在に変化するスタイルで描かれた、どれもが死と愛をテーマとする九つの物語からは、虚無の闇を見つめるキシュの声が聞こえてくるはずだ。アンドリッチ賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 幻想的だったり衒学的だったりスタイルが変わるものの、いずれもウィスキーの様な酩酊感伴う死に纏わるセルビアの作家の短編群。ボルヘス好きなら絶対にハマる!自分が無条件で愛するモチーフである「本」を扱った表題作、「死者の百科事典」が一番好きだった。旅先の図書館で発見した一冊の蔵書。世界中の無名の人の生涯を仔細に記述したそれには、今は亡き父の項もあり…。エンディングがキュッと締まっていて良い。他にも異端者の目から見たキリスト世界が味わえる「魔術師シモン」、ポグロムの引き金となった史上最悪の偽書の軌跡を辿った「王と愚者の書」、奸計の有無が気になる「祖国のために死ぬことは名誉」が好きだった。事前に軽くウィキっとくとより楽しめる作品が多かったかな。シモン・マグス、パリのディオニュシウス、洗礼者ヨハネ、耳を削がれたマルフス、ディオクレティアヌスの妻プリスカ、シオン賢者の議定書辺りは調べておいてもいいと思います。

  • 戦争の不条理、憎しみ合いを告発してるかのようにみえた。これが最後の作品とのことだから、尚更そう感じたのかもしれない。
    共通してるのは死と愛。


    訳者のあとがきがいちばんガツンときた。

    「私は、ここに住むほかない」


    あと何年かしたら、再読してみよう。

  • 表題作の「死者の百科事典」は、オチが綺麗。病魔にこんな洒落た描写してしまうキシュって凄い変わった人だなーと続きを読む。

    「魔術師シモン」は、コメディなのかクスッと笑える…イエスの奇跡を巡る言い争いがね、なんか滑稽で笑ってしまった。

    あと、1番気に入った「眠れる者たちの伝説」は幻想的でナニコレ⁈感たっぷりで凄い好き。
    夢から覚め切れてないのか、現と夢が混じりに混じって混沌としてて、描写がキツいくせ(濃厚というか…)、何にも分からない、このあやふやな雰囲気!
    開けたいのに開かない瞼から差し込む光、聞こえる音、肌を舐める感触。

    難しい本。

  • キリストから悪意まで

  • 短編集。『魔術師シモン』を読了。ヘレンとシモンのコンビは個人的にツボ。ペテロ怖い...。そういえば『と禁』で「迎撃術式」とかあったなぁ。

  • オヤジの癌細胞が、文学の花になる。

  • [ 内容 ]
    世界20か国語以上に翻訳されているユーゴスラビアの作家ダニロ・キシュ。
    本書は、抒情にみちた淡い水彩画のような自伝的連作短編集『若き日の哀しみ』で、日本の読者を魅了した彼の、皮肉な味わいをもそなえた幻想的な作品集である。
    旅先で訪れた図書館で、世界中のあらゆる無名の死者の生涯を記録した書物を見出し読み耽るという不思議な表題作をはじめ、音楽的手法、絵画的手法、映画的手法と、自在に変化するスタイルで描かれた、どれもが死と愛をテーマとする九つの物語からは、虚無の闇を見つめるキシュの声が聞こえてくるはずだ。
    アンドリッチ賞受賞作。

    [ 目次 ]


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    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 「死者の百科事典」がおもしろかった。ほかは難しくて、読みにくかった。
    じっくり味わうべき文章で、それはそれでいいのだけれど、難しすぎた。

  • 米澤穂信の100冊その55:「王と愚者の書」。

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著者プロフィール

一九三五年、セルビア北部の町スボティツァで、ユダヤ人の父とモンテネグロ人の母のあいだに生まれる。父は一九四四年にアウシュヴィッツの強制収容所に送られて、消息を絶っている。第二次大戦後、母の故郷のツェティニェに移住。ベオグラード大学文学部へ進学し、修士課程修了後はフランス各地の大学でセルビア・クロアチア語の講師をしながら小説を執筆した。本書『砂時計』をはじめ『ボリス・ダヴィドヴィチの墓』、『死者の百科事典』など主要作品のほとんどは英語、仏語、独語はもちろん、世界各国の言語に翻訳されている。一九八九年十月十五日、パリで死去。

「2007年 『砂時計』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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