オルゴーリェンヌ (ミステリ・フロンティア)

著者 :
  • 東京創元社
3.82
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本棚登録 : 272
感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488017798

作品紹介・あらすじ

再会した英国人少年クリスと検閲官エノを待っていたのは、オルゴールを作り続ける孤島の洋館で勃発した連続不可能殺人だった! 著者渾身の巨編、〈少年検閲官〉連作第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • 少年検閲官から3ヶ月後。書物がない世界で、ミステリの要素を記述したガジェットを巡る物語。
    ミステリを描こうとする主人公と、検閲官の二人、そして出会った少女の関係性がとにかく強烈です。
    オルゴールに彩られた館と終末に向かう世界。最高。

  • 油断した完全にやられた。物理トリック(図!!図!!)の量と多重解決の必要性。『少年検閲官』から続く書物の禁じられた世界とガジェットの存在。この題材との物理トリックが組み合わせれて起きたハウダニットの行く先には、とんでもなく美しい物語があった。
    「クロック城物理トリックは良かった」
    「アリスミラー城この犯人は意外だった」
    「少年検閲官の設定は良かった」
    私の読んだ北山作品は、面白いけどどこか物足りなさがあった。
    本作は全て詰め込んだ。私は詰め込まれた作品が好きだ。
    幻想的な物語に本格ミステリの舞台、仕掛け。
    甘く見ていた。読後ここまで心が揺さぶられるとは。恐ろしく本格ミステリであり、どうしようもなく切ない。

    傑作なり。

  • 独特の世界観による近未来(またはパラレルワールド)を舞台にしたミステリ。
    二転三転するトリックの解明と犯人当て。ラストに明かされる真相。

  • シリーズ第2弾。
    前回の方が『書物がなくなった世界』『検閲官』というコンセプトがガッチリしてたと思います。今回はどちらかというと書物云々より人と愛とか、そっちの方が重点的な感じがして、少年検閲官読んでなくても普通に読めると思います。
    トリックとか事件のあれこれより、序章のお話と最終章の最後の3ページが…
    外だったから我慢したけど、家で読んでたら泣いてました…。
    どこか異国のブラックファンタジーっぽく読める本でした。

  • 75点

    ***
    書物の存在しない世界で、書物を取り締まる少年検閲官とミステリを書きたいという願いを抱いて旅を続ける少年、さらに音楽に魅了された少女のお話。

    クリスはオルゴールを作り音楽を後世に残すことだけを生業にする海墟から逃げてきたユユと出会う。ユユと共に検閲官から逃げるクリスは間一髪エノに助けられる。
    何故ユユが追われているのか、海墟には本当にガジェットが隠されているのか、真相を確かめるために海墟へ向かうがそこでは連続殺人が発生し……
    ***

    少年検閲官シリーズ2作目、1作目(http://booklog.jp/users/mametarou77/archives/1/4488017223)の感想がこちら。
    退廃的な世界観とそれを表現する著者の心地よい文章、そんな先の見えない世界で育まれるクリスとエノの友情が上手く描けており、またかなりの分量にも拘らず思った以上にサクサク読めることも評価したい。

    登場人物に関しては設定上仕方ない面もあるとはいえ、エノがクリスとしか絡まず、エノ-ユユのラインが途切れていて3人が絡み合わないのは正直非常に残念、次巻以降に少し期待したいところ。
    もう一人の少年検閲官カルテもキャラの位置付けの割にいまいちパッとしないのが残念。
    読者目線としてはおそらくスケープゴートとして登場していながら何も触れられることなくまた職能を発揮できずに終わったことにかなりモヤモヤさせられます。去り際を読むとこれまた次巻以降の展開に期待と言えなくもないですが……。

    トリックに関してはいろいろと疑問が多い。
    2つ目のトリックで梯子が外れていた点に関して言及されてない点、犯人の可能性のあった女性が消去法で削除されたがその根拠が弱い点、そもそも犯人にこれだけの犯行を実行できるだけの能力があったのかなど。
    とは言え良い意味で今時物理トリックをゴリゴリ使ってる辺りは感心しました。

  • グリムのがおもしろかったので。

    本が、とくにミステリが否定された世界、だとか、
    本をちがうものとして残そうとする、だとか、
    少年検閲官だとか、おもしろそうな設定だらけだったわりに、その世界観といきなりはじまった陸の孤島での
    連続殺人とのなんとゆーか、違和感(?)うーん
    よくわかんないが、いまいち乗り切れなかった。

    よくみたら、シリーズ最新作!とあったので
    前の巻読んでたらもっと印象が違ったのかも。

  • これは面白かった。
    ただし、前作を読んでいないと全くわからないという、本として大きな弱点が。
    少年検閲官エノと再び出会うクリス。ユユという女の子を助けようとするがー
    孤島に仕掛けられた連続殺人。3つの推理が展開されることで事件の見えかたが変わり、どれが真実なのかこんがらがってくるのが、またいい。
    ラストで、島にいなくても仕掛けが可能だということが判明し、巡りめぐって出発を助けてくれたキリイ先生が犯人だとわかる。(偶然の仕掛けに頼りすぎだとは思うが)
    エノの言葉に、半信半疑でクリスが先生に目を向けるくだりは、孤島という殺人のための遠い異世界から、近距離まで一気に視界を縮まった瞬間、ゾクゾクしてしまう。

    前作の、書物がない世界だからこそのミステリ、という境地は脱してしまった気がするが、通常のミステリとして読んでも充分な面白さ。

  • 少年検察官シリーズ第二弾。
    温暖化によりゆるやかに崩壊していくことが決められている世界、冒頭に「序奏」として描かれる「ある物語」、そして現在の僕と二人の少年検閲官、言葉が喋れない少女、孤島で起こる連続殺人……もう、作品に含まれる要素全てが、この『ミステリ』を構成し、完成させるために存在している。まさに全てがこの物語に奉仕している。どこをとっても美しい、愛おしい。(読み終わった後に、あのシーン、このシーンと反芻すると、さらにその想いが強くなる)
    ラストの余韻も素晴らしく、続編が楽しみ。

  • 私の評価基準
    ☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版
    ☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも
    ☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ
    ☆☆ 普通 時間があれば
    ☆ つまらない もしくは趣味が合わない

    2016.4.4読了

    なかなか良かったが、少し読み進め難かった。

    序奏の物語がとてもムードが感じられて、良かった。
    そして、その序章を受けて少年検閲官というシリーズになっている物語に展開していくのだが、この少年検閲官の物語も独特なムードを持っていて、互いに似ているような雰囲気が重なりあって、かえってこの小説の良さを妨げている様だ。

    謎解きのところも作者が良く用いるらしい、いくつかの解を重ねて提示するもので、それなりに楽しめるが、私はシンプルな謎解きで良いので、最初の物語をもっと膨らませたものを読んでみたかった。

  • 少年検察官シリーズ第二弾。
    世界観が全てという小説。儚げで物悲しい雰囲気の中、連続殺人事件が起こる。トリック的には少し無理がある気がするけど、そこは雰囲気で何とか納得。
    なかなか少年検察官の実態には触れない。もう少し次に繋がる流れが欲しい。

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著者プロフィール

2002年、『『クロック城』殺人事件』(講談社ノベルス)で第24回メフィスト賞を受賞しデビュー。代表作として、デビュー作に端を発する一連の〈城〉シリーズなどがある。

「2022年 『月灯館殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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